昇平てくてく日記2

小学校高学年編

6月(3)〜いろいろ頑張る〜

6月18日(月)

 昇平は小学1年生の頃から、進研ゼミの「チャレンジ」をやっている。まあ、保育園の頃からしまじろうが出てくる「こどもチャレンジ」をやっていいたから、その続きだったのだけれど、視覚認知優勢で短期集中決戦型の昇平にはチャレンジの形式が合っていたので、ずっと毎日の宿題に加えてチャレンジを一単元やるのが習慣になっている。
 今までは少し分量が多い(ように見える)と怒り、書いた答えが×になると、直しを面倒がって怒り、自分でやるところを選んでいいよ、と言うと楽な社会科や得意の理科から始めて、問題数の多い算数や国語は後回し、月の終わりにやる赤ペン先生(提出課題)もやらないこともあって……という状況だったのだけれど、ここ数日、その様子が変わってきた。
 社会、理科、国語、やれるところは全部終わってしまった今月号。残りはまだ学校で習っていない算数だけ。「予習になるから、間違ってもいいから自分でやってごらん」とやらせてみたら、単元内容が「平均」でわかりやすかったからかもしれないけれど、「平均って面白いねぇ」と言いだした。おやおや? まだ習っていないと「わからない!」と怒っていた人が、何も言わずに黙々と説明を読み、課題に取り組んでいる。自分でどうしてもわからなくなると、母に聞きに来る。それでも答えを間違えて、何度も直しをさせられるのだけれど、それでも怒らない。素直に説明を聞きながら直しに取り組む。
 ……どっ、どうしたんだ、急に!?
 そうやって、とうとう最後まで騒ぐこともなくやり終えてから、「ぼく、全部できて偉かった?」。
 自分から騒がないできちんと学習しよう、と頑張っていたらしい。もちろん、たくさんたくさん誉めたけれど、その中でも特に、自分から頑張ろうと考えて頑張ったことと、学習中に間違えても怒らなかったことを強調して誉めた。間違ったっていいんだよ、直して、次に間違わないようにすればいいんだから。そんなふうに話しながら。
 このところ、本当に急に体が大きくなってきている昇平。心の方も急に成長してきているのかもしれない。

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6月19日(火)

 「ぼく○○しちゃった、ごめんね」「お母さん、大丈夫?」「おばあちゃん、食欲ないの? ボクのゆで卵をわけてあげるね」……最近、昇平は家族のいろいろなことを心配してくれる。今まで自分のことだけでいっぱいいっぱいで、他には何も見えないような感じだったのに。
 今日は学校で初めてプールに入ったのだけれど、ついこの間まで普通に着ていた水着がぴちぴち。先生から「大きな水着を買ってもらいなさいね」と言われたところから、「新しい水着を買ったらお金がなくなる! うちが貧乏になる!」と心配し始め、気持ちが切り替わらなくなってしまって、私のところに電話がかかってきた。私が「大丈夫だよ。水着を買うお金はあるからね」と言ったとたんにガチャンと電話が切れ、その後すっかり安心した顔になって、「ぼくの勘違いだった」と先生に言ったそうだけれど。
 「それくらいで貧乏にはならない、大丈夫だよ」と他の人から言われても納得せず、家族から「大丈夫だよ」と言われて納得するというのは、ある意味非常に正しい判断かもしれないと思いました――とは、連絡帳に書かれたドウ子先生のコメント。確かにそうかも。
 さっそく下校途中で新しい大きな水着を買ったけれど、これも間もなくきつくなってしまうかもしれない。そうしたら、また新しいのを買って上げるからね、とは話したけれど、本当に、最近の昇平の成長ぶりにはびっくりさせられる。母が追いついていけない。(苦笑)

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6月20日(水)

 最近、昇平は「ザ・ベストハウス123」というテレビ番組を気に入って見ている。世界中のいろいろな珍しいもののベスト3を紹介する、というバラエティ番組なのだが、「昭和の日」でビデオ・ゲームを止めて普通にテレビを見るようになってから、面白がって毎週見るようになったもの。
 これを見た翌日、学校の朝の会で番組の話をしたらしい。普段は昇平にしかわからないゲームの話なので、誰もそれに続けられないのだけれど、この番組の話をした後は、クラスのお友だちと、「水の上を走る車を見た?」「うん、見たよ」と、普通に教室でかわされるような会話をしていたらしい。
 やっとかなぁ。やっと少しずつ、自分の外の世界にも目が向き始めたかなぁ。そんなふうに思いながら昇平を眺めている。

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6月21日(木)

 診察日だったので、放課後病院へ行って主治医に最近の様子を報告した。
 先生と昇平で話もしていた。SST的な指導の意味合いもあるので、昇平の話にただ相づちを打つのではなく、一つのテーマに絞って話をすること、相手がもっと詳しく知りたいと質問してきたときにはそれについて答えること、相手にわかるように説明すること――などを指導の目的にしているのが、わきで聞いていてわかった。つまり、これが普段の家庭の中でも昇平がとり組むべきこと。
 相手に言われたり、説明されたりすれば、「ああ、そうしなくちゃいけないんだ」と気がつくことができるけれど、自分からはまだまだそういう配慮ができない昇平。今は、大人が働きかけて、「相手があっての会話のしかた」を教えなくちゃいけないんだろうな。

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6月22日(金)

 私たちが住んでいる町では、毎年夏休みに町内の全学校の小学6年生が参加する水泳記録会がある。6年前、長男も参加したのだけれど、今年はいよいよ昇平の番。なんだか感無量だ。(笑)
 一番基本のコースは25メートル泳。昇平は、犬かきでなら足を付かずに25メートル泳げるようになったので、ドウ子先生と6年生の体育担当の先生が話し合って、「ドル平」というもので25メートル泳ぐことに挑戦させることにしたらしい。ドル平というのは泳げるようになってきた子が最初に覚える泳ぎ方で、ドルフィンキックまたはバタ足を使い、手は平泳ぎのようにするやり方らしい。クロールのように手のかきをつけると体のバランスを崩してかえって進まなくなるだろうから、という配慮。なるほど、もっともだ。
 連絡帳によると、今週この「ドル平」の練習を始めて、だんだん形になり始めているらしい。本人も「泳げている」という実感があるらしく、プールがあるたびに「水泳楽しいよ!」と笑顔で話している。
 去年は水泳というとプールで遊ぶことがしたくて、自由時間がないと怒り出して先生方を困らせていたのだけれど、今年は「記録会のために速く長く泳げるようになる」という目標に向かって頑張っているらしい。ゴーグル使用禁止でプール前に騒いだことはあったけれど、プールの時間内に騒いだという話はまだ聞いていない。
 具体的な目標がはっきり打ち出されていると、それに向かって頑張れる――というのが昇平の特長なのかもしれない。

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6月23日(土)

 母はあれこれと多忙な一日。昇平はおとなしく過ごしていた。ゲーム時間がちょっと長かったけれど……それは大目に見るしかないか……。昼前、一緒に自転車でコンビニまで買い物へ。夜は「昭和の日」にして、一緒にトランプをやり、「ガリバー旅行記」を読み終えた。とても楽しんだ物語だった。次は何の本を借りようかな。

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6月24日(日)

 母、町内会の役員の仕事で朝から夕方まで不在。その間、父と留守番。
 朝のうちこそ、「お母さん、何時に帰ってくる? 本当に帰ってくる?」と不安そうにしていたけれど、旦那の話を聞くと、日中は落ちついて過ごしていたらしい。午後には、一緒に自転車で遠くのスーパーまで買い物に行ったという。「ちゃんと行けたぞ」と旦那。たまに一緒に自転車に乗るたびに、昇平の自転車の乗り方が上手になっていると感じるらしい。
 夜は、旦那と私と昇平と三人でトランプ。兄ちゃんは宿題が終わらなくて参加できず、「一緒に大富豪やろう」と言って上がってきたときには、もう昇平の寝る時間になっていた。兄ちゃん、残念でした! 次回はぜひ、もっと早く宿題を終わらせておいてね。


 今週は先週に引き続き落ちついた感じの昇平だった。頑張る姿勢も随所に見られる。
 本当に偉いけれど、あんまり何でもかんでも頑張りすぎると、そのうち疲れてしまうから、その点だけは気をつけて見守ろうと思っている。

[07/06/25(月) 11:36] 学校 日常 療育・知識 発達障害

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