昇平てくてく日記2

小学校高学年編

9月(5)〜中学校では特別支援学級と普通学級、どっちを選ぶ?

9月24日(月)

 秋分の日が日曜日だったので、その振り替え休日で今日も休み。兄ちゃんも休み。珍しく、二週続けての連休。昇平は今日も一日家で静かに過ごし、時々兄ちゃんと一緒にゲームをして、とても楽しそうだった。

 夜、中学校の特別支援学級に入級した子のお母さんから、教室内の子ども同士のトラブルの話で長電話。ゆめがおかから行った子もいるし、学校公開の際に見学もしているので、やんちゃな子が多い現状は私も知っている。さもありなん、と思いながら聞いたけれど、電話が終わってから、来春そこに昇平が入級したらどうなるのだろう、と考えてしまった。普通学級では困難が多いから特支学級を選ぶわけなのだけれど、特支学級では、そういう特性の子たちが集まるからこその困難も発生してくる。昇平は特に人の争いの場面が苦手で、そういう場面に遭遇するとパニックになったり、状況も判断できないままに介入してかえってトラブルを大きくすることもあるから、ケンカが多いクラスとなれば、昇平は安定しなくなるかもしれない。――というか、まず間違いなく安定しなくなる。

 考えてもわからないから、昇平に聞いてみた。
「昇平くんは来年中学生になるけど、そのときの進み方は二つあるんだ。一つは、今のゆめがおかみたいなクラスに入ること。でも、そうすると、毎日ケンカとかがあるかもしれないんだよ。毎日うるさいだろうとは思うんだ。もう一つは、今の6年2組みたいなクラスに入ること。そうすると、ケンカはほとんどないと思うけれど、その代わり、一日中それこそ6−2で過ごすような生活になるんだよ。……昇平くんとしては、どっちの教室の方がいいって考える?」
 昇平、しばらく、うーん、と考え込んでいたけれど、やがて真面目な顔でこう言った。
「勉強がわからなくなるから、ゆめがおかみたいなクラスの方がいい」。
 そうだね……。君の認知特性を考えれば、確かに特支学級での支援は絶対に必要なんだ。君は自分自身をよくわかってきているよね……。
 現実は痛しかゆしだけれど。でも、昇平がその道を選びたいというならば、私たちも、そのためにできるだけのことを中学校に働きかけていこうと思う。

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9月25日(火)

 毎晩少しずつ読み聞かせた「フルートの冒険6・願い石の戦い」をとうとう読み終えた。実に1ヶ月半、ほとんど毎晩読み聞かせたことになる。その間、飽きることもなく聞いていたことも驚きだけれど、話を聞き終えて「これは友情のお話だね」とテーマをはっきり把握していたことにはびっくりさせられた。物語もかなりよく理解していた。

 今夜は中秋の名月。庭先で昇平と夜空を眺めた。「月の影のどこがウサギに見えるかわかる?」とか「あそこに星が見えるよ。あれは何かな?」といろいろ話しながら。でも、実はこんなふうに夜空を見上げて母子で話をしたのは生まれて初めて。これまでは、そうやって話しかけても、昇平は関心がなかったし、どの星の話をされているのかもわからなかったから。当たり前のように同じ月や星を見上げて共通の話ができることに、密かに感動してしまった。
 やっぱり、昇平は見えるもの、わかるものがずいぶん増えてきたらしい。

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9月26日(水)

 家でも学校でも安定した日が続いている。算数で「速さ」のテストがあったけれど、勘違いとわからないところがあって75点、裏面は満点の50点、まったく質問もせずに一時間がんばって取り組んだし、以前と違って途中の式がちゃんと書いてあって、考えの道筋がよくわかるテストでした、と連絡帳に書かれてきた。

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9月27日(木)

 今日は国語の「ヒロシマのうた」のテストがあった。教科書の全文を見ながら一面読み取りの問題だったらしいけれど、90点でよくできていました、とこれも連絡帳に書かれてきた。読み取りの力は確かについてきたらしい。国語力はいろいろなものの基礎になる力だから、そこが伸びてきたのは本当に嬉しい。

 10月にある学習発表会の練習が始まった。6年生は例年、劇の発表で、必ずセリフが一つ以上ある。役決めのときには、6年生の担任のK先生が真っ先に昇平とL子ちゃんとドウ子先生を呼び、台本を見せながら「どの役にする?」と聞いてくれ、セリフも、みんなより先に間のとりやすいものを選ばせてくれたらしい。昇平は武士の役を選んで、スタートからもうやる気満々。「発表会まであと何日?」「武士の格好も考えなくちゃね」と楽しみにしている。こういうちょっとした配慮が、「みんなといっしょに」とがんばる力の元になっていくんだよね。本当にありがたい。

 M病院の定期検診の日だったけれど、安定した日が続いているので、次回は3週間後になった。

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9月28日(金)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 今日の算数の時間は分数のかけ算で、L子さんと一緒でしたが、(協力学級での授業のかねあいで)L子さんの方が先に進んでいるので、私が他の子どもの指導をしている間、「L子さんに教えてもらってね」と二人に任せてみました。昇平くんが約分を式の途中でやらずに最後の答えでやっているのを見たL子さんが、教科書の例を見せ、「こうやるんだよ」と教えるなど、おだやかに学習が進みました。こんな姿を見ると、同学年っていいなぁ、と思います。

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 同学年っていいなぁ! 上級生・下級生の関係ってのもいいなぁ! 男の子がいて、女の子がいるのもいいなぁ! ゆめがおかにいろんな子どもたちがいて、その中で子ども同士の関わりがあって、みんながそれぞれに、一緒に成長していくのがわかって、本当にいいなぁ、と思う。
 さまざまな子どもたちを見守り、指導するのは本当に大変だから、それだけ目も手も必要な学級ではあるけれど、だからこその良さも本当にある。ゆめがおかは、特別支援学級の理想の姿に近いのだろうと思う。中学校にいきなりこれは望まないから、少しずつでもいいから、こちらの方向へ向かってくれれば……と願い続けている。

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9月29日(土)

 午後から長男の高校の説明会。昇平は家で留守番。帰りが夕方になって心配になったのか、かなり待ちわびていたそうだが、祖父母を困らせることはなかったらしい。家庭学習もきちんと終わらせていた。

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9月30日(日)

 今日は私は地区の運動会の手伝いで一日外出。昼に帰宅する時間もなく、本当に朝から夕方近くまで家を留守にした。
 その間、昇平は父と一緒にプールへ行ったり、家庭学習をしたり、パソコンやゲームをしたり、お絵かきをしたり……。「全然問題なくていい子だったぞ」とは旦那の話。お父さんと一緒の留守番なら、昇平も安心していられるんだよね。
 二日連続で私が不在の時間が長かったけれど、本当に落ち着いて過ごしていた週末だった。

[07/10/02(火) 05:19] 学校 日常 発達障害

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