昇平てくてく日記3
中学校編
昇平の一行日記
学校と家庭をつなぐ連絡帳。
担任と保護者が連絡を取り合う大切なものなので、双方のコメントを書く欄がありますが、それ以外にも、子どもがその日一日の行動を○×で自己評価する表と、「今日一日を振り返って」という一行日記用の欄があります。
行動の自己評価とは、例えば「遅刻をしないで登校できた」とか「授業中は学習に集中して取り組んだ」といった項目をチェックするもので、去年から続いているのですが、一行日記のほうは今年初めてです。短いながら昇平の気持ちをよく表しているので、入学してから今日までの分を拾ってみます。
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4月6日(月)
いい先生でよかった。
(新学期。新しい担任の長谷田先生と初めて会って)
4月7日(火)
部活は出なかっただがや……。
(でも、落ち着いて生活していました、と担任のコメント)
4月8日(水)
最悪だ〜。
(大パニックを起こして学校を早退した日)
4月9日(木)
あーあ、ダメだった……。
(やはりパニックを起こした日。でも、挽回して明るい顔で帰ってきた)
4月10日(金)
がんばったぜ〜。
(落ち着いた生活をして、授業にも真剣に取り組んだ日)
◇◆◇
4月11日(月)
ふぅ。
(初めて「休み時間には友だちと仲良く過ごした」に○がついてきた日)
4月12日(火)
部活いけなかった。
(前日は部活に出たけれど、この日は行けなかった)
4月13日(水)
楽だった〜。
(午後から先生方の出張で昼過ぎに下校になった日)
4月14日(木)
……………………。
(大パニックを起こし、止めに入った先生に乱暴してしまった)
4月15日(金)
5校時目は行けなかったけど大したことはないよ。
(協力学級の授業には出られなかった、という意味)
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先週の水曜日、木曜日と立て続けに大きなパニックを起こし、その後、気持ちを引き締めて頑張ったものの、やはり今週木曜日にまた大パニックを起こした昇平。
今回は、止めに入った男の先生に抑えられて、かっとなって乱暴してしまったそうです。本人も落ち込む、担任も責任を感じて落ち込む、止めに入った先生もパニックの原因になったクラスメートも落ち込む、もちろん親も落ち込む――と関わった全員ががっかりする出来事になってしまいました。
でも――。
こうして彼の日記を書き出して振り返ってみると、新学期になってからまだ、たったの二週間しか過ぎていなかったのですよね。学校の生活環境が激変した中で、精いっぱい「良くなろう」「ちゃんと行動しよう」と頑張っていたら、週後半に疲れが出て、パニックが頻発したって、それはむしろ当然のことかもしれないですね……。
昇平が乱暴をしてしまったと聞いて、私もついきつく昇平を注意してしまったのですが、かわいそうなことをした、と今になって思います。パニックを起こした夕方、長谷田先生がまた心配して電話をくださって、「私がもっとしっかりクールダウンさせてあげられれば良かったんですが」とおっしゃったときにも、フォローするようなことを言えなかったし……。
時々こうして全体を振り返るのは大事なことですね。
その日その日に夢中になっていると、全体の様子や大きな変化が見えなくなってしまいます。
パニックを起こして落ち込んでも、その直後から、昇平はまた頑張り始めています。乱暴してしまった先生には、今朝きちんと謝れたそうです。今日の5校時目に出なかったのも、総合学習の話し合いだから出なくてもいいよ、と言われたからだそうです。だから「大したことはないよ」と書いて、母を安心させようとしたのですね。
今は新しい環境の「馴らし」の期間。授業や部活を頑張ってみたり、ちょっと疲れたなぁ、と思って早めに帰ってみたり。パニックは本人にも周囲のみんなにもつらいことだけれど、それでも、後でちゃんと反省して謝ることができているし。
昇平は本当に頑張っているし、ちゃんと成長だってしているんですよね。行きつ戻りつを繰り返しながら。
焦っちゃいけないよなぁ――と、今こうして一行日記を書き出しながら、つくづく考えています。
[09/04/17(金) 20:55] 学校