昇平てくてく日記2

小学校高学年編

8月(3)〜帰省とC−SST

8月13日(月)

 前日から郡山の私の実家に帰省。昇平が大きくなったのは一目瞭然だったけれど、「中身も大人になって、行動が今までと全然違う」と行動面でも私の両親に驚かれた。実際、ずいぶん落ち着いたなぁ、と私も見ていて思った。全然危なげがない。昨日は郡山の親戚も集まって一緒に焼き肉をして、夜は昇平、父、祖父で花火をした。ところが、その後、昇平がいつまでたっても寝ない! 疲れているはずなのに、とうとう11時半くらいまで起きていていた。時々「寝られないよぉ」と母を起こす。どうやら寝る場所が変わったために眠れなくなってしまったらしい。これまでにも、ずいぶん郡山に泊まったのに、これは初めてのこと。それだけ周りの変化がはっきりわかるようになったのかもしれない。これも大人になったあらわれなのかも。……母は寝不足になったけれど。(苦笑)
 翌月曜日は昼に私の両親と妹一家と、ベーカリーレストランへ。1時間半かけてコースのランチを食べる、というもの。ちゃんと、デザート→スープ→魚料理→肉料理→デザート という内容で、もちろん、昇平はこういう席につくのは初めて。ジーンズで入れるような気楽な店だけれど、料理と料理の間の待ち時間が長いので、以前なら絶対にこういう場所には行けなかったのだけれど、今回はちゃんと最後まで座って食事をしていた。いろいろな種類の焼きたてパンは何度もおかわりが自由なのだけれど、それも、回ってきてくれたウェイトレスさんと話しながら、自分で選んで決めていた。う〜ん、本当に大人になってきたよねぇ。
 今日が盆の入りなので、夕方には帰宅して墓参りに行った。

   ☆★☆★☆★☆

8月14日(火)

 夏祭りの日。今年も、昇平を連れて、旦那と3人で出かけた。お腹がすいたので、すぐに屋台で焼きそばや焼き鳥、ソーセージなどを買い込み、川辺の河川敷へ降りて、そこで夕食。薄暗くなっていく中、川を流れていく灯籠の赤や黄色の光を眺めながら、8時15分の花火大会の開始を待った。途中、大泣きする子どもの声が聞こえてきて、昇平が泣いて怒り出す場面もあったけれど、それもなんとかスルーして、花火を見ることができた。今年の花火は、例年より数が多くて、なかなか見応えがあった。昇平は少しくたびれたようだけれど、それでも最後まで楽しんで見ていた。帰り道、川に灯籠を流した。たくさんの先祖がいて、その命が今の私につながり、子どもたちにまでつながっているんだと、川を流れていく光を見ながら素直に考えてしまった。

   ☆★☆★☆★☆

8月15日(水)

 毎日本当に暑い! 今日も福島市の気温は36.9℃。二階の私たちのいる居間は36℃まで上がっていた。
 さすがにこれでは体が持たないので、隣室のエアコンを入れっぱなしにして、そこを昇平と交互に使った。昇平が居間でパソコン(デスクトップ)をする時間帯は、私がエアコンの部屋を使い、昇平のパソコンタイムが終わったら、部屋を交代する。居間には扇風機が1台あるので、居間にいる人間はそれを独占できる、というわけ。
 自転車に乗って中学校まで行く練習をする予定だったけれど、とにかくこの猛暑が過ぎてからにすることにした。こんな中を無理して出かけたら熱中症になってしまう。暑い夏を無事元気に乗り切ることが、今年の夏の一番目標だな。

   ☆★☆★☆★☆

8月16日(木)

 今日も暑くなったけれど、風があったのでよほど過ごしやすかった。
 送り盆なので夕方、ばーちゃんと昇平と墓参りに行った。今年は昇平に頼むと手桶に水をくんで運んできてくれたり、あれこれ手伝ってくれる。決して器用ではないけれど、体が大きくなってきて力も強くなってきたから、それなりに役に立つ。
 人と比べる必要はないね。今、君にできることをやればいいんだ。それは、昨日まで君ができなかったことなんだから。君たちに「成長」という力を備えてくれた神様に、感謝だね。

   ☆★☆★☆★☆

8月17日(金)

 朝から暗い空。今までと違って、ぐっと涼しい。今日からまた学校プールがあるので、昇平は前の晩から楽しみにしていたのだけれど、今にも雨が降り出しそうで、プールがあるかどうか微妙。それを伝えたら、「雨が降るに決まってる!」としばらく、かんしゃくを起こしていたけれど、そのうちに、「プールがなくなれば、その時間パソコンをすることができるから、そっちでいいや」と気分を切り替えることができた。実際、午前中も午後も雨が降り、午後には一応プールを開放したらしいけれど、途中で中止になったらしいので、昇平の判断は適切だった。その後は、一日落ち着いて過ごしていた。

   ☆★☆★☆★☆

8月18日(土)

 私は明日に控えた親の会の学習会の準備やメールのやりとりで、一日バタバタしていた。昇平が落ち着いて過ごしてくれていたのが救い。お盆中、私の実家に泊まりに行っていた兄ちゃんが、まだ墓参りをしてなかったので、今日は兄ちゃんと昇平と三人で行ってきた。以前はなんとなく衝突の多かった二人だけれど、この夏休みはお互いに会話が成立することも多いし、一緒にゲームをしたり、協力してなにかをしたり(というより、兄ちゃんの命令に昇平が従う、という感じか)という場面も多かった。
 兄ちゃんの夏休みも明日で終わり。昇平も、来週からは陸上記録会の朝練習が始まる。実質、明日で夏休みは終わり、という気がする。……とはいえ、明日の学習会が成功してくれないと落ち着かないのだけれど。

   ☆★☆★☆★☆

8月19日(日)

 福島市内で親の会の学習会。一般にも公募してのペアレント・トレーニング集中講座と、会員の子ども対象のC-SST。昇平も今回はC-SSTに参加した。私は集中講座の記録係。

 C-SSTは子どもが小学校低学年〜中学3年生までと幅があるうえに、人数も十数名と多かったので大変だったのだけれど、指導の先生に力がある上に、専門者の協力も得ることができて、なんとかスムーズに進行した。昇平がどうしていたのか心配だったけれど、今回はトラブルも起こさずにいたらしい。最近の彼は本当におしゃべりで、思いついたら話さずにいられない、話し出したら周囲の迷惑になっているのにも気がつかない、という感じなのだけれど、「口はほめる」という合い言葉を教わったおかげで、勝手なおしゃべりを初めても自分でやめることができた……らしい。途中、用事があってちょっとC-SSTの会場に入っていったら、昇平はグループに分かれて、同じグループの子の発言の良いところをほめる、というのをやっていた。小さな女の子相手に、一生懸命ほめて、ご褒美のシールを胸に貼ってもらっているのが見えた。ちらっと見ただけでも、彼が対人や認知に抱える問題の大きさはわかるのだけれど、木曜日にも書いたとおり、周囲と比べてどうなのかではなく、今の彼がどうなのか、これからの彼がどう変わっていくか、が大事だから、「大人になったなぁ」と笑いながら眺めてしまった。

 C-SSTの後に、子どもたちはヨガも体験した。多動衝動性の強い子どもたち。ヨガなんてできるんだろうか、特に、静かにじっとしている(脱力のポーズを取る)ことなんてできるんだろうか、と思っていたのだけれど、始めのうちはもぞもぞしていた子たちも、やがて脱力し、年齢の高い子たちの中には、本当に眠ってしまった子たちも出てきたらしい。すごい〜!! ちなみに、小さい子たちの場合は、5分ほど過ぎるあたりでもぞもぞし始めたらしい。(脱力は10分間)これは、そうだろうなぁ、という感じ。でも、C-SSTとヨガをやり終えた子どもたちは、みんなすっきりした顔をしているように見えた。
 ちなみに、昇平には体を思い通りに動かせない、という特徴がある。ラジオ体操だって、見て真似することがなかなかできなくて、一通りちゃんとできるようになるまでに小学校6年間かかった。ヨガの時には、体のあちこちにさわりながら指導したとは聞いたけれど、絶対に昇平に誰か先生が専属でついたはず、と思い、「どんな先生がそばにいた?」と聞いたら、「えーとね、おばあちゃんの先生だった」 なんと、ヨガのインストラクターの先生自ら、昇平の指導をしてくださっていたらしい。なるほどなぁ、と思った。いい先生についてもらえて、良かったね、昇平。(笑)
 「またC-SSTがあるよって言われたら、またやりたい?」と聞いてみたら、ちょっと考えてから、「忘れちゃいそうだから、またやりたい」と答えた。3年前、早すぎる時期にC-SSTを受けさせて「もう行きたくない」と言っていたのが、こんなふうに変わったんだね。焦りは禁物。成長にあわせた練習の場が必要だってことだね。

[07/08/20(月) 20:15] 日常 療育・知識 発達障害

[表紙][2007年リスト][もどる][すすむ]