昇平てくてく日記2

小学校高学年編

6月(1)〜大人になっていく君〜

6月4日(月)

 今週、私はものすごく忙しい。夜には町内会の役員の仕事で外出。「お風呂の順番が回ってきたら、自分で入っていてね。勉強も布団敷きもよろしくね」と言い残して出かけたら、帰宅したとき、ちょうどお風呂に入っていた。チャレンジと布団敷きも終わっていた。
 母が忙しいと、いろいろしわ寄せは行くけれど、大人になっていく良い機会かもしれないなぁ、とも思った。

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6月5日(火)

・紐結び続報

 練習用具を使って学校で何度も練習しているらしい。ただ、実際にズックの紐を結ぼうとするとできないので、練習用具と同じようにサインペンで色の丸印をつけてやろうかと考えていたら、「もうすこしなれたら、練習用具の紐を無印のものにしたいと思います。」と連絡帳に書かれてきた。なるほど〜! さすがはドウ子先生でした。
 昨夜は私が不在だったので、一日遅れで今日を「昭和の日」にした。「ブラックジャックは面白いねぇ」と、昇平はご機嫌。そのあと、「ピノッキオ」も読み終えた。これにも、なかなか良い反応を示しながら聞いていた。次は何の物語を読もうかな〜。

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6月6日(水)

 町内の小中学校の特別支援学級の交流会が中学校であった。今回はカレーパーティ。自分たちでカレーを作り、それぞれに出し物を披露する。
 連絡帳に写真がはさまってきたが、中学校の男の子と昇平が腕相撲している場面と、ゆめがおかの全員で「アララの呪文」を踊っている場面が写っていた。腕相撲はとても楽しそうだったし、ダンスは自信を持って踊っているのがわかった。
 なんだか、小学校6年間の積み重ねの力というものをつくづく感じてしまった。中学校の上級生と仲良く過ごしてこられたのも、中学生に向けて良い兆しだと思う。

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6月7日(木)

 診察日。放課後、病院へ行った。連絡帳を見たが、「今日は一日落ちついて過ごしていて、特記することはありません。」と書かれてきた。
 病院では主治医のY先生相手に、今日あったことをいろいろ話す昇平。でも、話すことに夢中になって、先生が時々質問しても気がつかない。注意を促されて気がついても、今度は、返す答えがショートアンサー。それに対して、また質問されても、一方的にまた話を進め……。
 もちろん、診察室に入っても先生に質問されたことなどまるで無視していた昔よりは、ずっと良いのだけれど、そういう場面を見るたびに、「相手とことばのやりとりをすることを教えていく大切さ」というのを改めて感じてしまう。まあ、ようやくそういうものを教えていける段階まで到達してきた、ということでもあるから、成長の証しではあるのだけれどね。
 先は長いなぁ。(苦笑)

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6月8日(金)

 今日も「昭和の日」。とにかく最近ブラックジャックが気に入ってしまった昇平。今日もご機嫌でパソコンを終了させた。そこへ、早めに帰宅した兄ちゃんが二階に上がってきたので、「一緒にブラックジャックやる?」と聞くと、「やってもいいよ」。そこで、3人で勝負になった。
 他のトランプゲームでは、せいぜい2回くらいで「別のをやろう」と言ってくる昇平が、このブラックジャックだけは何度でもやりたがる。まあ、引きが強いというのもある。何故だか、ここぞと言うときには勝負強さを見せる昇平だから。反対に、何故か負けが続くのが兄ちゃん。あまり負けるので、途中で私が親を交代したけれど、それでもやっぱり負けていた。
 でも、これなら本当にきょうだい仲良くひとつのことが楽しめる。年が離れている分、関われることも少ない二人だから、これからもこんな機会を少しでも持たせたいなぁ、と思った。
 兄ちゃんも、うまくすれば来春には大学生。それでこの家を離れていくのかもしれないからね……。

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6月9日(土)

 終日『とーます!』の学習会。午前中はペアレント・トレーニング。午後はコーチングに関する勉強会。
 久しぶりで昇平も一緒に連れて行き、小学1年生、2年生の男の子たちと一緒に、大学生のボランティアのお姉さんたちと一緒に、託児室で過ごしていた。 特に2年生の男の子と気が合ったようで、ポケモンの話をしたり、絵を描いたり。時々トラブルもあったようだけれど、夕方3時半まで過ごすことができた。
 昼は会場の食堂でランチを食べたが、昇平がほとんど何でも食べるのを見て、昔から昇平を知っている会員さんが、「あれ、昇平くんってもっと偏食がひどくなかったっけ?」と驚いていた。
 そうそう、保育園の頃なんか、食べられるものを数えた方が早くて、それも片手の指で間に合っちゃうくらいでね〜。それが今は、豆以外ならほとんど何でも食べられるし、逆に「あんまり食べ過ぎると太っちゃうから、もうやめなさい」なんて言うくらいなんだよ〜、という話をして笑った。
 何でも食べるようになったからだろう。体も本当に大きくなってきた。久しぶりで昇平に会う人は皆、「大きくなってきたね!」と驚くけれど、今回もやっぱりそうだった。

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6月10日(日)

 郡山の実家の父が体調を崩して入院したので、旦那と昇平と3人で見舞いに行ってきた。本当は町内会の行事が入っていて行けないわけだったのだが、雨で延期になったので、思いがけず行けることになったもの。兄ちゃんだけは、友達との先約が入ってしまってダメだった。
 同じく見舞いに私の妹弟たちも集まったし、田舎から親戚も出てきたので、ちょっとした家族会のような感じだった。入院してもう一週間くらいになるので、父もずいぶん元気になっていて一安心。ただ、面会していた談話室に2歳くらいの小さな子がいて、退屈したのかぐずり気味。昇平がだんだん辛そうになってきたので、私は昇平を連れて先に玄関ロビーに下りていた。
 その場所を離れたとたん、「うるさくて死ぬかと思った!」と昇平。うん、よく我慢したね、偉いねと誉めると、昇平は怒っていたこともあって、「偉くなんかねーよ!」。あ、それなら誉めるのやめた、と言ったら、あわてて、「ごめんなさい、誉めてください」と言ってきたけれど。
 昨日のペアトレの学習会でも中田先生がおっしゃっていた、年齢が上がってくると、ただ単純に誉めるペアレント・トレーニングだけでは足りなくなってくるんだという話を、なんとなく思い出してしまった。発達が遅れ気味の昇平だけれど、それでも、やっぱりしっかり大人になってきているんだよね。
 母一人の力で何とかできることも、最近本当に減ってきてしまった。本人自身の生きていく力、成長していく力をどう支援していくかということと、周りの人たちの理解と協力をどうやって得ていくか、がこれからますます重要になっていくんだろうな、と考えた。
 


[07/06/11(月) 13:53] 学校 日常 療育・知識 発達障害

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