〔４７〕ダウンそして震災一周年
３月５日(月) 前の晩に心配事が解決した昇平は、朝６時半にすっきり目覚めて、元気にフリースクールへ行った。
明け方から雪がすごい勢いで降ってきて１０センチ以上積もったので、雪かきをしてから旦那を職場へ送ったが、その後、昇平を駅に送るまでにまた１０センチくらい積もってしまって、もう一度雪かきになった。今年の冬は本当に雪が多い。朝一番の雪かきは昇平も一緒に手伝ってくれた。
ところが、その後、私は昼過ぎから気分が悪くなってきて、昇平と旦那の迎えはなんとかできたが、帰宅したとたん２階の居間から動けなくなった。夜８時半までに３度吐いて、最後に下痢もして、胃腸がすっかり空になったらようやく気分が良くなった。
食事の支度いっさいは義母に任せ、怪我人の旦那にもずいぶん看病してもらってしまった。家族というのは本当にありがたい。
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３月６日(火) 旦那は仕事を休み、昇平もフリースクールが休みで家にいた。
私は胃腸をすっかりやられて食欲がない。体が重くて布団から起き上がることもできない。胃がお粥程度しか受けつけないので、昇平に頼んで、スーパーまでベビーせんべいと米はぜ(ポップライス）を買いに行ってもらい、それを食べて、なんとかエネルギー補給していた。午後には一時熱が３８．４℃まで上がった。
昇平は、私の枕元まで食事を運んだり、「がんばってね」と励ましてくれたりと、いろいろ気遣ってくれた。落ち着いているように見えたが、おばあちゃんの前では「お母さんが死んだらどうしよう」と心配して頭を抱え込んでいたらしい。
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３月７日(水) 旦那は義父の車で出勤。昇平もフリースクールへ。
私はようやく元気になって、午後には起きることもできるようになった。やっと回復。心配事や多忙が続いたから、疲れが出たんだろうか。本当に、ひどい目に遭ってしまった。
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３月８日(木) 未明から今度は旦那が気分が悪くなって、熱も３７．２℃まで上がった。食欲が無くて、一日ほとんど何も食べなかったが、提出期限が迫っている書類があるのだと言って、３時間くらい仕事に行った。私はまた車での送迎ができるようになった。
昇平はフリースクールに行ったが、途中で一度お腹が痛くなったらしい。怪しいな、と思っていたら、夕食後に本格的に腹痛を起こして吐いた。熱はやはり３７．２℃。どうやらノロらしい。私から二人にうつしてしまった。
親の会では支部学習会があったが、私はまだ本調子ではないので、今回はパスした。とても残念だったけれど、また次の機会に期待。
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３月９日(金) 旦那解熱。今日も３時間くらい仕事へ行った。
昇平も同様に解熱。午後には食欲も回復して、あれもこれも食べたがるようになったので、セーブさせるのに大変になった。
二人とも私より症状が軽かったので、回復はとても早かった。体力もあったのだろう。一安心。
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３月１０日(土) 旦那の通院日。レントゲンを撮って、順調に骨はついてきていると言われた。ただし、足の関節に近い場所なので、ギプスが外れるまでに全部で６週間かかるらしい。あと４週間あまりだ。病院の後は仕事へ行った。
昇平は１１時に起床。少しだるそうだったが、午後にはほぼ元通りになった。ただ、気分的には浮き沈みがあって、夜にはまた少し不安定になってしまった。これはしかたがないのだろうな。
明日が３．１１なので、私も他の家族もなんとなく落ち着かない気分でいる。「何事もなく過ぎますように」と祈りたいような気持ち。
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３月１１日(日) 東日本大震災から１年が過ぎた。大きな地震も起きなくて、誰もがほっとしている。３月１１日にまた災害が起きる可能性はとても低いのだけれど、それでも心配してしまうのが人の心情というものなのだろう。
１年前のこの日は昇平の中学卒業の日だった。朝、その話をしたら、昇平が「私はこの一年で本当に成長したよね。震災が私を大人にしたような気がするんだ」と言った。（昇平はしばらく前から一人称が「私」になっている）
それは本当にそうだと思う。中学生活があまりに大変だったので、人間が信じられなくなりかけていた昇平が、震災後、大勢の人が被災地を支援してくれる様子を見て、「人間は助け合うものなんだ」と知った。昇平自身も、母の友人たちからプレゼントや手紙をもらって、「自分は応援されているんだ」と実感することができた。目に見えにくくて一番理解しにくい「人の心」を、震災が目に見える形にしてくれた――そんな気がしている。
震災は本当に不幸な出来事だった。あんなにつらくて悲しいことは、世界中のどこでももう起きてほしくないと思う。けれども、そんな震災の中にさえ、学ぶことはあった。この世に意味のないことはひとつもない、ということなのかもしれない。
午後２時４６分の震災の発生時間に、テレビの中継にあわせて昇平と黙祷を捧げた。
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[12/03/12(月) 22:53] てくてく日記