〔20〕歩いて帰ろうとする
８月２９日(月) 高校は長期休業中なので、今週は月曜日から木曜日までフリースクール。
先週、雨で自転車を駅に置いていっていたので、駅まで送りながら、１カ月分の定期を購入した。
金曜日にはバッグもフリースクールに忘れていたのだけれど、「スクールに行ってみたらバッグがなかった」と連絡をよこした。では、スクールの後で立ち寄ったゲーム屋さんだ！ と急いで電話をしたら、「はい、こちらでお預かりしています」と言われて一安心。
自分で通い始めて３カ月。慣れてきて、少しずつ忘れ物が出始めている。
夕方、帰宅した昇平、「リュックが壊れた」と言う。重量オーバーだったリュックサックだが、担ごうとしたときにひっかけて、とうとう紐の部分も切れてしまったと言う。「だから入れすぎだと言ったんだよ」と、トートバッグ一つに荷物をまとめさせたけれど、それでもまだずっしりと重かった。こっちがダメになるのも時間の問題かな……。
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８月３０日（火） 続くときには続くようで、今度は昇平の自転車がパンクしてしまった。自転車屋まで自分で持っていったのはよいけれど、無理に乗っていったようで、タイヤのチューブを交換する羽目になった。
昇平の自転車はパンクの回数が非常に多い。悪路でもかまわず走ってしまうせいもあるけれど、なんと言っても荷物が重すぎるのだろう。改めて測ってみたら、荷物を減らしたはずのトートバッグの重さが７．５Kgあった。リュックサックとトートの両方を持っていっていた頃は、両方合わせて１０Kg以上あったのだろう。昇平の体重が７０Kg近くあるから、合わせて８０Kg以上。タイヤがパンクするのも当然かも。
さすがに昇平も荷物が多すぎたのだと痛感したようで、はかりに乗せながら一生懸命中身を減らして、とうとう５Kgまで減量することに成功した。手間はかかるけれど、自分で実感して行動するのが大事だから、いい勉強をしたと思う。
このトートバッグの写真を、昇平は自分のブログに載せていた。
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８月３１日（水） 今日もフリースクールへ。毎日楽しそうに通っている。
ところが、午後４時頃に私の携帯に電話がかかってきた。
「えーっとね、フリースクールから家まで歩いて帰っているところなんだけれど、もう少しで着くと思うんだけど、この場所がね……」
は？ 歩いて帰っているところ？
電車や地下鉄が発達している首都圏では想像できかもしれないけれど、こちらの電車は、私鉄でも駅と駅の間の距離が遠い。フリースクールの駅から彼が降りる駅まではほんの３駅だけれど、そこを歩こうと思ったら相当の時間歩かなくちゃならない。「もう少しで着くと思うけど」なんて言える場所にいるはずがないので、周囲の様子を聞いてみると、「え〜っと、え〜っと、坂になった引き込み道があってね、周りが田んぼでね……」そんな景色、このあたりにはいくらでもあるのよ！ と言うと、「だからね、位置ナビでぼくのいるところを見てほしいんだ」。
つまり、家まで歩いて帰ってみようと思って歩き出したものの、なんとなく周囲の様子が違う気がしてきて、自分の居場所を確認してもらおうと、私へ電話をかけてきたのだった。
ちょっと待っててね、そこから動かないでいてね、と言って電話を切り、急いで携帯のGPSの位置検索をしてみたら、ひと駅分を歩いて、隣駅の近くまで来ていたことがわかった。とはいえ、そこは我が家へ向かう道からは大きく方向が外れている場所。迷子になっているのがわかったので、そのまま待ってて、迎えに行くから、ともう一度連絡して、急いで車で駆けつけた。
結果から言うと、GPSで位置検索した場所から１０メートルと離れていないところに昇平がいて、検索結果に☆三つ出たときには、かなりの精度で検索されているのだ、という実地検証にもなった。昇平は特に不安そうな様子もなく、持っていた本など眺めながら私を待っていた。
結局、昇平は常に自動車や電車で移動していたので、スクールから家までの距離感がなかった、というのが一番の原因。スクールから三十分以上歩き、なんとなく似たような景色の場所に出くわしたので、てっきり自分の家の近くまで来ていると思い、駅へ自転車を取りに行こうと思って曲がって、まったく違う方角へ向かっていた、ということだった。
論より証拠。昇平が本当に通ろうとした道を車で走って、自転車のところまで行ったみせた。時速５０キロの車で１０分の道のり。さすがに「ずいぶん遠かったんだね！」とびっくりして、「これからは歩かないで、電車で帰ったほうがいいね」と納得していた。そうしてちょうだい。一ヵ月の定期券だって買ってあるわけだから。
でも、ちょっとハラハラしたけれど、その一方で、自分で歩いて帰ろうとした昇平のチャレンジ精神がとても嬉しくも思えた。迷子になったと思ったときに、母に電話をかけて自分の居場所を検索してもらった対応も、冷静でとても適切。「なかなかやるじゃない。頼もしいね」と誉めると、「そう？」とまんざらでもない表情だった。
夜に帰宅した旦那も、その話を聞いて、「俺の息子だな」と笑った。やっぱり子どもの頃には自転車などでいろいろな道を走り回って、どこへ行けるか冒険したりしたのだそうだ。
昇平なりに自分の力を試しているんだなぁ、と成長ぶりが嬉しい事件でもあった。
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９月１日（木） 台風が接近しているので、蒸し暑い。久しぶりでエアコンを入れた。
昇平は今日はちゃんと電車で帰ってきた。
スクールでは、ニンテンドー3DSのアンバサダープログラムでダウンロードしたマリオブラザーズで、友だちのＳくんと遊んだりしたらしい。
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９月２日（金） 引き続き蒸し暑い日。台風が接近しているが、こちらでは雨はたまに降る程度。進みがとても遅い台風だ。
昇平は最近3DSのマリオブラザーズやインベーダーゲームに夢中で、母とポケモンカードをしてくれないので、私のほうから誘って遊んだ。
カードの研究も進んで、かなり強いデッキを組むようになってきたので、勝つのに非常に苦労する。そのうち、同じ子ども同士でもカードバトルできれば、とは思うけれど、とりあえず、母も楽しいので、今はこれでいいかな。
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９月３日（土） 台風１２号が上陸。福島でも時々非常に強い雨が降る。
旦那がほぼ３カ月ぶりで完全な公休を取れた。今日と明日の午前中が休み。どこかへドライブに行こうか、と言っていたけれど、台風が来ているのであきらめて、福島市内へ焼き肉バイキングを食べに行った。時間いっぱいまで、のんびりしっかり食べ、その後、本屋に回って帰宅。お腹がいっぱいになった。
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９月４日（日） 旦那は昼過ぎから仕事へ行った。天気がよくなかったこともあって、外食に出かけた時以外は、ほとんど寝てばかりいた。ずっと忙しくて本当に休みなしだったから、たっぷり休めて、むしろ良かったんだろう。
昇平と私は今日もカードバトルをした。昇平の切り札はパワフルビンタという技を使うタブンネと、吸血で体力を回復してしまうデンチュラ、リーフカッターで大ダメージを与えてくるビリジオン。この強力な３匹にどうやって討ち勝つか、が頭の悩ませどころ。けっこう本気のバトルになってしまう。今日は私の一勝二敗。明日は勝てるかな……！？
明日は私が病院に行く日。婦人系の漢方薬を２週間飲んだが、少しずつ調子が良くなってきた気がする。まだ時々動悸はするけれど、めまいや締めつけられるような感じはなくなったし、体がだるくなることもなくなってきた。明日また同じ漢方薬を出してもらうつもり。
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[11/09/05(月) 22:02] てくてく日記