昇平てくてく日記2
小学校高学年編
8月(1)〜失敗と挽回
7月30日(月)
一日雨が降ったりやんだりの梅雨空。今年はとうとう梅雨明けが8月にずれ込みそうだ。あまり肌寒くて、長袖を引っ張り出して着込んだ。
プールも雨で行けなくなったので、昇平は一日家で過ごしていた。友達を呼んで遊びたくても、雨でやっぱりできなくて、工作用紙で小さな立方体を作り、それをつないで立体パズルを作ったり、ノートに絵を描いて私とモンタージュゲームをしたりして過ごしていた。
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7月31日(火)
雨が上がって暖かくなってきたので、午前中学校プールへ。ところが、迎えを頼む電話の声に元気がない。プールで潜っていたら耳に水が入って抜けなくなり、かんしゃくを起こしてしまったのだと、車に乗ってから自己申告してきた。まわりに迷惑をかけたようなので、「それはよくなかったね。ドウ子先生が見ていたら、きっと注意したと思うよ」と言ったら、「ドウ子先生、プールにいたよ」。あら、じゃあ母からはあまりくどくど注意する必要はないわね。「ドウ子先生に注意されたでしょう?」「うん」「じゃあいいわ。次から気をつけようね」
夕方からは抜糸のために歯医者へ。乳歯が抜けていないところに、大人の奥歯が顔を出し始めていたので。
いままでなら、抜歯に緊張して、先生が来る前からあれこれ興奮してしゃべったり、動いたり起き上がったり、先生や衛生士さんたちを質問攻めにしたり……と落ちつかなかったのだが、今回は、信じられないほど静かに待っていられたし、麻酔注射にも全然騒がず、抜歯そのものも落ちついてやってもらっていた。いつも、反射的に動いてしまうのを止めるために、私が足や腕を押さえているのだけれど、それも必要がなかった。先生も、ことばには出さなかったけれど、今までになく立派な治療態度に感心したかもしれない。昇平の方も、スムーズに歯を抜いてもらい、「全然痛くなかった!」と喜んでいた。
思うに、昇平は午前中のプールでの態度を、夕方の歯医者で挽回しようとしたのだと思う。自分でも立派にできたと感じたようで、満足そうな顔をしていた。
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8月1日(水)
夕方、また歯医者へ消毒へ行った。消毒そのものはおとなしくやってもらったが、その後、奥歯に磨き残しがあるのがわかって、歯の染め出し→歯みがき指導が入ったら、予定外のことに怒り出してしまった。母の私への仕上げ磨き指導だったので、まあ、なんとかやったけれど。終わったとたん、昇平はころりと機嫌を直して、「あれ、なんか落ちついちゃった。あんなに怒ったのに」
自分で自分の気持ちの変化や状態は把握できるようになってきたらしい。予定外に柔軟に対応できるようになるまでには、まだもう少しかな。
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8月2日(木)
M病院の診察日。久しぶりに午前中に行ったら、夏休みということもあって待合室が混んでいて、知人に二人も会った。なんだか、みんなそれぞれ頑張っているなぁ、と思ってしまった。
主治医に一学期の成績表を見てもらい、今月末にある宿泊学習中の服薬について相談をした。夜間の活動があるので、夜にもリタリン等があったほうがよいだろう、ということで、次回の診察日に、減量した夜用の薬を処方してもらうことにした。昇平自身は夏休み中、生活表を守りながら頑張っていることを報告していた。まだまだマイペースなところは相変わらずだけれど、それでも「ようやく(行動が)まとまってきた感じですね」と主治医に言われた。
夜は「昭和の日」。昨日から寝る前に私の創作ファンタジーを読んでやっているのだが、本人のリクエストで、その続きの読み聞かせをした。「勇者フルートの冒険6・願い石の戦い」という作品。ここまでの作品は以前に読み聞かせていたのだけれど、実は昔書いた子ども用の方。この「6」から先は、大人も対象にした難しいものしかないので、楽しめるかどうか心配したのだけれど、意外なくらい理解してついてくるし、わからないことばや内容には自分から質問をしてくる。物語を理解する力が伸びてきていたんだなぁ、と改めて思った。
しかし、この作品は本当に長い。やっと第1章が終わったけれど、夏休みが終わるまでに読み終えることができるかな。
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8月3日(金)
午前中、学校のプール。午後は二種混合予防接種の追加に行った。久しぶりの注射で昇平はドキドキだったけれど、実際にはほんの一瞬で終わってしまって、「全然痛くなかった!」。緊張からも解放されて、その後は超ご機嫌でいた。
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8月4日(土)
今日は歯列矯正の定期検診のために歯医者へ。今週三度目の歯医者さん。先日も永久歯が出始めた上の乳歯を早めに抜いてもらったので、歯並びにはほとんど問題なし。一番はじめに、ぐらぐらの前歯を抜くのを怖がったために噛み合わせが悪くなり、半年間矯正したのだけれど、それが教訓になって、その後永久歯が顔を出し始めると乳歯を抜歯するようになったので、歯並びはとても良くなった。右上の奥にもう一本乳歯が残っているけれど、レントゲンを撮ったら、もうすぐ下に大人の歯が伸びてきているのがわかった。これが正常に顔を出したら、歯列矯正の経過観察も終了する。これも一つの区切りを迎えるんだなぁ、とちょっと感激した。
今回も歯磨き指導があったけれど、今日は昇平は大変積極的。一生懸命磨き残したところを磨き、「この前抜いた後の大人の歯が磨きにくいんですけど」と自分から言って、衛生士さんから歯磨きの仕方を教わっていた。どうやら今回も水曜日の失敗を挽回しようとしたらしい。……がんばってるなぁ。
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8月5日(日)
盆前で仕事が立て込んでいて、旦那は今日も出勤。ものすごく暑い一日。旦那、ご苦労様。
子どもたちをつれて買い物と遊びに出かけた。兄ちゃんに夏服を買ってから、ハンバーガーショップで昼食、その後、兄ちゃんとは別れてゲーセンへ行った。
ハンバーガーショップで学校の友達を見つけた兄ちゃん、さっそくそちらに行く。すると、昇平も立ち上がって行こうとするので、あわてて引き留めた。「挨拶しようと思ったのに」と昇平は不満顔。うん、偉い。君のしようとしていることは正しいし、相手の人が大人だったら、それでいいんだよ。でもね、兄ちゃんたちのような高校生の男の子たちにはね、知らん顔してあげるのがいいんだよ。そういうものなの。……ルールや決まりはあるけれど、例外というものも、常にあるよね。
ゲーセンではまた昇平とエアホッケーで対決。今日は一勝一敗。母が勝ったのを見て、「う〜ん、負けちゃったなぁ」と昇平。潔かった。(笑)
夜、町内の小学5年生の男の子が、郊外のキャンプ場で川に流されて亡くなったニュースが入ってきた。昇平、かなりのショックを受けて小パニック。私としても、親や関係者の気持ちを思うと、何とも言いようがない想いがした。元気で今日一日を無事に過ごせること。その当たり前なことが何より大切なんだと、改めて思った。
[07/08/07(火) 05:15] 学校 日常 発達障害