昇平てくてく日記2

小学校高学年編

不安な気持ちを切り替える

 6年生の夏にある宿泊学習の行き先が山から海に変更になったと聞いて、大喜びの昇平。「ぼく、泳ぎたいな!」と楽しみにしているのは良いのだけれど、今度は雨が降って屋外活動ができなくなったらどうしよう!? と不安になってきた。
 まーったく……すぐ心配になりやすいよねぇ、君は。(苦笑)
 水曜日には、5−2の保健体育の時間に、心の成長のための活動に宿泊学習を結びつける話を担任がしたところが、「雨が降ったら、その日はどうするのか」と心配になってしまって、とうとうそこから気持ちを切り替えられなかった、と介助の西尾先生から報告があった。うーん。

 それがきっかけなのか、それとも今の心身の状態が起こしていることなのか、その後も、家や学校でやや情緒不安定な状態が続いていて、ちょっとしたきっかけで不安が爆発、パニックが起きている。
 同じ水曜日、家では少し前から楽しんでいたネットゲームが急にできなくなった! と大パニック。けっきょく、それはテスト公開のもので、作者が調整中のためにいろいろできたり、できなくなったりしていることが判明。「テスト公開というのはそういうもので、本公開になれば、ちゃんと遊べるようになる」と説明したが、それが納得できてパニックがおさまるまで、かなり時間と手間がかかってしまった。
 翌木曜日にも、その状態は続き……

 以下は、担任の連絡帳から。

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3月1日(木)   記録者:ドウ子

 今日、Iくんとほんの小さなことと言い合いのようになり、昇平くんがIくんを目のすわった顔(パニックを起こしたときの表情)でにらんだことから、Iくんが「こわい!!」と言いだしました。すると、昇平くんが「もう、ぼくには友だちがひとりもいなくなった」と言いだし、「大丈夫だよ」と言い聞かせても、Iくんが「もういいよ。そればかり言っていると、よけいイヤになっちゃうからやめてよ」と言っても、「友だちがいなくなった。一人ぼっちだ」を連発していました。昨日のお家での状態と同じなのでしょうが、なかなか切り替えられず、かなり引っ張りました。
 Iくんを大事な友だちだと思う気持ちの表れだとは思いますが、難しかったです。
 西尾先生の話によると、5校時目の5−2での理科でも「友だちが一人もいない」と言っていたそうですが、後ろの席のTくん(一緒に下校している子)が「ぼくが(友だちに)なってあげるよ」と言い、それを聞いた岩幡先生が「昇平くん、5−2の31人みんなが友だちだよ」と言ってくださったそうです。

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3月1日(木)   記録者:母

 本当に嬉しいことばです。Tくん、岩幡先生、ありがとうございます!
 情緒不安定傾向はまだ続いていて、何の原因もないのに、ふっと何かが思い浮かんでは、それが気になる……ということが、今日も何度かありましたが、
「今日はいろいろ気になって心配になりやすい日なんだね。気分を切り替えるといいよ」
 と声をかけると、自分から
「ま、いいっかぁ!」
 と明るい声を出して不安から気持ちを切り替え、昨日のような騒ぎにはなりませんでした。

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 本当に情緒不安定の原因はよくわからない。
 体調のせいかもしれないし、宿泊学習の話が少しずつ具体的になっていく中で、楽しみにするあまり、それが新しい不安を招いているのかもしれないし。
 具体的に宿泊学習の活動内容が決まって、「大丈夫、雨が降っても楽しめそうだ」と納得すれば落ちつくのだろうけれど、計画はまだまだこれから煮詰まっていく段階。宿泊学習に限らず、そんなふうに「まだ決まっていないあいまいな段階を待って過ごす」ということは、これからの人生の中で何度も起きてくるだろう。
 そんな時に不安になりやすかったり、なかなかそこから気持ちを切り替えられないのは、持って生まれてきた性格だからしかたがないけれど、「ま、いいっかぁ!」と自分から言えたように、自分で気持ちを切り替えて、気になる問題をとりあえず棚上げしておける力が育っていけば、きっと、これからの人生がぐっと生きやすくなるだろう、と思った。
 宿泊学習は、そのための良い練習にもなるかも……とも思った。岩幡先生の狙い通り、昇平にとっても、心の成長のためのワンステップになるかもしれない。
 うん。がんばれ、昇平!

[07/03/02(金) 08:39] 学校 日常 発達障害

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