昇平てくてく日記3
中学校編
感覚統合訓練とWii Fit
また半月ほど間が開きましたが、元気でいます。
9月になっても猛暑が続いて、暑さが苦手な昇平にはかわいそうな状況でしたが、「学校に行きたくない」と言い出すこともなく、毎日がんばって通っています。先週は学年のボランティア活動があって、昇平は学校周辺の除草作業をしたのですが、保育園時代からのお友だちのJくんとポケモンの話で盛り上がって、楽しく活動ができたそうです。Jくんと昇平は、中学に入ってからはほとんど話す機会もありませんでしたが、ちゃんと覚えていてくれたんだなぁ、昇平も覚えていたんだなぁ、と嬉しく思いました。
もうひとつ、昇平が夏休みからがんばっていることに、テレビゲームのWii Fit Plus(ウィー・フィット・プラス)があります。毎日の健康管理とトレーニングを、専用のバランスボードに乗って、ゲーム感覚で続けることができるソフトです。一時とてもはやったので、「うちにもあるよ」という方は多いのではないかと思いますが。
これを買ったそもそもの目的は、私自身の運動不足解消のためでした。散歩にもなかなか出かけられなくなったので、家にいて気軽に運動できるように、と通販で購入したのですが、届いたのを見て、「これは昇平にも合っている!」と確信。勧めてみたら、案の定、私以上にはまりました。
まず、視覚的にとてもわかりやすくできています。運動ですから、いろいろなポーズや動きをするのですが、鏡に映った自分を見るように、テレビ画面のインストラクターや自分のキャラクターを見て真似することができます。ヨガや筋肉トレーニングのインストラクターは、正面からでも背中の方向からでも、見て真似できる、という親切ぶり。視覚的認知優性の昇平には、ぴったりでした。やることの内容は字幕で出ますが、インストラクターだけは音声でも指示をしてくれます。
運動の内容は、有酸素運動、バランス感覚を養う運動、ヨガ、筋トレ、ゲーム度の高いトレーニングに別れていて、好きなものを選んでできます。私はヨガをすることが多いのですが、昇平はジョギングのような有酸素運動や筋トレ、リズムカンフーやリズムボクシングなど、いかにも男の子らしいメニューが好みのようです。
驚いたのは、本来苦手なはずのリズム運動を一生懸命やっていること。
昇平は全身の協調運動が苦手で、聴覚的認知にも困難があるので、音に合わせるリズム運動はとても難しく、ラジオ体操も小学5年生でやっとまともにできるようになった、というほどだったのですが、リズムカンフーやリズムボクシングは楽しいようで、嫌がることもなく毎日やっています。うまくリズムに合わせて動くことができれば、結果が点数とランキングで出てくるので、それを励みに続けるうちに、いつの間にか高得点が出るようになってきました。
リズム踏み台や鼓笛パレードという、音楽に合わせて動くメニューもあって、最初のうちは「全然できない!」と怒っていたのですが、これも繰り返しやるうちに、少しずつ上達してきています。
バランスをとるゲームも多く、これも本来は苦手な項目なのですが、いくら苦手と言っても、彼は中学生男子。五十になろうというこの母よりはずっとバランス感覚が良いわけで、その優越感につられてがんばるうちに、ずいぶん改善されてきました。
昇平が感覚統合の面で困難を抱えていることは、小さな頃からわかっていたのに、訓練を受けさせてあげる場が近くになく、親である我々も運動が苦手で教えてあげられなくて、ずっと歯がゆい思いをしてきました。そこを楽しく補ってくれるWii Fitに、「ここに、こんな強力な味方がいたのか!」と目からウロコが落ちる思いがしています。
Wii Fitでは体重管理もできます。朝起きて、トイレに行って制服に着替えたら体重を測定するのが、今の昇平の日課になっています。
小学生の頃に肥満を指摘され、周りからもさんざん「太っている」と言われて、とても気にしていた昇平でした。運動するんだ、と自転車や散歩をがんばってはいましたが、Wii Fit を使うと、体重と肥満度(BMI)が数字で示されてくるし、前日との体重差も出てくるので、「○百グラム減った!」とか「増えちゃった。昨日食べすぎたかな」とか、運動や食事量と体重の関係も意識できるようになりました。その結果、おやつや食事の内容や量にも気をつけるようになったので、Wii Fitの運動効果と相まって、開始当初から比べると4.5Kgも体重が減り、BMIも21.02と適性になりました。最近は、見た目にも体がしまってきて、それを周囲にも誉めてもらえるので、本人はますますやる気になっているようです。
ただ、今の若い人たち全体の風潮として、「痩せるほど良い」と思い込む傾向があるので、動くのにはそれなりのカロリーが必要だし、これから大人の体になっていけば、筋肉や骨の量が増えて、体重は増えてくるものなのだ、ということは、しっかり教えています。健康になるために痩せるのに、痩せて健康を損ねてしまっては、本末転倒ですからね。
健康で体力のある体を持つことは、すべての生活の基本だと思います。花風社から出ている『自閉っ子的 心身安定生活』の本でも、健康作りと体力作りの重要性は述べられているし、まったくその通りだと感じています。
専門家の指導の下で必要な訓練を受けることができれば最高だろうけれど、それができない環境でも、こんなふうに一般向けに発売されているものを活用してトレーニングができるのだから、あきらめる必要なんかないよね、と思うのです。
[10/09/09(木) 09:14] 薬・療育