昇平てくてく日記2
小学校高学年編
1月(1)〜帰省・パニックへの対応
2007年
12月31日(月)
大みそか。今年も1年無事に過ぎた。家族の誰もが大きな病気をすることもなかったし、療養中の人はますます元気になって、自分の生き甲斐になるような楽しみを見つけている。馬鹿でかい幸せなんか来なくていいから、こういう地道な幸せを来年も大切にしていきたいなぁ、とつくづく思う。
年越し蕎麦の夕飯の後は、旦那の帰宅を待って恒例の年越しパーティ。例年、私の実家に泊まりに行ってしまう長男も、今年は受験生なので久しぶりに家にいた。紅白を見ながらビールやジュースで乾杯し、スペアリブを食べるのが我が家のスタイル。昇平のリクエストで四人で麻雀ゲームもした。とにかく昇平は朝から楽しみにしていて、ずーっとハイテンションだったので、さすがに夜11時過ぎたら「眠い」と言い出した。私と昇平で紅白終了を待たずに先に寝たけれど、昇平は布団に入ってから「大みそか、楽しかったね〜」と言っていた。本当に楽しかったんだろうと思う。
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2008年
1月1日(火)
午前中、初詣に行った後、親子四人で郡山の私の実家へ帰省した。私の両親や妹たちが昇平を見て「ずいぶん落ちついたね」「大人になったね」と感心していた。
ただ、実家に着く前に一度パニックを起こしていた。途中でラーメンを食べていこう、と話していたのに、当てにしていたラーメン屋が元旦で休み。値段の安いことで有名なチェーン店はやっていたのだけれど、「せっかくだから、もうちょっと別の店で」と旦那が市内を車でぐるぐる巡り始めたものだから、昇平が大かんしゃくを起こしたのだ。「ああー、もうダメだぁ!」「永遠にラーメンは食えないのか!?」と車の中で爆発して、父の運転席を後ろから蹴飛ばしていた。まあ、旦那の気持ちはわかるんだけれど、突発的な思いつきで当てもなく店を探し回る、というのは、昇平にとっては見通しが立たなくてものすごく不安になることだから、厳禁なのよねぇ。とはいえ、昔はこういう状況で同様にひどく不安になっていた兄ちゃんが、今回は落ちついて車に乗っていたから、昇平も成長したらこうなっていくかもね?
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1月2日(水)
午前中、昇平は父と兄と従兄弟とゲーセンへ。母は実家でのんびりお茶のみ。う〜ん、平和だなぁ。十年前には、こんなに落ちついてお茶を飲める日が来るとは思ってなかったぞ。昼食は親戚の皆と回転寿司に行ったけれど、ここでも昇平はまったく問題なし。最後になって赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて不安定になったけれど、一足先に車に戻ってゲームをして待っていたので、これも問題なし。夕方には帰宅した。
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1月3日(木)
冬休みの宿題の書き初めをする。一生懸命書くのだけれど、思うようにできなくて、「ぼくはダメだ!」「この字、下手くそ! お母さんもそう思うだろう!?」とかんしゃく。でも、母は昇平に輪をかけて書道が苦手。全然コメントのしようがなくて見守っていると、それを否定と感じてまた怒る。「やっぱり下手なんだ! 俺はダメだ!」 じゃなくてぇ〜……! 母にだって苦手なことはあるし、何も言えないこともあるんだよ! 私がそばにいると怒る回数が増えるので、部屋に一人でほったらかしておいたら、なんとか自力で書き終えていた。やれやれ。これで冬休みの宿題も完了だわ。
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1月4日(金)
旦那は今日から仕事始め。兄ちゃんはまた受験のための合宿。帰宅は日曜日。
日中、昇平が「ダイエットコーラが欲しいから、自分で買いに行ってくるね」と言って、自転車に乗って一人でコンビニに出かけていった。一人で買い物できるようになったのが自分でも嬉しいらしい。
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1月5日(土)
今日も「運動に自転車に乗ってくる」と言って、コンビニの近くまで行って、ぐるっと回って帰ってきた。でも、今日はコーラを買う約束の日ではなかったので、店には寄り道しなかった。えらいこと。
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1月6日(日)
冬休み最後の日曜日。旦那も休みだったので、一緒に阿武隈川まで白鳥に餌をやりに行った。昨日、ドングリ粉や古い全粒粉(大掃除の時に食品棚から発見したもの)で白鳥用のクッキーを焼いたのだけれど、実際に与えてみたら、白鳥にも鴨にも無視されてしまった。そこを訪れる人たちは皆食パンを持ってくるから、茶色いクッキーは食べ物と思ってもらえなかった様子。「せっかく作ったのに! 無駄だった!」と昇平がかんしゃくを起こした。
別にビスケットも持っていって、それは白鳥や鴨が食べてくれたのだけれど、自作のクッキーを食べてくれなかったことをいつまでも怒っているので(実際にはプチパニック状態)、「そんなに怒ってばかりいると、お母さんも悲しくなっちゃうよ」と他者の気持ちを教え、「そんなに悔しくてしょうがないなら、この後、お昼を食べに回るのはやめて、まっすぐ家に帰ろう」と宣言。それはいやだというので、「それなら後は怒らないで黙っていてちょうだい」と指示。「最後にもう一度だけ言わせてくれ」と言うので、もう一度だけ文句を言うことを許可。その後、また言いそうになったときには、「さっきのが最後だっていう約束だったよね?」と言うと、文句を言うのをやめて黙った。……はぁ、ペアレントトレーニングのフル活用だったなぁ。(苦笑)
昇平の場合、思い通りにならなかったり、悔しかったりすると、なかなかそこから気持ちが離れなくなって、いつまでも文句を言い続けるのだけれど、何かで気分が切り替わると、とたんに機嫌もころりと変わって、さっきまでのあの怒り方はどうしたの? と言いたいような状態になってしまう。たぶん、なかなか気持ちが切り替わらないのはPDD(広汎性発達障害)的特徴の部分で、気持ちが切り替わるとコロリと気分が変わるのはADHD的特徴の部分なんだろうと思う。
がっかりして文句を言いたくなる昇平の気持ちは当然だから、それを黙らせたことは、かわいそうなことなのかもしれない。けれども、文句を言わせているといつまでも気持ちが切り替わらないから、本人もずっとつらいままになってしまう。ある程度文句を言わせたら、「もう充分。後は黙りなさい」と言ってあげた方が、本人も早く気持ちが切り替わって楽になるんだと、最近やっとわかってきた。今年の昇平の課題は、この「気持ちの切り替えの練習」になるのかもしれない。
ちなみに、車の中で黙り続けていた昇平、マクドナルドで昼食を食べ、大好きなポケモンのカレンダーを買ってもらったら、ころりとご機嫌になって、それ以後、白鳥クッキーのことはひとことも言わなくなってしまった。――予想通りね。(笑)
[08/01/07(月) 20:13] 日常 療育・知識 発達障害