昇平てくてく日記2

小学校高学年編

6月(4)〜経験の幅が広がってくる〜

6月25日(月)
(今日の連絡帳から。)

記録者:ドウ子

 今日は五校時目のプールが雨でなくなりましたが、特に不満を言うこともなく、L子さんが「算数をやりたい」と言うのに合わせて、一緒に同じページを勉強しました。途中、一年生の下校のために私は10分間ほど教室を離れたのですが、その間に二人とも教科書の復習のページを終え、なおかつ、L子さんが自作の平均の問題を昇平くんに出し、昇平くんがそれを解き……と、とてもきちんと学習していました。
 昇平くんは、「音楽のリコーダーが苦手だから練習したいんだ」とも言いだし、今度L子さんと、ゆめがおかで特別に練習することにもしました。
 やる気がいっぱいの一日でした。


 ……やっぱり、昇平は頑張っているらしい。(笑)

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6月26日(火)

 夜に「昭和の日」。ブラックジャックは私の大敗。「いやぁ、ブラックジャックは楽しいねぇ〜」と昇平。オマエは水野さんか。(負けてちょっと機嫌の悪い母)
 その後の読書は、昨日図書館から借りてきた「美女と野獣」。予想通り、かなり熱心に聞いていて、とうとう一気に読み終えてしまった。読み終えるまでに小一時間かかったのだけれど。
 心優しい娘ベルは最後に幸せになり、意地悪な二人の姉たちは、妹の幸せを喜べなくて心も体も石になってしまった――というエンディングに、昇平しみじみと、「ぼく、前はぼくの中にベルとお姉さんたちの両方を持ってたな」。これからはどうなりたいの? と聞いてみたら、「ベルの方になりたい」。
 これが昔話(正確には昔話から再話した物語)のいいところだな、と思った。いいことをすればいいことがある。優しい人になれば、人から好かれて、結果として自分も幸せになれる。そういう、単純なまでの人生の真理を、押しつけでなく、子ども自身が気がつける形で伝えてくれるから。
 次回の昭和の日の読み物は、メーテルリンクの「青い鳥」。同じ一冊の本の中に入っているので。世界の児童文学名作路線だなぁ。(笑)

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6月27日(水)

 夜、一週間楽しみにしていた「ザ・ベストハウス123」をテレビで観た。とても楽しんで観ていたけれど、「今度これをビデオに録ろう」と昇平が言い出したので、「お母さんが子どもだった頃の昭和の時代にはビデオはなかったよ」と却下した。
 やっと普通のテレビの見方ができるようになってきた昇平。「一週間、楽しみに待ち続ける」ことや「その時にしか放映されないものを集中して観る」ことも、大事な経験だし、楽しみのうちのような気がするので。一期一会の楽しさ。大袈裟に言えば、そういうことなのかも。

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6月28日(木)

 六年生の校外学習があった。今回は他のお子さんとの兼ね合いで、介助の先生なしに単独で参加した昇平だけれど、トイレ休憩でトイレに行かずに、歩き出して間もなくトイレに行きたくなり、他の同級生全員を待たせてトイレを借りに行ったり、それ以外にも、先生方にも判断に迷うような場面や行動が多々あったという。「やはり、介助なしで校外学習に参加するのはまだ無理なような気がします」とは、連絡帳のドウ子先生のコメント。次からは、校外学習の際には調整して、ドウ子先生が付き添うことにする、とあった。
 昇平は場面認知が非常に悪いから、初めてのところ、見知らないところばかりを見て回る校外学習ではかなりの困難を示すだろう、と私も思う。場にあった適切な行動もなかなかとれないし。
 「手が足りないのでお母さんがついてきてください」と言ってくる学校も多い中、調整して教師がついていくと言ってくれるこの学校は、ほんとうにありがたい。
 でも、必要に見合うだけの介助の手があればいいのに、とは、もっと思う。

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6月29日(金)

 夜、金曜ロードショーで「ターミネーター」を観た。カーチェイスやアクションは喜んでみていた昇平だけれど、誰がどういう役割なのか、何をしている場面なのか、何が起きているのか、そういう理解は観ていてもできないので、一緒に観ている私が解説役。映画館なら周り中から大ひんしゅくを買うけれど、家でテレビを観ながらなら、誰にも迷惑をかけないからいい。そうやって説明されると、昇平も映画の内容が理解できて、楽しめるようになる。
 まあ、実際にはお化けのようなロボットが出てきて怖がったり、ラストが完全なハッピーエンドでなかったのを観て、「バッドエンドだね」とショックを受けたりはしていたけれど、それなりに自分の中で整理できたようで、あまり後に引くことはなかった。(夜、寝るときだけは少し怖がって、私にくっついていたけれど)
 以前は、「怖いものが出てくるかもしれなくて怖いから、未知の作品は観ない」だったのが、最近は「お母さんがそばにいれば、面白そうなものなら観てもいいな」という姿勢に変わってきている。いい傾向だと思う。

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6月30日(土)

 兄ちゃんが珍しく土曜日に休みで家にいた。一台のパソコンを昇平と兄ちゃんで交代で使い、夜は一緒に三人でブラックジャックをした。兄圧勝、昇平そこそこ勝ち、母惨敗。最近勝てないなぁ。三十分くらいやって、ようやく昇平が「そろそろ終わろう」と言いだした。なんとなく、そんな切り出し方も前より上手になったような気がする。
 そうそう。午前中に散髪にも行って、夏らしい髪型になってきた。散髪も回を重ねるごとにおとなしくやってもらえるようになって、今回は今までで一番上手だった。

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7月1日(日)

 父と母と三人で福島市内までドライブ。ゲーセン→書店→マクドナルド→ミスタードーナツ という、いつものコース。ゲーセンでは、私からもらった200円だけしか使わなかった様子。書店では自分の財布のこづかいでポケモンのクイズブックをゲット。マクドでは、試験勉強で一緒に来られなかった兄ちゃんのハンバーガーを買い忘れないかととても心配し、ミスドでも、兄ちゃんがリクエストしていたアップルパイを買い忘れないかとやっぱり心配していた。
 夕方、兄ちゃんが息抜きに2階にゲームをしに来たら、昇平から言い出して、二人で一緒にゲームをしていた。久しぶりに見る光景だった。
 夜は親子四人でブラックジャック。兄ちゃんと旦那が加わるとゲームのペースが速くなって、昇平にはついていくのが少し大変になるのだけれど、文句も言わずに一緒にやっていた。(時々気が散っていたけれど。)
 家族との関わりの多い週末だったように思う。


 ほんの少しずつだけれど、昇平の経験の幅が広がってきたように感じる。それは、新しいことに対する不安を少しずつ乗り越えてきたことに関係している気がする。それだけに、新しく経験する場で成功体験を積むことは、なおさら大事になってくるんだろう。校外学習、外出先……成功体験を積むために、周囲の助けを借りたい場面は多い。

[07/07/02(月) 10:11] 学校 日常 療育・知識 発達障害

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