昇平てくてく日記2

小学校高学年編

11月(1)〜殴る・マラソン大会・学年集会

10月29日(月)

 給食の時、なかなか食べようとしない1年生の子の頭を、突然昇平が殴った、と連絡帳に書かれてきた。幸い、1年生の子に怪我などはなかったけれど。
 ドウ子先生がその子のわきについて指導をしているのだけれど、それを「言うことを聞かない」と考えて、衝動的に殴るという行動に出たらしい。もちろん昇平はぎっちり叱られたし、下校してからも私から「絶対に手を出してはいけない。ことばで言ってあげなさい。暴力は絶対にだめ!」と強く注意された。落ち着いてきたように見えても、まだまだ油断が禁物だ、と思わされた。

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10月30日(火)

 今日は給食時にもトラブルなし。ただ、1年生が給食を食べようとしないことをものすごく気にしていて、「ねえ、食べないの」と何度も言っていたという。その子が給食を食べないのは入学当初からなので、「昇平君は我慢して見ているのかと思ったのですが、もしかしたら、これまでの担任とその子の間の指導の様子(一見バトルしているようにも見える)が昇平君の目には入っていなかったのかもしれません。」と連絡帳に書かれてきた。
 給食に夢中になっていて、クラスの中で起こっている出来事に気がつかない。クラスメートがどんなやりとりをしているか意識できない。……不注意の強い昇平には、充分ありうる。

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10月31日(水)

 ドウ子先生、改めて給食や協力学級での授業での昇平の様子を確認したらしい。そうしたら、他のクラスメートの会話に入ってこないこと、関心をしめしていない表情をしていること、時々手かざし(自己感覚刺激運動)をしていたこと、空笑が見られたこと(ファンタジーの世界に入っている)などから、やっぱり「意識していない」状態がけっこうあって、給食時の1年生の態度にも気がついていなかった可能性が高いというのがわかったらしい。
 「わかっていないかもしれない」という眼で支援することが必要だと感じました――とはドウ子先生のことば。まったくその通りだ。

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11月1日(木)

 午前中、親の会の支部例会があった。そこで他のお母さんから聞かされた話。
 小学校高学年の男の子がグループで調べ活動をしているときに、他の子からいわゆる「浣腸」や性器をさわられる(ただし、服の上から)といういじめにあったのだという。そのお子さんも、昇平と同じように特別支援学級に所属していて、交流学級の学習活動に参加しているときに担任がいないところで起こった出来事。一対三であったし、普通のいたずらや悪ふざけよりも「いじめ」の要素が強かった、ということで、子どもたちはかなりしっかり指導されて、お詫びの電話も家にかかってきたのだという。「びっくりしたけれど、男の子同士のことだし、怪我があったわけでもないし、本人もその後はケロッとしていたからホッとしたの」とはそのお母さんの話。
 その時、その子は最初笑っていたのだけれど、いたずらがエスカレートしてきたら、大声で別の教室にいた担任にヘルプを出したのだという。よく助けを求められたね、偉かったね、と皆で言ったらば、「女の子はもちろん、たとえ男の子同士でも、そういうところをじろじろ見るとか、さわるとかいうことは絶対しちゃいけないよ、って教えていたの。うちの子がそういうことをすることの方を心配していたんだけれど、やられたときにも役に立つとは思わなかったわ」と、そのお母さんは苦笑いしていた。
 小学校も高学年になってくると、こういうことも真剣に考えなくちゃならなくなってくるね。女の子だったらなおさらだよね、と会のお母さんたちと話し合った。

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11月2日(金)

 校内マラソン大会で、昇平は1000メートルを走った。ナンバープレート付きの腕輪で練習を積んできただけあって、この6年間で一番フォームが綺麗で、走りも力強かった。順位はラストから二番目だったけれど、堂々と完走したその姿に感動してしまった。自分でも「びりにならなくて良かったです」と感想の作文に書いたらしい。同じ学年のL子ちゃんも、同じように周回数腕輪で走り込みをがんばってきたのだけれど、こちらも、今までで一番しっかりした走りだった。自分で目標を持ってがんばってきた成果だね。またひとつ自信がついたね。よかったよかった。

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11月3日(土)

 親子学年集会があった。学校の校庭を使ってキックベースボールの試合をして、その後、役員のお母さん方が作ってくれた豚汁で芋煮会、という内容。
 昇平もキックベースボールのチームに混ざって、一緒に試合をしていた。昇平のことだから、せっかくヒットを出して塁に出ても、1塁で止まらずに2塁まで進んでアウトになってしまったり、守備の場面で全然役に立たないどころか、近くを守る子に話しかけて邪魔になっていたり(これは途中で私が走っていって、「守っているときには話しかけないで、球が飛んでこないかよく見ているんだよ。飛んできたら止めるんだよ」と教えたらやめたけれど)、まあ、見ているとまるで「ドラえもん」ののび太が野球の試合に混ぜてもらっているような状態だったけれど、ジャイアンのようにそれを怒るような子はなくて、「下手だし、なかなか話も通じないけれど、だけどやっぱり同じ6年生の仲間」と受け止められ、受け入れられているのがよくわかった。自然なその姿が、なんだかとても良かった。
 開会式の時に、昇平の方につかまってピョンピョン跳びはねている小柄な子がいた。昇平にあんなふうにじゃれつくなんて珍しいな〜、と思ったら、保育園時代に給食をどちらが最後に食べ終わるか(笑)で競争していたJ君だった。今はクラスが別なので、久しぶりで会った昇平に「なんか背が伸びたね〜」と話しかけていたのだという。かつてのライバル(笑)、今はこんなふうに、離れても自然な友だち。
 家の中とも普段の学校とも違った姿の子どもたちを見られた学年活動だった。

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11月4日(日)

 盛りだくさんな一週間も終わり。今日は一日おとなしく家で過ごした昇平だった。


[07/11/06(火) 10:04] 学校 日常 発達障害

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