昇平てくてく日記4

高校編

てくてく日記・109「フラッシュバックとパニック」

Shinryoku
新緑の公園

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5/13(月)〜5/19(日)

月:フリースクール
火:フリースクール
水:スクーリング(HR)、母とバスの下見
木:フリースクール
金:スクーリング(ワープロ)
土:プール
日:父半休、買物・外食

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 新学期が始まって2週目。昇平はスクーリングにも真面目に出席しているし、レポートもどんどん仕上げて、郵送されてきた分はほとんどやり終えてしまった。やるものがなくなったので、あとはパソコンでワープロ(Word)の練習をしよう、と話し合った。

 ただ、がんばっているのは良いけれど、そろそろ疲れも出てきて、フラッシュバックからパニックをおこすようになってきた。ごく普通に過ごしているときに、突然、以前目にした嫌な内容のことばやネットの書き込みを思い出し、興奮して怒り出すパターン。時間帯は夕方が多いけれど、疲れを引きずっていると、翌朝にも小パニックを起こす。
 パニックになると、納得したはずのことが思い出せなくなって、以前の状態に戻ってしまうし、体中に力が入って顔も真っ赤になるので、ひどいときには鼻血が出る。火曜日には昇平を叱りつけてパニックを抑えたけれど、そんなやり方は本当はやりたくはないし、本当の解決にもならない。土曜日にまたパニックを起こしたときには、「自分の中で思い出すフラッシュバックは、他の人に対処することはできないんだから、自分でコントロールできるようにするしかないんだよ」と話し、とにかく疲れているときに起きやすいのだから、まずしっかり寝なさい、と話して聞かせた。
 日曜日には、外出から帰ってきてから、またフラッシュバックが起きたが、自分から「疲れたから少し寝てくるね」と昼寝に行き、夕方目覚めたときには元気になっていたので、休養は効果がある、と自分でも実感したようだった。

 実を言えば、私もけっこうフラッシュバックを起こす人間。昇平ほどひどくはないけれど、何十年も前の失敗や嫌な出来事を突然鮮やかに思い出しては、「うわ〜!」と悲鳴を上げたくなる。そんな昔のこと誰も覚えていないよ、忘れなさい、と言われてもできないことも自分でわかっている。
 昼寝から起きてきた後、昇平が「嫌なことを完全になくすことはできないんだから、嫌なことともつき合っていかなくちゃいけないんだよね」と言ったので、「実はお母さんも同じなんだよ。忘れることは無理だから、お母さんは、思い出してしまったときに、その記憶から『身をかわして』いるんだ。昇平くんも、その練習をするといいよ」と話した。
 フラッシュバックの元になるトラウマを消そうとしなくてもいい、記憶から身をかわすことが嫌なこととのつきあい方なんだと言われたことが、昇平には嬉しかったらしい。「お母さん、ありがとう。僕、お母さんが大好きだよ」と言って、階下に下りていった。

(2013.5.19記)

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[13/05/20(月) 09:36] てくてく日記

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