昇平てくてく日記2

小学校高学年編

7月(2)〜授業参観・学期末テスト

7月9日(月)

 夜「昭和の日」。パソコンもゲームもビデオも止めて、いつものブラックジャックと本の読み聞かせ。今はメーテルリンクの「青い鳥」。この作品はもともと舞台用で、しかも寓意性が非常に強いので少しわかりにくいのだけれど、それでもところどころに驚くほど良い反応を示して聞いている。「幸せの国」という章では、「人に意地悪をする幸せ」とか「お腹がすいてないのに・咽が渇いていないのに、食べたり飲んだりする幸せ」なんてのが出てくるけれど、「そんなもん、全然幸せじゃねーよ」と言っていた。うん。君の感覚は正しい。
 歯医者で三ヶ月ごとの定期検診があったが、今回は虫歯なし。歯の染め出しもしたけれど、今まででは一番上手に磨けていた。

 
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7月10日(火)

10jul01 一学期最後の授業参観。今回、ゆめがおか2組は「偽リゾート写真を撮って、暑中見舞いを書こう」という内容だった。
 教室には、子どもたちが自分で描いた夏の浜辺の風景がパネルに張ってあって、その前にはレジャーシート、小道具の浮き輪やビーチボールもふくらませてある。子どもたちは家から持ってきた半袖半ズボンや甚平、サマードレスなどを着て、リゾート地でのんびり過ごしている写真を作ってしまおう、というわけ。
 単元内容は、暑中見舞いのハガキの書き方。黒板に特大のハガキの見本を貼って、そこに、宛名、宛先、差出人名、差出人住所を書いた4枚の短冊を、子どもたちに磁石で貼ってもらっていく。普段、自分で宛名など書いたこともない子どもたち。嬉しいくらい間違ったところに短冊を貼る。
 すると、ドウ子先生が言った。
 あれ、これでちゃんと届くかな? おかしい気がするね? 郵便屋さん、これでは配達できなくて迷っちゃいそうだよ。正しく直せる人――はい、L子ちゃん。あー、L子ちゃんはこうするといいんだって。これでちゃんと届くかどうか、わかっている人に聞いてみましょう。おうちの方、これで良かったら手を上げてください。ああ、お母さんたちみんな手を上げました。L子ちゃん、大正解です!
 ドウ子先生は授業の持っていき方、子どもたちの心のつかみ方が本当にうまい。黒板に貼った住所の見本を子どもたち自身に作らせて、書くべき内容と位置を視覚的に示してみせる。宛名につける「様」はわざと書かずにおいて、子どもたちの目の前で大きくはっきりと「様」をつけて意識させる。大事なポイントは、他とは違うやり方でしっかり印象づけて。
 その後、子どもたちに配られてきたのは、それぞれがあらかじめ出したいと考えた人の住所と宛先、自分名前を書いた、手本のコピー。裏面に書く文面「暑中お見まい申しあげます。」のことばと、日付、写真を貼る位置もちゃんと書いてある。一人ずつ用のお手本。これはいい。1年生にはひらがなで、6年生には漢字まじりで書いてあるし。
 一度、ハガキ大の紙に練習。――昇平はいつも作業が早くて、一番に書き終わる。先生に文字の間違いなど直してもらってから、いよいよ本物のハガキに書き出す。その合間に、子どもたち一人ずつが夏服に着替えて、偽リゾート写真の撮影。
 ADHD的な特徴を持つ子どもたちは集中力が短い。その代わり、切り替えは早いから、一つ一つの作業スパンは短めにして、次々と興味を引くような内容をもってくると、飽きたり退屈したりすることなく授業が続く。
 と理屈ではわかっていても、それを実践するのはなかなか大変。すぐに脱線したり、おしゃべりしたり、他の子の撮影に気持ちを惹かれて席を離れたり、早く書き終わったからと、勝手に学級文庫から本を持ってきたり……。それをしっかり自分に集中させて授業を進行させていくんだから、ドウ子先生は本当にすごいと思う。
 最後には、となりのゆめがおか1組からかわいいポテト屋さんが来て、手作りポテトチップスとフライドポテトを全員に配ってくれた。実は1組は、自分たちで育てたジャガイモを使っての調理実習だったのだ。いいねぇ。暑中見舞いでリゾート地の雰囲気、ポテトまで食べて、さらにバカンス気分満喫。「早く夏休みにならないかなぁ」という声が上がっていた。1組2組連携しての授業というのもばっちり。いやはや、大したものだった。
(写真は黒板に貼った見本のハガキに住所の短冊を貼ろうとする昇平と、ドウ子先生)

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7月11日(水)

 学期末の漢字テストで合格できなかった昇平。間違った漢字を練習するのが宿題になっている。練習したあとテストを受け直すと点数が上がってくるのがわかって、練習に積極的になってきて、今日はとうとう74点取ることができた。合格は80点以上。「もう少しだ!」と言って、今日の宿題は、一言も口をきかず、わき目もふらず、驚くほど真剣に集中してやっていた。書き終わってからは、黙ってノートを見つめて、さらに覚えようとしていた。これなら、次の再テストは合格できるかも。

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7月12日(木)

 迎えの車に乗り込むなり、「ほらっ!」と漢字テストを見せてくれた。なんと86点。合格シールが貼ってあった。連絡帳を見たら、テスト前にも最後の練習をしてからチャレンジしたという。「やればやっただけの成果が現れる」ということを、漢字テストを通じて実感したよらしい。「字を書くときに漢字を使うようにすれば忘れないんだよね」と学校でも家でも言っていた。

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7月13日(金)

 今日は学期末の計算テストがあった。こちらは実力で96点。これも、車に乗るなり「ほら、見て!」と嬉しそうに見せてきた。昇平、最近算数の力が伸びてきている。以前は少し複雑になったり、問題の量が多かったりすると、とたんにブツブツ文句を言って怒り出していたのに、それを「怒らないでやる」と自分で決めてから、学力自体も上がってきた気がする。
 学校では、水泳記録会で使用するプールへ行って、50メートルを2回、足をつくことなく泳ぎ切ったらしい。

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7月14日(土)

 台風4号接近中。雨でどこにも出かけられないので、一日家で過ごしていた。
 私がちょっと不調。午後からは頭痛もしていた。それこそ、台風が接近していたからかも。満足に昇平と関われなかったけれど、昇平の方も、のんびりまったり過ごしていた。今週もずっと勉強に、水泳の練習にとがんばってきたから、週末らしくリラックスしていたように見えた。

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7月15日(日)

 今日は旦那が休み。昼過ぎ、昇平とプールへ行こうとしたら、「ぼく、家にいる方がいい」。どうやら、学校で充分泳いでいるし、やっぱりそれなりにくたびれてもいるらしい。昨日に引き続き、家でおとなしく過ごしていたが、それで退屈することもない様子だった。
 兄ちゃんと久しぶりにテレビゲームをして、その時だけは元気な声が聞こえていた。

[07/07/17(火) 10:26] 学校 日常 療育・知識 発達障害

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