昇平てくてく日記2

小学校高学年編

N先生〜身近な特別支援教育〜

 たしか、先週の木曜日の話。
 途中まで下校してきて私の車に乗り込んできた昇平が、急に話し出した。
「ぼく、○○の掃除当番なんだけどね、今日、6年1組のN先生に掃除のしかた教えてもらったんだ。Tみたいな形をした箒があるでしょう? あれはね、こうやって使うんだよ……」
 車の後部席で箒の使い方を実際にやって見せてくれる昇平。そうかぁ。具体的にしっかり教えてもらえたんだね。

 昇平の口からN先生の名前を聞いたのは、今回が初めてだった。学年が違うから、掃除当番の時くらいしか顔を合わせるときがないんだろうと思う。
 昇平は周りを見て真似をするというのもうまくはないから、きっと、掃除のしかたがとても下手くそだったんだろうな、というのも、容易に想像がつく。そんな時、この子は怠けているのでも、できないのでもなく、やり方がよくわからないだけじゃないか、と考えて、具体的に用具の使い方を教えてくださったというのが、ありがたいというか、すごいな、と思った。
 ここは、本当にそういう学校だ。ドウ子先生や岩幡先生と言った、直接昇平たちに関わる教師だけでなく、他の学年、他のクラスにも、昇平たちの扱い方が上手な先生がとても多い。子どもをしっかり見ているんだろうと思う。だから、その子がどんな状態にあるのか、どんなことが苦手なのか、そのためにどんな手助けが必要なのか……そんな見極めができるんだろうと思う。

 それって、学校全体の雰囲気、先生たち一人一人の自覚の問題だなぁ、とも思った。気持ちが子どもたちに向いている先生が大勢いる学校は、学校全体が本当によい雰囲気になる。子どもたちの顔も明るく伸びやかになる。
 高らかに歌い上げられている「特別支援教育」。
 だけどそれはごく当たり前の、学校のとても身近な場所にあるものだな、と改めて思った。

[07/03/05(月) 08:18] 学校 発達障害

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