昇平てくてく日記2

小学校高学年編

9月(3)〜トラブル多発と陸上大会

9月10日(月)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 先週の土曜日の学習会で、年下の子を理解できなくて怒ったということでしたが、小さい子との「絡み」で言えば、今日も「おや!?」と思うことがありました。
 1組の1年生のTくんがちょっとしたことで原先生に注意されると言うことが昨日あったのですが、今日また、同じことをしようとして先生に止められ、昨日同じ場面に居合わせたお友だちからも「そうだよ」と言っていたところ、昨日一緒にいなかった昇平くんが何故か急に立ち上がり、拳を振り上げてTくんの頭上にふりかざしてすごんでいました。それを見て、2年生のや4年生の子たちが「1年生なんだから……」などと口々に止めようとしてくれましたが止めず、教師に言われてやっと席に戻りました。
 私たちから見ると、それほど怒るような場面ではないのですが、Tくんが何かいけないことをしたらしい、ということを感じて怒ったようでした。ただ、状況はよくわかっていないので、「昇平くんはわからないで怒っているよね」と言うと「はい」と言っていました。「わからない時はまざらなくていいんだよ」と言うと、「勘違い?」と言うので、「そうだと思うよ」と言うと、表情が元に戻りました。

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 場面が理解できない、ということと、不適切に怒ってしまう、ということには密接な関係があるなぁ、と思った。
 家では家で、チャレンジで算数をやっていて、忘れていた問題に出くわして怒り出していた。道のりと時間から早さを求める問題だったので、「み・は・じ」の公式を教えたら何とか理解して、それで落ち着いたけれど。こういう場面で怒り出したり、爆発したり、ということも昇平は非常に多い。

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9月11日(火)

 明日は陸上記録会。今日も6年生はたくさん練習したらしい。暑さも戻ってきて、体としてもちょっときついところ。
 電話をもらって車で迎えに行ったら、待ち合わせ場所に来た昇平が涙目になっていた。「どうしたの?」と聞くと、「L子ちゃんが陸上の練習に参加しなくて、もうだめだ、って言って倒れてたんだ」と答えた。L子ちゃんが明日の本番に参加できるとても心配していたので、「それは練習に疲れただけで、本番にはきっとちゃんと参加するよ。それに、それはそれぞれの人ががんばればいいことだから、昇平くんは他の人を気にしなくていいんだよ」と話して聞かせた。
 予報では、明日は雨。記録会がどうなるか気になるところ。

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9月12日(水)

 予報通りかなり強い雨になった。昼頃には青空が広がり始めたが、会場のグランドコンディションが悪くて記録会は金曜日に順延。「金曜日にも雨が降ったらどうなる?」と昇平は心配していたが、それでも、そのことに関しては落ち着いていた。
 学校の連絡帳に昨日の一件を書いたら、原先生から返事があった。L子ちゃんは暑さが苦手なこともあって、すぐに疲れてしまって「練習したくない」と言うので、昨日はそれを先生に注意されたら「もう出ない」と言い出してしまったのだとか。でも、下校するまでには落ち着いて「ごめんなさい」と言って帰って行ったので、昇平くんにも「大丈夫だよ」と話しておきますね、と書かれてきた。
 帰宅してからの昇平はとても落ち着いていて、夜の「ベストハウス1・2・3」のテレビを楽しみに待ちながら、規則正しい生活を守って過ごしていた。テレビも楽しんでみていた。が、来週番組が4時間スペシャルになると知り、「それじゃ遅くなるから、来週はビデオにとって分けて見なさい」と言われたことから大パニック。一度に見たい、ビデオを取り忘れたら大変だ、と夜の10時過ぎだというのに大騒ぎ。寝ていたじいちゃんを起こしてしまって怒鳴られ(当然)、私では興奮するばかりなので、旦那が昇平を2階に連れて行って説得してくれて、やっと、来週は途中までテレビで見て、遅い時間に放映した分はビデオで翌日見る、ということで承知した。
 私自身は、ペアレント・トレーニングのやり方を守って、怒鳴らず、怒らず、一貫して同じことを言い続けて譲らない――で対応したけれど、実を言えば内心はぐったり。本当に、昇平のこれからの道のりには遙かに遠いものがあるなぁ……。(苦笑)

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9月13日(木)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 今日もL子さんとHくんのトラブルにまったく関係ない昇平くんが入っていって怒り出し、昇平くんを1組に移動させる、ということがありました。他のことでは注意されるようなことはないのですが、状況がわからないことによるトラブルはありますね。とはいえ、周りのことも「いつものこと」と思っていて、昇平くんに対して怒ることはないので、周りの子とトラブルになることはありません。昇平くんの“自爆”という感じです。

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 今日は通院日だった。主治医のY先生が急な用事で外出中だったので、代わりに初めてM先生に診ていただいた。その日あったことを聞かれた昇平が、学校で関係ない喧嘩に混ざっていって叱られてしまった話をしたので、ちょうどよい、と上の連絡帳を先生に読んでいただいた。(昇平はそのときにはもう診察室から待合室に移動していた。)
 「トラブルが起きていると自分から近づいていって巻き込まれやすい、という特性に加えて、場面の読み取りが苦手なために、人がいつもと違った様子で争っているのを見ると、落ち着かなくなってしまうのでしょうね(だから、それを何とかしたくて関係ないのに入っていくのでしょうね)」ということを言われた。……確かにそのとおりだなぁ。

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9月14日(金)

 天気がよくなって、午後は暑いくらいになった。陸上記録会は無事に終了。昇平は全員参加の100メートル走に出場していた。その時間だけ応援に行ったが、ドウ子先生が家庭の事情で急に参加できなくなっても、少しも不安になることもなく、6年の担任の先生たちや会場担当の他の学校の先生たちの指示に従い、同級生たちと同じように出番を待ち、スタートラインに並び、最後まで走り、きちんと控えの場所まで帰ってきた。順位はドンケツもドンケツ、おそらくその日参加した町中の6年生の中でも一番遅かったんではないか、というタイムだったけれど、でも、そんなふうにきちんと皆と同じように参加できたこと、練習もがんばって本番に臨めたこと、偉いことが本当にたくさんあったので、「よく頑張ったね」とたくさんほめた。昇平も得意そうだった。
 夕方5時過ぎに終了。お疲れ様の意味を込めて、今日は家庭学習はお休みにした。

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9月15日(土)

Goku_2 今日から昇平は三連休。ちなみに、兄ちゃんは明日、明後日の二連休、旦那は日曜日だけが休み。相変わらず、連休と言っても家族でどこかに出かけるということはない。(笑)
 今年も、交通安全のかかしコンクールがあって、ゆめがおかの子どもたちは大きなかかしを作って出品した。今年は「西遊記」の悟空のかかし。これがなんと、事実上の2位に入っていた。すごい! 会場に見に行って、出会ったドウ子先生や原先生と一緒に大喜びした。今年初めてかかし作りをした1年生や2年生も、きっと「がんばって作ってよかった!」と思うことだろう。でも、6年生が陸上の練習などでしょっちゅう抜ける中での製作は大変だった、と先生方は笑っていた。本当に、先生方もお疲れ様でした。
 私が先生たちと長く話していて、しかも会場のかかし全部をじっくり見ようとするので、昇平は待ちきれなくて「まだ?」「早く帰ろうよ」の連発。でも、帰りの車の中で「昇平くんが作ったかかしが並ぶのは今年が最後だったからじっくり見たかったんだよ」と説明したら、そうか、とわかって「ぼく馬鹿だったよ、ごめんね」と謝ってきた。

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9月16日(日)

 午前中、ゆめがおかの親子集会。去年も行ったパン作りの体験教室に参加して、全員でパンを作り、それを昼食に食べた。最初は発酵済みの生地を使ってメロンパンやあんパンなどを作り、その後、粉から全員でこねて生地を作って、おみやげ用のパンを作る、というもの。見た目は小さな生地なのに、発酵させたら大きくふくらんで、全員がお腹いっぱいになった。
 活動自体はとても楽しかったのだけれど、長時間に渡るので、まだ就学前の小さなきょうだいたちが飽きてしまって、大ぐずり。あっちでもこっちでも泣き声が上がって、昇平は真っ青になっていた。(聴覚過敏があるので小さな子の泣き声が超苦手) 特に、まだ3歳の女の子が(いや、3歳になっていないかな?)食事時のジュースを待ちきれなくて食堂で大泣きしていて、昇平も辛くて泣き出していた。でも、そんな時にも小さな子やその親に対して怒ったりしなくなったのは成長。「ジュースはみんなと一緒に飲むものだから、○○ちゃんは、それまで待つことを覚えなくちゃいけないんだよ。だから、泣いているのはかわいそうでも、がんばって待たせているんだよ」と教えたら、「わかった」と涙をこぼしながら言った。やっとパンが焼き上がり、ジュースが運ばれてきたら、真っ先に飛んでいって、その子にジュースのパックを持って行ってやっていた昇平だった。

 さすがに、それだけのことがあったので、昇平も疲れ切っていたのだろう。加えて、リタリンを飲むのが遅くなってしまって、帰宅してから大爆発。今日のおやつに取ってあった豆菓子をお父さんが昨夜のうちに勝手に食べてしまった、と猛烈に怒り、いくら夕方買い物に行ったときにまた買ってあげるよ、と言っても聞き入れない。あまり大騒ぎして、お父さんに対しても「よくも食べたな、この野郎!」などと怒るので、「そんなに怒り続けるなら、今日は買わないで明日にするよ」と言ったけれど(ペアレント・トレーニングの「罰の予告」)、やっぱり収まらない。とうとう「今日は豆菓子は買いません。明日買います」と言って(同上の「罰」の実行とCCQ)、あとはもうどんなに本人が謝ろうが、嘆願しようが哀願しようが、変えなかった。(罰の徹底と「無視」)
 ところがそれから間もなく、リタリンが聞き始める時間が来たら(服用してから30〜40分後くらい)、すーっと潮が引くようにそれまでの興奮状態が収まって、静かになっていった。気持ちが切り替わって落ち着いたらしい。久しぶりにリタリンの効果も目の当たりにすることになってしまった。約束したので、明日はちゃんと豆菓子を買ってあげよう。

 ああ、それにしても本当に今週はトラブルが多かったような気がする。陸上記録会の練習で疲れていただけでなく、それ以前の宿泊学習や夏休みの頑張りの反動も出たのだろうとはわかっているけれど。それでも、こう続くと、さすがの私もめげてしまいそうになる。
 でも、焦ったって怒ったって嘆いたって、子どもがそれで一気に変わる、なんてことはないんだよねぇ。子どもは自分の成長スピードでしか成長できないんだから。泣いて叱って子どもが良くなるなら、私だっていくらでもそれをやるけど、そんなの無駄だから、やーらない。(笑)
 ま、いつかはそれなりに成長していくだろう。彼なりのペースで、彼なりの到達点にちゃんと到達するだろう。それを信じて、今日もケ・セラ・セラだね。

[07/09/18(火) 08:40] 学校 日常 療育・知識 発達障害

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