昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

オンラインゲームのヒロイン

前回に引き続き、今回もオンラインRPGゲーム「メイプルストーリー」のエピソードを。

Rちゃんという年上の女の子(多分)と友だちになった昇平だが、続けているうちに、ちょっと困った現象が起きてきた。出会ったばかりの頃は昇平の方がレベルが上で、一緒に狩りに行けたのだが、向こうの方がゲーム時間が長いからか、年上故に効率がよいのか、たちまち昇平のレベルを追い抜いて強くなってしまったのだ。
そうすると、Rちゃんが行くような狩り場は、モンスターが強すぎて昇平には歯が立たない。一緒に行動したくてもできなくて、昇平がしょんぼりすることも増えてきた。実際には他にも友だちは増えてきて、同じようなレベルの狩り場でグループを組める男性(大人か子どもかは不明)も何人か出てきたのだが、やっぱり昇平は一番最初に仲良くなったRちゃんが一番大好き。「Rちゃんは××の狩り場に行くんだって」と、残念そうに言う日が続いていた。
それでも、ゲームにアクセスするたびに、必ず昇平に呼びかけてしばしチャットしてくれる、優しいRちゃんだけれど。

そんなある日、昇平とRちゃんは、それぞれ別の狩り場で狩りをしていた。その間もチャットはつながったまま。全然別の場所にいてお互いの姿は見えなくても会話は続けられるんだから、このオンラインゲームというのは何となく面白い。
すると、Rちゃんがこんな書き込みをしてきた。
「今△△の狩り場にいるの」「強いモンスターがいっぱいいるー」「キャー、キャー」と実況中継。
すると、昇平は顔色を変えて「どうしよう、Rちゃんが大変だ!」と、しばらく悩んでいたが、おもむろに決心した顔になると、きっぱりと言った。
「ぼく、Rちゃんを助けに行く!!」
お〜……なんだか、母が書くファンタジーの主人公のようだね。(笑)
いや、きっと頭の中には同じようなイメージがあったんだよね。困っている女の子を助けに行く、優しく勇敢なヒーロー。昇平はそういう人になるのが夢だから。

真剣そのものの表情でゲームのフィールドを移動していって、やっとたどりついた△△の狩り場。Rちゃんを捜すと……おやっ、ちゃんとモンスター相手に互角に戦っている。ちょっと大げさに実況中継しただけだったのかな?
それでも昇平が近づいていくと、Rちゃんが突然言ってきた。
「なんで来たのよ。無理だよ!」
昇平はチャットでRちゃんに「助けに行くよ」と言ったわけではないので、Rちゃんにしてみれば、昇平がRちゃんと一緒にいたくて、無理な狩り場に押しかけてきたように見えたのだろう。
昇平がショックを受けているところへ、Rちゃんは追い打ちをかけるように「ついてこい!」ときつい調子で一言。
昇平は本当にべそをかいていた。ぼく、助け出しに来たのに。Rちゃんたら、一緒に脱出するどころか、無理な狩り場に付き合えって言ってる。そんな、どうしよう! と考えているのが、そばで見ていてよくわかった。
うーん……かわいそうにねぇ。(苦笑)

でも、実際にやっているうちに、二人組ならばその狩り場でも充分狩りができることがわかってきて、じきに和やかな雰囲気で行動を共にするようになった。昇平も、ひとつ上のレベルの狩り場に来られてご機嫌。笑顔が戻ってきた。
Rちゃんのほうでも、昇平が「何故」そこに来たのか気がついたらしい。「ありがとう」と昇平に言ってくれて、狩りの後、町に着いてからは「ぼくー、デートしようかー」なんて誘ってくれた。初めてのデートのお誘い。
昇平はもうニッコニコ。このゲームは、キャラクターの表情も選んで変えることができるのだが、そちらの表情もニコニコ満面の笑顔にして、大喜びでRちゃんと一緒に町の中を歩き回っていた。
昇平が風呂に入る時間になったので先に落ちる(オンラインゲームを終了する)ことになったら、Rちゃんのほうから「明日もこの狩り場で会おうね」と約束してくれた。
昇平は本当に寝る間際まで、本当にものすごく幸せそうだった。(笑)


たかがゲーム、されどゲーム。
その中には、青春ドラマも顔負けなドラマがあったり……するらしい。
Rちゃんは、ゲームの世界の中の、昇平のヒロインなんだよね。
ヒーロー目ざして、がんばれ昇平!

[06/01/08(日) 10:12] 日常

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