昇平てくてく日記3

中学校編

「どうしたの?」

子どもに「どうしたの?」と聞ける大人になりたいと思う。
ただ純粋に、「どうしたの?」と。

普段、私がよく言ってしまうのは、似ているようで違うことば。
「どうしたの? 早く○○しなさい」
これはカモフラージュされた命令形。
子どもに理由を聞いているわけじゃない。

ただ純粋に「どうしたの?」と聞くためには、
まず子どもの様子を純粋に観察しなくちゃいけない。
いつもとなんだか様子が違うな。
困ったような顔をしているな。
怒っているな。泣いているな。
つらそうだな。淋しそうだな。
勉強の手が止まってしまっているな。
何度も呼んでいるのに来てくれないな。

「どうしたの?」

例えこっちが理由を予想していても、
それを最初から押しつけたりせずに、
子どもの声とことばでその理由を確かめたい。

そして、評価することなく、まず受け止められるようになりたい。
「そうか、△△なんだね」
子どもが言った理由を、まずそのまま返してあげたい。
『キミの言ったことはわかったよ』
そのメッセージを子どもに伝えるために。
でも、これが案外難しい。

それから初めて、続くことばを言いたい。
「でも、まだよくわからないところがあるんだな。もう少し詳しく教えて」
「それはこういうことなのかな? こうしたいのかな?」
「こんなふうに困っているの? こんなふうに感じているの?」
「それはこうするとうまくいくんじゃないかな」
「あの人はこう考えていたんじゃないかと思うんだけどな」
「私たちだけでは解決は難しいみたい。あの人に相談してみようか」


「どうしたの?」を英語に訳してみると、それはきっと
“ Can I help you? ”
「私にあなたのお手伝いができますか?」という意味。

主人公はキミ自身。
私はキミと一緒に考えたり、キミを手伝ったりする人。
私にはキミを手伝うことができる?
あるなら、話を聞かせて。

「どうしたの?」

それはきっと、
一番最初に大人が言うべきことば。
子どもに大人として信用してもらうために。
子どもと一緒に歩いていくために。

[10/03/28(日) 07:32] 薬・療育

[表紙][2010年リスト][もどる][すすむ]