昇平てくてく日記2

小学校高学年編

2月(3)〜中学校訪問・授業参観

2月18日(月)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 新しいお薬、お預かりいたします。
 金曜日の状態でお薬を調整されるのでしたら、もう少し早く調整の必要があったのかもしれない、と思いました。L子さんや1年生への暴言などでパニックになるときは、たいていあのような感じなのですが(小さい子に手を挙げるときはもっと激しいです。危険を感じて大人が間に入ります。)連絡帳では、うまくおうちの方へは伝えられていなかったのだな、と思うと、「書く」ということの限界を感じます。おうちでの様子と学校での様子は、同じ「パニック」という一言でも、違う状態だったのかもしれません。
 さて、今日は給食の時、一年生の食べ方が気になって何度も拳を作ったり、にらんだりはしたものの、席を立ったりはせず、ずいぶん我慢をしていたと思います。そして、最終的にお皿に取り分けた分を食べたときには、「僕はきっと食べると思っていたよ」と繰り返し誉めてくれました。怒るだけでなくなった分、変わってきたのだろうと思います。

−−−−−−−−−−−−−−−
(母の連絡帳から)

 そうですね。金曜日に昇平が見せていた様子は家庭ではめったに起こさない特大レベルのパニックでした。本当に、あれが連日、それもひんぱんに起きていたのであれば、もっと早く薬の調整のお願いに行くべきだったと思います。学校での様子を見学に行くとか、昔のように、朝学校へ送りながら直接先生方と話して情報を交換するとかするべきだったかな……とも思います。もう残り日数はあまりありませんが、その間にも心配な状態が続くときにはお知らせいただければと思います。
 今日は帰宅してからずっと落ちついていて、家庭学習が難しいと言って、「俺はだめな奴だ!」とほんの少し声を上げましたが、あっというまにやめて、正答を見ながら解く、という自分なりの解決法に切り替えていました。

   ☆★☆★☆★☆

2月19日(火)

 今日も家庭ではとても落ちついていた。家庭学習でもゲームでも、今までなら絶対かんしゃくを起こした場面で、さほど怒りを長引かせることなくやり過ごしていた。私大受験が終わって一段落した兄ちゃんとも、仲よくゲームをしていた。安定剤をほんの少し増量してもらったわけだが、元気がなくなるとか、ぼーっとするとか、そういう心配な症状はなく、ただとにかくいい感じで安定してきているように感じる。

   ☆★☆★☆★☆

2月20日(水)

 小学6年生が4月から入学する中学校を訪問する学校訪問だった。
 昇平は緊張したのか、学校で一時不機嫌になり、「みんなはダメだ」「死んだ方がマシだ」とパニックになったものの、L子さんが「私の下敷きの絵を昇平くんは好きだから、それを見せたら機嫌が直るかも」と言ったら、急ににやっとしてL子さんの机をのぞき込み、それで気持ちが変わったとのこと。実際には下敷きはなかったのだけれど、それですっと落ちつけたらしい。L子ちゃん、機転をありがとう!
 帰宅してからは、「中学校は広かったよ」「教室もいっぱいあったよ」と言っていた。

   ☆★☆★☆★☆

2月21日(木)

(ドウ子先生の連絡帳から)

 昨日の学校訪問では、前半に45分間、パソコンの画面(大きなスクリーン)での写真での説明と、学校についての説明、学習指導と生徒指導の話がありました。斜め後ろから昇平くんの表情を見ていましたが、あまり見たり聞いたりしている様子はなく、終わってから、「聞き取れなかったから、わからなかったよ。」と言っていました。全体指導の場はやはり苦手に見えましたが、文句を言ったり立ち歩くことはなかったので、我慢をしていたのだと思います。
 校内を歩くときには落ちついて静かに見学し、授業中の教室に入っても静かにしていました。ただ、学習している生徒の机の上のノートを、その生徒に触れそうになる距離でのぞきこんでいたのは、注意しました。
 その後、私とL子さんと昇平くんで特別支援学級に行きました。ちょうど上級生たちが「あっち向いてホイ」をしていて、「昇平くんもやりなよ」というようなことを言われてジャンケンをして遊んでいました。(注:中学校の特支学級の先輩は、ゆめがおかの卒業生や交流会などで何度も会っている顔なじみばかり。)来年のメンバーが全員揃っていて、全員体も大きく、何となく圧巻でした。特支学級では楽しく過ごして、昇平くんも笑顔でした。

   ☆★☆★☆★☆

2月22日(金)

 小学校最後の授業参観があった。6−2での社会科で、班ごとに調べた世界各国のことを交代で発表していく、というもの。昇平もイタリアとフランスを調べていて、挨拶のことばなどを大きなはっきりした声で発表していた。自分の発表以外の時にもちゃんと席について聞いていて、大人になったなぁ、とつくづく思った。他の6年生たちもすっかり頼もしい感じになっていた。終了後は6年生の学年懇談会で卒業式に関する説明。本当に、いよいよこの子たちも小学校を終えて中学生になっていくんだなぁ、と思った。
 
 明日は親の会主催の講演会のために、郡山市の私の実家へ行く。出発時刻を尋ねた昇平が、朝早く出るとわかって「じゃあ、今日のうちに荷物の準備をしておかなくちゃね」と見通しを立てた。おぉ! なんかすごいぞ!? とこんなところでも感じた。

   ☆★☆★☆★☆

2月23日(土)

 郡山市でえじそんくらぶ代表の高山さんの講演会。発達障害児・者の支援のためには、幼稚園・保育園から小学校、小学校から中学校、中学校から高校、そして就労へという「移行期」の支援体制を作り、一貫した支援をすることが重要――という話に、心からうなずく。
 これから昇平も中学生になる。小学校でこれだけのことをしてもらってきたのだから、それをまた一からやり直しにするようなことは、あまりにも悲しいし、もったいない。上の学校や社会との「つながり」が本当にほしいと思う。
 その間、昇平は私の実家で私の両親と留守番していたけれど、何の問題もなく落ちついて過ごしていたという。

   ☆★☆★☆★☆

2月24日(日)

 昨日の午後から猛烈な風と吹雪。昼頃、ようやく風も弱まり、午後、無事に高速道路を通って帰宅することができた。
 昼食は郡山の私の妹たちも集まってきて、ファミレスで食べたけれど、昇平はここでも落ちついていた。終わり近くになって、店内に赤ちゃんが入ってきたので、その声を嫌がって自分から車に早く戻っていったけれど、その時にも落ちついて行動していた。

 一週間ずっと様子を見てきたけれど、薬の調整をしてから、本当に昇平は安定したと思う。もちろん、場面によってはやっぱり不安定になることもあるけれど、以前に比べると時間が短くなったし、パニックになるような場面のスルーもじょうずになった気がする。なんとなく、とても安心した。


(2月26日 8:12 一部加筆)

[08/02/25(月) 21:02] 学校 日常 療育・知識 発達障害

[表紙][2008年リスト][もどる][すすむ]