昇平てくてく日記3

中学校編

理想の連携〜面談と授業参観を通じて〜

 昨日は午前中にスクールカウンセラーとの面談、午後からは授業参観と学級懇談会がありました。


 「今年度の学校体制」の記事にも書いたのですが、小学校でお世話になったスクールカウンセラーのA先生が、今年から中学校にも着任されたので、さっそく相談の予約を入れて、中学校での昇平の様子を報告しました。1年生の時はどんなふうだったか、2年生になってどんなふうに環境が変わったか、勉強や生活の様子はどうか……。
 昇平がパニックを頻発して大騒ぎになっていたことも詳しく話しましたが、「それはお母さんも本当につらかったですね」とねぎらわれました。今はもう、学校が協力してくれていることを実感していたので、そう言われて涙が出ることはありませんでしたが、でも、やっぱり「大変でしたね」と言ってもらえるのは嬉しいことでした。
 パニックについては、「昇平くんにではなく、パニックのきっかけになる周囲に変わっていってもらうべきことだから、学校での様子を見ていって、自分に力になれることがあればお手伝いしましょう」と言っていただきました。A先生は教室の様子を自分の目で確かめて、子どもの気持ち、先生の気持ち、場合によっては親の気持ちも受け止めながら、一番良い方法を一緒に考えてくださる先生です。その先生が心理の専門家の立場で一緒に子どもたちを見守ってくださるのは、本当に心強く感じられました。

  ☆彡☆彡☆彡☆彡

 授業参観のほうは、担任の専門である国語の授業でした。漢字の歴史やなりたちを学び、実際に漢字の練習をプリントでしていく、というもの。象形文字が漢字に変わっていった絵カードが準備されていて、視覚的にも配慮された授業でした。教室の横のホワイトボードには、明日のスケジュールがきちんと書き出してあるし、学習プリントも毎回同じ形式のものを使っているので、子どもたちは何も言われなくても黙々と取り組みます。わからないところなどは声に出して聞いていましたが。後から長谷田先生にお聞きしたところ、子どもたちはいつも以上によく頑張っていたそうです。やっぱり親に良いところを見せたかったのでしょうね。(笑) 一生懸命取り組んで疲れたので、最後の10分くらいは、ごほうびに好きな英語のアニメビデオや世界に関するビデオを見せてもらっていました。ビデオやDVDに子守をさせるような授業は困るけれど、こういう活用法はいいな、と思いました。

  ☆彡☆彡☆彡☆彡

 PTA総会の後に学級懇談会。私とL子ちゃんのお母さんと担任の三人だけの懇談会です。長谷田先生から、学校での子どもたちの様子と、今年度の目標についての話を聞かせていただきました。
 長谷田先生は昇平たちを直接教えたことはありませんでしたが、昨年度の学年の副担任だったので、昇平たちのことをよく知っています。去年から見れば二人ともずいぶん成長したこと、今年はさらに切り替えがもっとスムーズにできるようになることや、課題や提出物をきちんと提出することなどに、徐々に取り組ませていきたい、という話があり、「学力向上はもちろんなのですが、特に身の回りの生活力をつけていくことに力を入れていこうと思います」と言われました。
 内心、おお! と思いました。
 まったくその通りなのです。彼らはいわゆる勉強だけでなく、生活していくためのスキルも覚えていかなくてはならない。長い目で彼らの人生を見たときには、そちらの生活力のほうこそ重要になってきます。それを学校でも育てていくので、家庭でも協力してください、ということなのですね。
 なんでもいいから家で手伝いをさせてください、それが本人の自信にもつながりますから、と言われて考えていると、L子ちゃんは自分の運動着を自分で洗濯して、干して取り込むところまでやっているのだ、とL子ちゃんのお母さんから聞かせてもらいました。運動着の洗濯! 料理のほうは小さい頃から少しずつ教えてきたけれど、洗濯はまだでした。干すことも取り込むことも、教えればもうできるはずです。ちょうど良い取り組みなので、さっそく真似させてもらうことにしました。
 昇平が明日のスケジュールを記録しないで忘れ物をしていることにも気がついたので、これについては、さっそく小さなメモ帳を準備しました。スケジュールをメモに写すことが身につくまでは目配りして下さるよう、長谷田先生にもお願いしました。
 大事なことをメモにとる習慣――。これも自分で生きていくためには必要なスキルですよね。実際に学校での様子を見ることは、いろいろな意味で改善の良い機会になったとも思っています。

  ☆彡☆彡☆彡☆彡

 昇平は学校で一生懸命がんばっていました。
 長谷田先生は特支学級担任は初めてなのですが、熱意を持って取り組んでくださっています。
 加えて、「協力学級の授業などで2年生の教室に行っているときに何かがあれば、すぐ連絡がもらえることになっています。学年の先生全員で協力して見ていく体制になっているので、そこはご安心ください」という話が長谷田先生からありました。いわゆる「学年団」です。すごいなぁ、本当にありがたいなぁ、と思いました。

 一人の先生だけががんばるのではなく、先生方全員が協力して子どもに対応していく学校。それを専門家の目で見守って、相談にのったりアドバイスをしてくれたりするスクールカウンセラー。学校と連絡を取り合い、同じ足並みで家庭で子どもを育てていく親。さらに、病院の主治医も、必要があればいつでも電話で先生方の相談にのりますよ、と言ってくれています。私がずっと願い続けていた「理想の連携」です。

 もちろん、学校の先生全員がこの流れに乗っているわけではありません。親のほうでも、それぞれに思いや育て方に違いはあります。体制がよくなってきたからと言って、トラブルがまったく起きなくなるわけでもありません。でも、手探りしながらでもやれることを続けていけば、今年度のうちにきっと努力が花開き、なにかしらの成果につながっていくに違いない、と感じています。

 特別支援教育の先駆けの時代に当たる私たち。
 これがやがて実践記録になり、特支教育の充実や安定につながっていくのでしょう。
 その安心の中で生きるのも良いことですが、こんなふうに、関係する人たちの熱い想いを感じながら一緒に走っていくことも、また充実感があって良いものです。
 今年一年、この中学校と子どもたちがどう変わっていくか、親の立場からしっかり見守っていきたいと思っています。

[09/04/23(木) 11:49] 学校

[表紙][2009年リスト][もどる][すすむ]