昇平てくてく日記2

小学校高学年編

10月(3)〜学習発表会

10月15日(月)

 昇平はずっと私と一緒にお風呂に入っていた。体の洗い方、シャンプーの仕方と一つずつ教えていって、最近ようやく本人だけに任せても大丈夫なくらいになった。それと時期を合わせるようにして、そろそろ一緒に入るのを恥ずかしがるようになってきたので、先週末「これからは自分だけで入りなさいね」と言った。(ちなみに、兄ちゃんも小学生のうちは母と一緒にお風呂に入っていたので、うちの子たちはその点は割と幼いのかも) 今日の夜、お風呂の順番が回ってきたので、ついうっかり「それじゃ入ろうか」と風呂場に二人で向かい、寸前で気がついた。「そうそう、もう君はひとりでお風呂に入るんだったよね」 そうしたら、昇平はニヤッと笑って、そのまま黙って脱衣所の戸を閉めた。うん、確実に大人になってきてはいるんだよね、君も。(笑)

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10月16日(火)

 今日も昇平はおおむね落ち着いて過ごしていた。学習発表会が近づいているのに、意外なほどの安定ぶり。こういう時期だからこそ身についていくこともあるんだろうと思う。

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10月17日(水)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 校内学習発表会でした。昇平くんは役になりきって、場面に合わせて表情やちょっとした動きをちゃんと演技しています。相手のセリフに合わせてうなずいてみたり、笑ってみたり……。けっこう長い時間ステージ上にいるのですが、セリフがないときの動きが実にうまいです。教室に戻ってから、西尾先生、原先生にもほめられました。本番でも今日の力が出せるといいなぁ、と思います。

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10月18日(木)

 受診日。
 最近落ち着いていることや、学習発表会の練習を頑張っていることを主治医に伝えた。診察室に入る前に、「落ち着いて先生と話すんだよ」とだけ言い聞かせたのだけれど、実際、Y先生とかなりしっかりかみ合った会話をすることができた。今までで一番スムーズに話していたかもしれない。「ずいぶんいい感じになってきましたね」とY先生も嬉しそうだった。

 本人自身は落ち着いているのだけれど、最近、他人の機嫌を気にしすぎるようになってきて、逆にそれが心配な感じになってきたので、それもY先生に相談した。家では兄ちゃんが何かの原因で不機嫌になると、そ過敏に反応して機嫌を取ろうとするし(でも、原因がよくわかっていないので、逆に兄ちゃんをいっそう怒らせたりするし)、学校でもL子ちゃんや他の子たちが機嫌が悪くなったり、駄々をこねたりすると、必要以上に気にして機嫌を取ろうとしたり、にらみつけたりしているらしい。その子はじきに機嫌が直るのに、昇平だけがいつまでも気にし続けている、ということもよくあるという。
 それは一対一のこれまでの関係から、一対二や一対三といった関係に発展しようとしている過程で、とてもよい兆しなんですよ、とY先生に言われた。昇平が気にしすぎているときには、「○○ちゃんの心配をしてくれているんだね。優しいね」とまず誉めてから、「でも、昇平くんには関係ないんだよ」と言い聞かせたり、「こうしてみたら」とアドバイスしたり、あるいは「こうするとうまくいかなくなるから、そっとしておくんだよ」と教えたり――その場面に応じてではあるけれど、教えていく機会にするといい、と言われた。……そういえば、「関係ないんだよ」というのは家庭では少し前からよく言い聞かせてきたし、最近では、自分から「関係ないの?」と聞き返して、それで落ち着く場面も見られてきた。気にする時間が前より短くなってきているかもしれない。地道だけれど、あきらめないで続けていこうと思った。

 リタリンやセレネースと言った薬を再調整してからほぼ一年が過ぎた。それで最近のこの安定ぶりと変化。薬だけの力では絶対にないけれど、薬が本人の成長を上手に手助けしてくれているんだろう。気持ちが落ち着くことで学習効果は上がるのだから、当然と言えば当然。

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10月19日(金)

 今日も落ち着いた一日だった。私が口出ししたり、指示をしたりすることも少なくなってきて、家の中がずいぶん静かになってきた気がする。
 ここだけの話だけれど、実はここ一ヶ月ほどずっと夜尿もない。夏休み後半から、まともなおねしょはほとんどなくなって、時々思い出したように、ちょっとだけ、という状態だったのだけれど、ここに来て、本当に失敗がなくなった。ただ、これから寒くなってくるし、本人もまだ自信がないようで「どうする?」と聞くと「もう少し」と答えるので、まだ紙パンツは使用している。でも、本当に、この調子なら間もなく本当に普通のパンツで寝ていいような気がしている。さすがに最近昇平も夜尿を気にするようになっているので、ここだけの内緒の話……。

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10月20日(土)

 学習発表会当日。小学校最後の発表会というので、旦那も仕事を休んで一緒に見に行った。
 昇平たち6年生の劇は、幕末の時代に殿様の命令でおんぼろ船でアメリカに大砲の買い付けに行いった武士たちが、そこで自由と平等の国アメリカを見て、本当に自分たちに必要なものに気がついていく、というストーリー。物語そのものも面白かったし、子どもたちも役になりきって堂々と演じていて、見ていてとても面白かったし気持ちよかった。昇平は武士のひとりの役だったけれど、あまりはっきり上手にセリフを言っていたので、旦那など「あれは昇平じゃなかっただろう」と大真面目な顔で行っていたほどだった。先日ドウ子先生の連絡帳の通り、セリフのない時でも、劇の役者として皆と一緒に動いていて、とても自然だったしよい表情をしていた。違和感なく、皆と一緒にやり切っていて、素晴らしいできばえだった。ここまでできるようになったのか、と旦那と感無量だった。

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10月21日(日)

 旦那は昨日休みを取ったので、今日は代わりに日曜出勤だった。
 私と昇平は、午前中公園まで散歩に出かけて、ドングリをどっさり拾ってきた。そのうちまたドングリを使った縄文クッキー作りに挑戦する予定。午後からは自転車で中学校まで行って、帰りにスーパーで買い物もしてきた。
 昇平は少し疲れたようだったが、それでも元気だった。私の方が体力的に限界。自転車で帰宅したら、筋肉痛だけでなく、足の裏が腱鞘炎を起こしていた。(以前、昇平の自転車乗りの練習につきあって発症した。)歩くのに足を床に下ろしただけで痛みが走る。
 中学校までの道のりは遠い。行きは上り坂、帰りは急な下り坂になるから、慣れるまでもうしばらく自転車練習に大人がつきあう必要がある。あるんだけど……私が体力的にそれにつきあいきれるかどうか、不安なところ。はぁぁ。こういうところに支援がほしいなぁ。

[07/10/22(月) 09:37] 学校 日常 療育・知識 発達障害

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