てくてく日記・159「現実とフィクションの仕切り線」

新緑の吾妻運動公園入り口
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6/9(月)~6/15(日)月:フリースクール
火:授業(英語)→フリースクール
水:フリースクール
木:フリースクール→授業(校長講話)
金:通院日→フリースクール
土:WBC検査※
日:吾妻運動公園民家園へ
※WBC=ホールボディカウンター
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金曜日に私と昇平の二人でWBC検査を受けてきた。これは放射性物質による内部被曝量を測定するための検査。洗濯したての服を持って行って病院で着替え、測定器の中に3分間立って測定してもらう。私はこれが2回目、昇平は3回目の検査だけれど、過去の検査では測定値限界未満(=要するに被曝は限りなくゼロに近いということ)。福島県では全県民を対象に無料で検査が行われているけれど、大部分の人が「非検出」という結果が出るので、2回目以降は検査を受ける人が減っているという。私たちも、自分たちの生活を振り返って、この状況で検出されるわけはないとわかっているのだけれど、「大丈夫」と言うためにもデータが必要なので、受けられる検査はしっかり受けることにしている。
今回は昇平にも検査の意味を図に描きながらしっかり説明。検査の間は少し不安だったようだが、「(結果は)大丈夫だよね」と言って、その後は落ち着いていた。検査結果は1~2ヶ月後に郵送されてくる。
日曜日には主人と昇平と3人で、福島市の吾妻運動公園の民家園へ行ってきた。古民家などが十数件集められていて、江戸時代から昭和初期にかけての古い農具や生活道具なども展示されているので、「これは何に使った道具だと思う?」と昇平とクイズをしながら、興味深く見て回った。
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実は週の前半、昇平はあまり調子が良くなかった。そうなると、とある漫画の主人公を「かわいそうだ」とか「誰にも理解されていなくて孤独なんだ」とか「ぼくがなんとか助けてあげたい」と、本当の人間のように心配し始める。これまでも何度も話し合い、そのたびに少しは理解・納得したように見えたのだけれど、またストレスが溜まっていくように、いつの間にか同じ不安に戻ってくる。ここ1年あまり、ずっとその繰り返し。
木曜日の夜も、それで寝られなくなって、布団に入ってからパニックを起こしていた。話ができる程度の小パニックなので、悩みを整理するのに私が話に付き合うのだけれど、それもどうにも行き詰まるので、とうとう昇平にこう言った。
「漫画や小説の中の登場人物やストーリーについては、読者にはどうすることもできないんだよ」
「その悩みは君自身の中にあるから、君が自分でどうにかしようと思わなければ解決できないの」
「解決をあきらめたくないというなら、それも君の自由だけれど、考えてごらん。君はこのままずっと、この問題を考え続けるの? 三十歳になっても、五十歳になっても、八十歳になっても、やっぱり同じことを考えて悩み続けるの? それで一生を終わりたいの?」
すると昇平、しばらく黙って考えてから
「それはいやだな」
と一言。
それからもうしばらくいろいろ考えてから、
「ぼくは漫画の世界と現実を一続きで考えていたみたいだ。間に線を引かなくちゃいけないんだね」
もちろん、こういう心の操作は、定型発達のお子さんの場合は、ごく幼い頃に自然に獲得しているものなのだが、昇平の場合は、ようやく今ついに。
いや、本当は私といろいろ話し合う中で、かなりの部分気がついていたのだけれど、あきらめたくなかったというか、納得しきれない部分があった様子。それをとうとう踏ん切る決心をしたようだった。「本当は、もうほとんどわかっていたんだけどね」と後から言ったから。
その後からは、気になる漫画を思い出しても、意識的に頭の中で仕切り線を引いて、現実とフィクションを区別するようにしている。やっとそれが少しずつうまくいくようになってきたようで、「線を引くようにしたら、毎日がずいぶん楽になってきたよ」とも言うようになった。
翌日は通院日で、主治医のY先生はたまたまお休みだったけれど、代わりのO先生から「そんなふうに問題を棚上げするのもいいと思うよ。そうしている間に解決方法が見つかることだってあるし」と承認してもらえて、なお自信をもったようだった。
最近は、その仕切り線を、自分がいる現実の生活空間とインターネットの世界の間にも引けるようになったきたようで、ネットの中でどんなに刺激的なやりとりがあっても、そこから少し距離を置いて眺められるようになってきたと言う。
まだ意識的な操作なので、これがスムーズにできるようになるまで、もうしばらく浮き沈みはあると思うけれど、また一歩前進できたのかな、と思いながら見守っている。
(2014.6.16記)
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[14/06/16(月) 13:39] てくてく日記