昇平てくてく日記2

小学校高学年編

10月(2)〜劇の準備と学習会

10月8日(月)

 体育の日で休み。連休中どこにも行かないというのも何だというので、子どもたちを連れて福島駅ビルまで。いつものゲーセン→本屋→ハンバーガーショップのお手軽コースだけれど、今回初めて、昇平との待ち合わせ場所を目の前の本屋ではなく、ハンバーガーショップのほうにしてみた。本屋で買った本を眺めながらコーヒーを飲んで待っていたら、そのうち、昇平がニコニコしながらやってきた。うん、こういう「待ち合わせ」もできるようになったね。

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10月9日(火)

 学習発表会に向けての劇の練習が続いているらしい。導入からスムーズだったおかげか、張り切って練習しているのがわかる。侍の衣装も、旦那が高校時代に買った剣道着があったので、それで解決。さて、どんなお侍さんになってくれますやら。

 放課後、三ヶ月ごとの歯の定期検診で歯医者へ。虫歯はなかったので、歯垢除去と歯磨き指導をしてもらった。染め出ししたら汚れは残っていたものの、今回初めて、鏡を見ながら完全に自分で汚れを落とすことができた。毎回毎回ていねいに歯磨き指導してもらった成果だね。「自宅でも染め出し液を買って、鏡を見ながら落とすようにするといいですよ」と衛生士さんからアドバイス。こんなふうに地道な練習を重ねながら、とうとうできるようになった時は、指導をしてくれた人も親も、もちろん本人も、すごく嬉しい気持ちになる。

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10月10日(水)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 今日もL子さんと算数を一緒にやり、とても仲良く教えあっていたので(今日は昇平くんが教えていました。)思わずカメラのシャッターを押しました。二人はお互いに対等だと思っているので、どちらかがパニックにならない限りは仲良しです。

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10月11日(木)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 L子さんとは、今日は劇で使うかつら作りを二人で協力してやり、仲の良い会話をかわしていました。
 L子さんが先にできていましたが、昇平くんは、張りこ状に紙を貼り付けることがうまくできなくて、L子さんがリードしてくれ、昇平くんもとても素直にサブに回っていました。

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 まったく対等の同級生の二人。昇平にとっても、たぶんL子さんにとっても、社会性を育んでいく上でとても良い相手になっているんだろうと思う。いきなり大勢の同級生とは関われない昇平だけれど、こうやってステップバイステップで関わりを覚えていける今の環境は、本当に、ほんとうに、ありがたい。

 学校で劇の衣装合わせ。じーちゃんが以前剣道を習ったことがあるので、良い機会、と昇平に剣道着の着方をじーちゃんのところへ教わりに行かせた。とはいえ、じーちゃんと昇平だけではまず話が続かないので(じーちゃんは耳が遠いし、昇平は話し方が不明瞭で早口)、ばーちゃんもいるところへ行かせて、ばーちゃんに通訳とフォローをしてもらった。(笑) どうしても紐の蝶結びができないので、固結びをしても長すぎないように、とばーちゃんが剣道着の紐を縫って短くしてくれた。

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10月12日(金)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 衣装のご協力ありがとうございました。かつらをつけ、衣装を着た姿は、武士に見えます。(とはいえ、かつらには笑ってしまいましたが。) 自分で剣道着を着ようとしたのは、お家での練習の成果だと思います。

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 連絡帳には、これ以外にも、算数の時間にかなりまとまった分量の課題をやるように言っても、文句や不満を言ったり、「どこまでやるの?」という終わりの確認もしなくなったことが書かれてきた。「さっさと課題を終えてお絵かき」ということもなくなったらしい。授業時間中は課題をするものとわかってきたし、長い課題にも耐えられるくらいの集中力が育ってきたんだろうな、と思う。
 この成長をふまえて、「小学校ではありそうなこと」(=小学校では許されるけれど、中学校になると許されなくなること)で、改善できることはしていきたい、と書かれていた。

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10月13日(土)

 親の会の学習会で仲間たちと会津若松市へ。会津支部で毎月行っているペアレント・トレーニングの見学をしたが、支部に臨床心理士が関わって、適切で具体的なアドバイスをしている様子に本当に関心させられた。支部のお母さんたちも、話を聞けばいろいろと大変な中をくぐってきたというのはわかるけれど、みんな明るい顔をしているし元気がある。これも専門家が常時関わって支えてくれているおかげだな、と思った。
 うちの支部にも臨床心理士が欲しいなぁ。毎月は無理でも、せめて年に4,5回くらい来て具体的な相談にのってくれたら、きっとみんな、もっともっと元気になれるだろうなぁ。

 帰宅は夜7時半。昇平はばーちゃんたちと「とてもお利口に」留守番していたらしい。

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10月14日(日)

 連日の外出。今日は講演会のために本宮市へ。LDのオーソリティである、東京学芸大学の池田敏英先生の講演と、保護者たちや心理士たちによるリレートーク。良い内容で、とても勉強になった。
 講演会終了後は、福島市内で発達に困難を持つ子の相談指導室を民間で立ち上げようという若社長さんと引き合わされて、親の会の部会長と一緒に、当事者としてのニーズや予想される困難などについて話をした。こういう支援組織がどんどん増えていってくれるといいな。特に今、福島県では(福島県に限らないかもしれないけれど)発達障碍を持つ学齢期の子どもたちの学習支援の場が不足している。通級で学習を補える学校が非常に少ないから。しかも、中学、高校になると、発達障害児に特化した学習機関は皆無。塾などの枠に収まることができる子なら良いが、そうでない場合、受験を前にして学力を伸ばせなくなって、志望校をあきらめなくてはならないケースも多い。
 受験を考えなくても、学校の勉強について行けないばかりに、周りからの評価が下がって学校へ行きづらくなる子どもたちも多い。「勉強なんてできなくても元気であれば」というのが通用しにくいのが、現実の子どもの世界。そうであれば、やっぱりそこを補う機関というのが必要になるんだよね。
 若社長さんには、なんとか頑張っていってほしいところ。

 今日も結局帰宅は夜8時半を過ぎてしまったけれど、昇平は今日は父親と「とても静かに」留守番していたらしい。この子も大人になってきた。


[07/10/16(火) 04:50] 学校 日常 療育・知識 発達障害

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