昇平てくてく日記2

小学校高学年編

太ってきた

 最近、昇平は背が伸びた。それだけでなく、体重も増えた。身長増より体重増の方が大きくて、ローレル指数は跳ね上がり、「太っている」の一歩手前状態。二学期の発育測定では、学校の中で一番体重が増えた子というのが昇平だった。うーん、ちとやばいかも……。(苦笑)

 昇平の小さい頃を知っている方は覚えていらっしゃると思うが、昇平は非常に偏食の激しい子だった。保育園の頃など、「昇平くんの好き嫌いを教えてください」と言われても、とにかく「食べられる食材と調理法」が両手の指で間に合ってしまうほど、食べられるものが限定されていた。
 集中力が持続しなかったから、食事中に気は散るし、ある程度満腹になればすぐ遊びに行ってしまって、食べる量も少なめ。だから、昇平の体格は平均より小さめな方だった。
 そんな昇平を見て、主治医が言っていた。
「周りの様子がわかるようになってくると、偏食も直ってくるんですけれどね」

 まるで予言が当たるように、昇平が周りの人に関心を持ち始めた小学4年生のあたりから、食の幅が急に広がり始めた。他の人が食べているものに関心を持ち出し、今まで食べたことのないものを口にするようになり、「あれ、けっこうおいしいね」と言うようになり、食べる量も増えてきて……今では、「これおいしそう」「おかわり!」「ねえ、おかあさん、これ食べていい?」「デザートはぁ〜?」 しょっちゅう食べ物の話をしているような気がする。(苦笑)
 だから、体も本当に大きくなってきた。身長としては、ちょうど学年男子の真ん中くらいだけれど、がっちりしていて、やや太め。お腹だけでなく、体全体、腕も足もむっちりと肉付きが良くなった。どちらかというと、水太りではなく堅太り型。
 なものだから、少し会わなかった人が昇平を見ると、決まってこう言うようになった。
「昇平くん、大きくなってきたね〜!」
 時にはもっとはっきりと、「太ってきたんじゃないの?」と言う人も。

 大きいと言われるのは嬉しいけれど、太るのはまずい、と当人もわかってはいる。
 あまりしょっちゅう「太ってきた」と言われるので、おやつや食事の節制を始めた。おやつはだいぶ我慢できるようになってきたかな? 食事の方は、相変わらずよく食べるけれど、「そろそろおしまいにしたら?」と言われると、一応素直に食べるのをやめる。……その後こっそり、おかずを一つつまんだりはしているようだけれど。
 運動にも積極的に取り組むようになってきた。
 家の中では相変わらずパソコン中心で、ほとんど体を動かすこともないけれど(体を動かして遊べる相手もいないし)、学校では積極的に運動や体育に取り組んでいるらしい。今学期、ゆめがおか学級にはトランポリンが置かれ、昇平は「毎日3分ずつトランポリンで跳ぶ」というのを目標にしていたけれど、今のところ、しっかりがんばっているらしい。
 体育のサッカーも、今までならば走ったりボールを追いかけたりということに関心が向かなかったのだけれど、「痩せる」という目標ができたとたん、しっかり走るようになってきたらしい。二学期で楽しかった教科と内容を聞いたら、「体育のサッカー」と答えが返ってきて、あらあら、と思った。楽しかったものに体育の名前が挙がってくること自体、ものすごいと思う。
 マラソン大会の時にも、「ダイエットになるからいっぱい走りなさい」と言うと、毎日休み時間に校庭を走っていた。体育の時間も、走ることに積極的に取り組んでいたと言うから、やっぱりがんばっていたようだ。

 「太る」のは良くない。健康にも、身体機能にも良くない。
 でも、痩せるために節制して運動しなくちゃいけない、という目標は、昇平にとってはわかりやすかったから、結果として、「我慢」や「運動」のための良い動機づけになっている気がする。
 三学期が始まって、学校で体を動かすようになって、昇平のお腹がほんの少〜し引っ込み始めた。このまま少しずつでも、目に見えて痩せていけば、本人はさらに自分の頑張りを実感するんだろうな。
 まあ、なんでもものは考えようかな。
 

[07/01/14(日) 11:33] 学校 日常 発達障害

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