昇平てくてく日記4
高校編
てくてく日記・72「冒険とお泊まり会」(考察付)
最後に考察を載せています。考察に関連する出来事には(※番号)をつけました。
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8月27日(月)
期末試験が終わったので、昇平は9月いっぱい夏休み(期末休業)になった。後期の授業が始まるのは10月になってから。とてもゆとりがあるので、昇平にも無理なく通える。「将来いろんな学校ができて、みんながそれぞれ自分に合った学校に進めるようになるといいね」と昇平は言っていた(※1)。
フリースクールでは一日遅れの誕生祝いを開いてもらったようで、「私はみんなから大事にされているんだね」と言いながら、笑顔で帰ってきた(※2)。
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8月28日(火)
今日もフリースクール。
以前は友だちがふざけて変なことを言うのをとても嫌がっていたが、今日は「みんな楽しそうでいいな、と思えるようになったよ」と教えてくれた。(※3)
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8月29日(水)
今日は先生が出張でフリースクールが休みなので、「南福島まで遊びに行ってくる!」と言いだした。郊外型の店が集まっている場所で、昇平が体育の授業を受ける体育館も、その一角にある。体育のときにはほとんど寄り道せずに帰ってきたので、今回は遊びのために出かけたい、と思い立ったらしい。
電車で福島駅まで出た後、いつもとは違う時間のバスに乗り、ハンバーガー屋でお昼を買い、今まで行ったことのない店やゲーセンで遊び、またいつもと全然違う時間のバスに乗って帰ってきた。
帰ってきてから、「今日は自分一人で思いついて決めて、自分一人だけで行って帰ってきたよ。私は今日はものすごい冒険をしたんだよね」と満足そうだった。(※4)
ただ、帰りの電車の中にハンカチを忘れてしまった。私が駅に電話をしたら見つかったので、明日、昇平が受け取りに行くことになった。(※5)
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8月30日(木)
今日は先生のご事情で急きょフリースクールが休みになったが、昇平は昨日の「冒険」でとても疲れていたので、ちょうど良い休養になった。朝ごはんを食べた後は、昼近くまでまた寝て、午後には忘れ物のハンカチを取りに自転車で駅へ行った。
私は美容院や銀行などに出かけて、忙しい一日だった。
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8月31日(金)
明日はお泊まり会なので、荷物の準備をした。
学校からは前期試験の合格通知が郵送されてきた。これで前期の単位は無事に取れた。
同じ郵便物に「将来の進路を考えよう」という印刷物もあって、「私は将来何になれるかなぁ」と考えていた(※6)。彼が通う高校は、進学や就職の進路について、とても具体的に呼びかけてくれるので、昇平も入学してからずっと自分の将来について考え続けている。「農業がいいかなぁ」と言うので、「農業には体力が必要だから、もっと体を鍛える必要があるよ」と話した。いずれ農業体験プログラムなどに参加させてみるのも、いいかもしれない。
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9月1日(土)
親の会のお泊まり会で、猪苗代町へ。途中、郊外に広がる蕎麦畑が満開で、早場米の稲穂の金色と、蕎麦の花の白のコントラストが、とても綺麗だった。
宿泊したのはホテルのコンドミニアム。子ども10名、保護者9名、大学生ボランティア2名の総勢22名。私と昇平はフリースクールで一緒のSくん親子と同室だったが、子どもによっては親から離れて別の子やボランティアさんと同じ部屋になったり、遊ぶときも、子ども同士入れ替わりながらグループを作って、その時々の仲良しで集まったりと、とても柔軟に過ごしていた(※7) 。ボランティアのお兄さんお姉さんや、お父さんの参加もあったので、子どもたちを安心して遊ばせることができて(※8) 、お母さんたちは思う存分おしゃべりをすることができた(※9) 。
昇平がとても落ち込んでいたことを知っているお母さんたちは、他の子たちとはしゃぐ昇平を見て、「明るくなったね」「元気になって良かったね」と一緒に喜んでくれた(※10)。
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9月2日(日)
朝、早起きして、熱気球の試乗体験をしようとしたが、天候が不安定で中止。雨も降り出したので、野外活動は取りやめて、猪苗代湖畔の「世界のガラス館」へ行った。昇平と私とS君はガラス彫刻に挑戦して、オリジナルグラスを作ってきた(※11)。昇平はインベーダーの絵、S君は「無常」と彫っていて、どちらも彼ららしかった。
昼は猪苗代蕎麦を食べて解散。どの子も「みんなと仲よく過ごせた」「すごく楽しかった」「またお泊まり会をしたい」と満足そうだった。昇平も「いろいろ楽しかったから、何が一番なんてとても言えない!」と言っていた(※12)。
帰り道、土湯峠で猛烈な雨と霧に見舞われ、福島市内に入ってもずっと強い雨で運転が怖かったが、家に着く頃には雨もやみ、無事に帰ってこられて一安心だった。
[12/09/03(月) 15:44] てくてく日記