昇平てくてく日記2

小学校高学年編

11月(2)〜学校公開・おねしょ卒業

11月5日(月)

 来春、昇平が入学する中学校の学校公開に行ってきた。
 家を長時間留守にできなかったので、特別支援学級の3時限目の美術と4時限目の社会科の初めの方を見学。どちらも専科の先生が入って教えていたけれど、専科の先生も、新しく来た介助の先生も、本当に子どもたちに一生懸命関わっているのがわかって好印象だった。

 よくある誤解に、同じ特性を持つ子どもたちを集めれば普通学級にいるようなトラブルは起こらなくなるだろう、というものがあるけれど、これは間違い。どの子も発達に課題があるのだから、先生の言うことに従わない、課題になかなか取り組まない、(子どもによっては)集中力が持続しない、互いに誤解し合って喧嘩になる……等、トラブルは絶えない。極言してしまえば、どんな先生が対応しても、この子たちにはトラブルがつきものなのだ。ただ、そのトラブルも込みにして、その子に合った対応を考えてもらいやすい環境にあるのが、特別支援学級の良いところだと思う。
 詳しいことは書かないけれど、見学中、私がちょっと子どもに声をかけてしまったことに端を発して、ひとりの子がすねて怒り出す、という事態になってしまった。見学することに徹さなくちゃいけなかったのに、知っている子だったものだから、つい声をかけてしまった私のミス。しばらくの間、ずいぶん怒っていたのだけれど、介助の先生がとてもよく子どもの状態を見ていて、特別教室から教室へ戻る間、ずっと付き添っていたし、教室に入ってからは、さりげなくクールダウンの方法を指示してから素早く職員室に担任を呼びに行ったり、と実に的確だった。担任もすぐに教室に駆けつけてくれたし、社会科の専科の先生も、状況を見るなり「まずい感じ?」と介助の先生に確認して、即座に地図パズルを子どもたちにやるように指示して、行動でクールダウンをはからせる等々……一学期の学校公開で見たときとはずいぶん違った雰囲気を感じた。
 トラブルは起きるもの。それはどうしようもない。大事なのは、社会に出るまでに、それを自分でコントロールできる力や回避できる力を養ってやること。私がきっかけでトラブルを起こしてしまったことは本当に申し訳なかったけれど、思いがけず、トラブル時の先生方の対応を見られて、しかもそれが適切だったのが確認できて、とても嬉しく思った。

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11月6日(火)

 昨日は中学校の学校公開。今日は小学校のフリー参観。おお、忙しいなぁ。(笑)
 今日も長時間留守にできなかったので、3時限目の6−2(交流学級)での社会科と、4時限目の生活単元の初めの方だけを見てきた。
 新しい担任になってからの6ー2の授業を初めて見たわけなのだけれど、意外なほど――本当に意外なほど、昇平は静かにしっかり学習していた。上の空になっているわけでもなく、ひとりの世界に没頭しているわけでもなく、先生が資料集のページを見るように指示すればそこを見るし、先生が板書をすればノートに書き写している。家庭学習の答え合わせをしながら、社会科もアウトラインは理解しているようだな(それが何故起こったか、などの考察の部分は弱いにしても)と感じていたけれど、今日の授業はそれを裏付ける形になった。
 ところで、昇平の隣の席は、彼が幼児の頃に子育てサークルで知り合ったお子さんだった。保育園では一緒にならなかったけれど、学童では一緒になった時期もあった。お母さん共々こちらをよく知っていて、昇平のことを気にしすぎることもなく、かといって無視するでもなく、「そういう子」とおっとり受け止めてくれているお嬢さんで、ああ、こんなところでも配慮してもらっていたんだなぁ、とわかって嬉しかった。
 4時限目の生活単元は、ゆめがおかの教室でサツマイモのクッキー作り。学校全体がいつもと違った雰囲気なので、1年生が落ち着かなくて、昇平も気にしてはいたけれど、それでも黙々とクッキー作り。そんな姿にも、大人になってきた、とつくづく思った。

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11月7日(水)

 迎えの電話が携帯にかかってきたと思ったら、「お母さん、プラ板と、いろんな色の油性マジックを買って。明日のクラブで使うから」。わかった、じゃ、帰りに買おうね、と返事をした。
 待ち合わせ場所で車に乗り込んできた昇平、開口一番、また言う。「お母さん、プラ板と油性マジックが明日のクラブで必要なんだ」。うん、買い物のついでに買うからね。
 で、実際に買いそろえて帰宅して、連絡帳を開いたら、そこにも「明日のクラブでプラ板と油性マジックが必要です。――と昇平君が連絡帳に書いてくれ、と言うので書きました。」とドウ子先生のコメントが。
 忘れっぽいのが特徴のADHDのキミ。絶対に忘れちゃいけないと思って、二重三重の対応策を講じていたんだね。たいしたもんだ。(笑)

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11月8日(木)

(ドウ子先例の連絡帳から)

 今日から(地区特別支援学級の)作品展の作品作りを始めました。
 昇平君たち6年生は図工の作品もあり、教室にいる時間も少ないので、今までの作品を出そうと思いましたが、少し淋しいのでパソコンで絵を描くことにしました。
 「作品」だから普通の「お絵かき」とは違うことを話し、以前卒業したこの描いた、とても優れたパソコンの作品を見せると、刺激を受けたようで、張り切っていました。

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 病院の診察日だったが、主治医が忙しかったこともあって近況報告のみ。まあ、特に早急にどうこうする問題も起きていないしね。

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11月9日(金)

 木・金と午後から特支学級の担任たちが出張になり、昇平たちは自分の交流学級で過ごすことになった。それに関する記録。

(ドウ子先生の連絡帳から)

 昨日は出張のため、1時にランドセルを背負って6−2に移動しました。帰ってからI先生(6−2担任)から様子を聞いたところ、とても静かにしていて全く問題なかったとのことで、嬉しく思いました。
 今日も午前中3時間通級をして、さらにこれから12時半には6−2に移動しますが、特に不安な様子も見られずに落ち着いているので、大丈夫だと思います。

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 実際、帰宅してからも、まったくいつもと変わらなかった昇平だった。う〜ん、本当に大人になってきたねぇ。

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11月10日(土)

 先日公園から拾い集めてきたドングリで、ドングリクッキーを作ろうと言うことになった。かなりたくさん集めてきたのだけれど、昇平は熱心に殻を割って中身を取り出してくれた。集中力が持続するようになったのを、こんなところでも感じてしまった。
 ところが、ドングリのアクが半端じゃない! 何度ゆでこぼしても、ゆで汁がアクで真っ黒になるので、とりあえず水にさらすことにして、この週末はクッキー作りは断念。こんなにアクの強いものを食用にしたんだから、縄文人はすごい。

 話は全然違うけれど、昇平はとうとう夜寝るときのオムパンをやめた。
 実際には夏休み後半からもうほとんど失敗しなくなっていたのだけれど、自分でまだ自信がなかったので、「もうちょっと」と就寝時には紙パンツをはき続けていた。こちらも、時々「そろそろおしまいにしたら?」と声はかけていたけれど、無理強いはしなかった。そうしたら、とうとう自分から「普通のパンツで寝てみようかなぁ」と言い出したのが月曜日の夜のこと。一週間が過ぎるけれど、その間、一度も失敗していない。「おねしょ卒業だ。とうとう一人前だね」と声をかけたら、「一人前?」」と、得意そうに、でも、ちょっぴり照れくさそうに笑っていた。

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11月11日(日)

 旦那が二週間ぶりで休み。でも、兄ちゃんは昨日今日と試験。家族全員の休みが合う、というのは難しくなったなぁ。
 外食に出てから、じーちゃんの頼みで、駅前のお祭りの福引きへ。抽選券を1枚もらっていたので。昇平にやらせてみたら、ぽろりと出てきたピンク色の玉。カラーンカラーン!「とうとう出ました、大賞でーす!!」 なんと、特賞の温泉ペア宿泊券を引き当ててしまった。びっくり仰天。
 昇平は一瞬、自分が温泉に行けるのかと思って喜んだけれど、「これはじーちゃんの抽選券だったんだから、温泉に行くのはじーちゃんとばーちゃんだよ」と教えたら、すぐに納得した。
 帰宅して、じーちゃんとばーちゃんに宿泊券を渡してびっくりさせ、お小遣いまでもらって、鼻高々&大喜びの昇平だった。

[07/11/12(月) 11:16] 学校 日常 療育・知識 発達障害

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