昇平てくてく日記2

小学校高学年編

日曜日の日記

 やっぱり、最近昇平に関して日記のネタが多くなっている。ちょっとしたことなのだけれど、私好みの面白い行動を見せてくれるものだから。(笑)

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 日曜日に町内会のイベントがあった。体育系の催しなので、昇平ではなく兄ちゃんの出番。私もその役員なので、前日の土曜日の夜から準備に忙しかった。
 今まではそれでも無理を言って先に帰らせてもらっていたのだけれど、さすがに当日前夜となると、そうも言ってはいられない。旦那に頼み込んで早めに帰ってきてもらって、昇平のお風呂と就寝を頼んだ。結局、準備が終わって帰宅したのは、夜10時半過ぎだったけれど、その時にはもう、昇平も旦那も布団の中でぐっすり眠っていた。
 翌朝、本番に出かける前に身支度していたら、昇平が起き出してきて、私の顔を見るなり、「ただいま!」と言った。昇平は今でも、とっさに言おうとすると「おかえり」ではなく「ただいま」と混乱して言ってしまうことがある。
 それから、「お母さん、睡眠不足じゃない?」と聞いてきた。昨夜はよほど母が遅く帰ってきたと思ったらしい。「大丈夫だよ」と返事をしたら安心したが、これまで、そんなふうに昇平から心配されたことがなかったからものだから、私はなんだかものすごく感激してしまった。
 「おかえり」を「ただいま」と言い間違えてしまうからって、それが問題なわけではないんだよね。
 お母さんが帰ってきて嬉しいな、と感じる心、お母さんが寝不足で疲れてないかな、と思いやる心。そんなのがしっかり育ってきているんだと感じられたのが、本当に嬉しかった。

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 日曜日のイベントの後、反省会があった。うちの町内会には、ラーメンを作るのが得意な人がいて、よく、そういう集まりではみんなにラーメンをご馳走してくれる。これがまた、本当に美味しい。
 ところが、今回は人の集まりが悪くて材料が余ってしまった。そこで、急遽、家に電話して、昇平と旦那にもラーメンを食べに来てもらった。
 昇平はラーメンが大好き。しかも、昼食に軽くパンを食べただけだったという話で、お腹もほどよく空いていたらしい。できる前からウキウキと会場をうろつき回って、何度も料理場をのぞいては、作ってくれているおじさんとことばをかわしていた。
「チャーシューいっぱいのせて!」
「メンマも!」
「ホウレンソウもどっさり!」
 としっかりリクエスト。
 作って食べさせるのが趣味の人にとっては、せっかく準備した料理が残されるのが一番悲しいのだと思う。そこへ昇平が来て、物怖じもせずに、あれこれ注文するものだから、むこうもすっかり上機嫌。できあがったラーメンを「うまいっ!」と食べる昇平を、目を細めて眺めていた。

 昇平はお世辞は言えない。そんな器用なことはまだできない。本当においしいと思うからこそ口から出てくることばではあるのだけれど、普通の5年生ならそう思っても遠慮したり恥ずかしがったりして言わないことを、昇平はなんのてらいもなく言う。そして、それが逆に相手に喜ばれたりもする。
 昇平はコミュニケーションに難がある。ことばにも困難がある。場の雰囲気を読めなくて、言わなくていいときに言ってしまったり、騒いでしまったり……ということがよく起こる。
 だけど、そんな彼の特徴が、逆に相手から受け入れられる場面もあるんだな、とも思った。
 ADHDやスペクトラムの子どもたちは、本当に、純真で素直な、子どもらしい子どもという気がする。そんな部分がいい、という人たちも、この世の中には確かにいるんだなぁ、と。

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 日曜日の日中は、予定通り、父に温水プールに連れて行ってもらったらしいし、あれやこれや、楽しく週末を過ごしていた昇平だった。

[07/01/29(月) 08:51] 日常 発達障害

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