昇平てくてく日記

幼児〜小学校低学年編

今年の目標

10日から福島県でも小中学校の3学期が始まった。昇平も元気に登校している。
でも、今回の日記は、まだ冬休み中の学童での記録。頭を数日分巻き戻してお読みください。

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正月も明けて、5日からまた学童が始まった。友だちと遊ぶのが楽しくてしかたなくなった昇平は、お弁当を持って喜んで通っている。ひとり遊びも好きな子だから、お絵かきのための紙もたくさん持参していくが、それでも足りずに学童から落書き用紙をもらって、毎日大量の作品を抱えて帰っている。ホントに、お絵かきが好きな子だなぁ。
年が明けてからも雪の日は多く、学童がある保育園の園庭も雪でおおわれている。そり滑りやクライミング用の雪の山も園庭の真ん中にドンとできていて、毎日そこで子どもたちがにぎやかに遊んでいる。学童の子どもたちも、毎日午前中と午後に雪遊びを楽しんでいるらしい。
ところが、6日の午後は、天気が良くて雪が溶け出してしまった。園庭はグチャグチャ、遊びに出ると子どもたちが泥だらけになってしまう。家庭ならいざ知らず、学童には着替えを持ってきていない子も多い……ということで、午後の雪遊びは中止になってしまった。

これに気持ちが収まらなかったのは昇平。雪遊びをとても楽しみにしていたのに、できないとなって、とても腹をたて、初めて指導員の鴨原先生に「かみついた」のだという。服の上から胸のところをかんだので大したことはなかったようだが。
そこれで、「勝負で決めよう」と鴨原先生が持ちかけて、相撲や腕相撲で昇平と先生で勝負をして、最後には昇平が負けて(当然だ)、「まいりました、ごめんなさい」と謝ったのだそうだ。
私が迎えに行ったときにはすっかり気持ちも落ち着いて、私の顔を見るなり飛んできて、「先生をかんじゃいました。ごめんなさーい!」と謝ってきた。そう。落ち着けば、そのあたりのこともちゃんと判断できるんだよね。

鴨原先生は昇平の扱いが本当に上手だから、騒ぐこともなくきちんと対応していただけたが、やはり、今年の課題はここだな、と感じた。
感情のコントロール。
ADHDの本質的な困難への課題とも言える。

自閉スペクトラム上にある子どもたちも、予定変更に対しては感情を爆発させることが多い。これは、「する予定」になっていたことが実現しなくなったことへの混乱で、「切れている」ように見えても、実際には「混乱から来るパニック」なのだが、昇平の今回の爆発は、これとはちょっと違う。
もちろん、昇平も自閉スペクトラムの特徴は持っているので、予定外のことになるとパニックは起こす。見通しさえ立てば落ち着くので、その場合は、「初めてだからドキドキしているんだね」と気持ちを受け止めてから、「まず○○をするよ」「それから××をして、△△になったら昇平くんは□□してね」と、これから起こることと、昇平がするべきことをわかりやすく伝えてやると、ほとんどの場合は、それで安心して落ち着いてしまう。
問題は「すごく楽しみにしていたこと」「こうしたいと強く願っていたこと」が、思いがけなくかなわなくなったときの爆発。気持ちが収まらない、というのが一番ぴったり来る。誰だって、楽しみにしていたことがダメになるとがっかりするし、腹立たしく思うけれど、昇平の場合は「できなくて悔しい!!」という思いが暴走してしまって、コントロール不能状態になりやすいのだ。
その状態さえ抜けて落ち着けば、こちらの話にも耳を傾けられるようになるし、妥協案も対応策も受け入れられるようになるから、とにかく、本人の気持ちを落ち着かせるのが一番。鴨原先生は「勝負で決めよう」と持ちかけることで、上手に昇平の気持ちを発散させ、落ち着かせたと思う。家庭でそれが起きたときには、私はタイムアウトを命じることが多い。「騒ぐなら隣の部屋に行きなさい。落ち着いたら戻ってきて良し」と言い渡すか、本人を部屋に残してこちらが出て行く。なにしろ切り替えが悪いから、切り替えのきっかけを作ってあげないと、いつまでもできなかったことを悔しがって、騒ぎ続けるのだ。
こちらがそれに巻き込まれて、一緒になって怒り出したら「負け」。親自身も忍耐力を試されている気がする。まあ、もっとも、この問題に関しては、お兄ちゃんもなかなかの強者だったから、それと比べたら昇平のほうがまだ扱いやすいかもしれないけれど。(苦笑)

感情のコントロールというのはとても難しい課題だ。昇平のようなADHDの特徴を持つ子どもたちには、なおさら大変になる。
でも、成長と共に理屈がわかるようになってきたから、きっと、自己コントロールも少しずつできるようになってきているだろうと思う。どんなふうに、というのは、まだ思いつかないけれど、でも、なにかしら手だてはあるはず。

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今までの昇平の大きな目標は「他の子どもたちと適切に関われるようになること」だった。
ずっと長いこと、それこそ、保育園に上がる前からの長期目標だった。
それが昨年、とうとうクリアした。もちろん、まだまだ学ぶべきこと、教えることはあるけれど、でも、ひとつの段階を越えたのだと思う。
次の長期目標は、いよいよ「自己コントロール」。ここまで進んできたんだね、とも思う。
先はとても長い目標だけど、新年らしく、掲げておこう。
「自分の中の怒りんぼ虫を自分でやっつけられるようになる」
これが、昇平の今年の目標だ。

そうしたら、3学期初日、学校でも昇平はこんな生活の目標を書いてきた。
「けんかをしない」
うん。がんばろうね。

[06/01/11(水) 13:25] 学校 日常

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