昇平てくてく日記2

小学校高学年編

1月(2)〜三学期の目標と自己コントロール

1月7日(月)

 冬休み最終日。
 長期休業中、昇平の生活に関して私が注意してやることはほとんどなくなった。生活表に従って、宿題も家庭学習もするし、ゲーム時間も守る。暴飲暴食もしないし、時間が来れば自分からお風呂にはいるし、言われなくてもシャンプーをするし、夜更かしもしない。時々勉強がわからなかったり、ゲームがうまく行かなかったりするとかんしゃくを起こして大騒ぎするけれど、それでも自分で自分をコントロールしようという気持ちはあるから、落ちついた後には反省する。
 二学期の終わりにはだいぶ不安定になっていたけれど、それも冬休みに入って一週間もたつ頃にはすっかり落ちついた雰囲気になった。こういう子たちは、普段の生活の中で少しずつ心身に疲れを溜めていきやすいのだという。しかも、自己モニターの力が弱いから、自分が疲れていることに気がつかなくて、ある時ばったり倒れて動けなくなる、ということも起こるのだと――。って、実は人ごとじゃない。私自身がそのタイプだから。母が病気で入院した中学二年生の時、がんばりすぎて過労を起こして、ぶっ倒れたこともある。昇平の場合は、倒れる前に自分のコントロールができなくなってくるのだけれど、やっぱり私と似ているところは多いのかもしれない。
 まあ、とにかく、昇平も冬休みの間のんびりして、リフレッシュできた様子。三学期はまた元気に学校へ行くだろう。

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1月8日(火)

 三学期開始。少し緊張しながらも元気に学校へ行って、元気に帰ってきた。
 学校では三学期の目標を立ててきた。生活のめあては「かんけいのないケンカに口を出さない。」、学習のめあては「勉強で怒らない。」
 自分でも、自己コントロールが今の最大の課題だとわかっているんだよね。

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1月9日(水)

 定期検診のために歯医者へ。今回も一本も虫歯がなく、歯磨き指導を受けた後、フッ素塗布してもらって終了となった。次回はまた三ヶ月後。
 歯の磨き残しの染め出しをしてもらうと、前歯の表面や歯の付け根、奥の歯に歯ブラシが届いていないのがわかる。以前と比べれば本当に上手になったと思うけれど、それでもまだもうしばらく、寝る前の「仕上げ磨き」は必要らしい。

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 左の写真は、昇平とゆめがおか2組の一年生との合作。以下は、ドウ子先生の連絡帳から。(写真はクリックすると大きくなります。)

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 廊下の掲示にネズミの折り紙を貼り、スペースがあったので、教室にいた昇平くんと一年生の二人に詩を作ってもらいました。
 「『ね』んにいちど」と一年生が初めに言うと、『ず』『み』……と昇平くんがすらすらと言葉をつなぎ、多少修正してできあがったのが、写真の作品です。相田みつを風の昇平くんの習字で、いい感じになりました。

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 本当に味のある作品だと私も思う。
 二学期の終わりにあれほどもめた一年生との合作だというところが、また素晴らしいと思った。

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1月10日(木)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 今日は生活科で「冬の遊びをしよう」ということで、かるたをしました。
 する前に、何のためにみんなで遊ぶのか(=みんなで楽しむため)、そのためにはどんな約束をしたらよいか、などを話し合って始めました。
 昇平くんは、なかなか取れなかったりして少し怒りそうになりながらも、初めの話し合いのせいで皆がとても落ちついているので、自分もとても我慢して冷静になろうとしているのがわかりました。これ以外の場面でもこんなふうにコントロールできるといいなぁ、と思います。

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1月11日(金)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 今日の給食は、二学期と少し違った様子が見られました。
 食べ始めから、一年生がちゃんと食べるかどうかとちらちらと何回も何回もチェック。納豆ご飯は今までも食べているので、食べずに箸で糸を引いたりして遊んでいても、私は注意しないで見守っていました。すると、ついに我慢ができなくなった昇平くんが「ねえ、食べないの」と言い始めましたが、二年生の女の子に「言わないんだよ」と言われると、それ以上は言いませんでした。(注:二学期では止められても気にすることをやめられなくて、「食べないの?」から「一生食べない気か!」「バカ!」といった暴言になっていた。)でも、しばらくするとまた、「ねえ、食べないの……」。それを三回繰り返し、私が「他の人の関係ないことに入ると、(三学期の目標のごほうびの)シールがもらえないんじゃない?」と警告した頃、一年生も給食を食べ始めたので、昇平くんも安心したようで、またちらちら見ながらも何も言わなくなりました。
 一年生が全部食べ終わり、自分でティッシュで口や服に付いた納豆を取っていると、昇平くんも自分のティッシュを持っていって口を拭いてあげようとし、「がんばったねぇ」と頭をなでてくれました。一年生の給食に関することでプラスの行動は、今回が初めてだったように思います。
 三学期になって昇平くん自身が落ちついたこともありますが、給食に関しても変化が見られてきたのだとしたら嬉しく思います。

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1月12日(土)

 今日から昇平は三連休。受験を間近に控えた兄ちゃんはずっと学校だし旦那も仕事なので、どこへ出かける予定もなく、家でのんびり過ごしている。
 チャレンジの後、余った時間に「ズッ君」(ドウ子先生が作ってくれた紐結び用練習用具)で蝶結びの練習をしながら、「そういえばぼく、昨日体育の時間にズックの紐がほどけたから、自分で結んだよ」と言ったので、私はびっくり仰天。冬休みの間の目標に、「自分でズックの紐を結べるようになる」というのを立てて、家庭学習の課題に「ズッ君」を5回ずつ練習してきたけれど、目印なしの普通の紐の練習をするまでには至らず、「そのうち新しいズックを買ってきてそれで練習させなくちゃ」と考えていた矢先だった。
 小学六年生なら蝶結びができるのは当たり前。それは確かにそうなのかもしれないけれど、昇平にとってはけっこうハードルの高い課題だったし、紐がほどけたときに自分から「やってみよう」と挑戦した、その気持ちもすごいと思ったので、「すごいね〜! やったね! 偉かったね〜!!」とたくさんたくさん誉めた。
 ドウ子先生が作ってくださった「ズッ君」は本当に優れもの。以前にも一度載せたけれど、近いうちに、もっと詳しい写真入りで改めて紹介しようと思っている。

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1月13日(日)

 吹雪。風がものすごく強くて寒い一日だった。昇平も私も、コンビニに少し買い物に出ただけで、あとはずっと家の中にいた。
 兄ちゃんは本当に受験間近。でも、学校がとても力を入れて受験勉強に対応してくれるので、家はリラックスの場に徹底することができている。おかげで、受験生がいるというのに家の中は本当に穏やかで、ピリピリした雰囲気がまったくない。この時期きっと兄ちゃんはとても神経質になって、その影響を受けて昇平も不安定になるんじゃないか、と心配していただけに、本当にありがたいと思っている。その分、勉強が本当に大変な学校ではあったけれど、そこで頑張り抜いた兄ちゃんの努力が実を結ぶといいな、と思う。

[08/01/14(月) 09:51] 作品 学校 日常 療育・知識 発達障害

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