●「子どもの行動」の整理のしかた
まず、一週間の中で、特に変わったことや行事などのなかった、普通の日を一日選んで、その日の子どもの行動を思い出します。あらかじめメモ用紙を準備しておいて、その日の子どもの行動を観察しながら記録していっても良いです。
その行動を、次の3つの種類に分類していきます。
1.これからも続けてやってほしい行動(増やしたいこと)
2.これからはやらせたくない行動(減らしたいこと)
3.2度とやらせたくない行動(人を傷つける、ものを壊す) |
渡されたプリントには、3つの行動が書かれていて、その下に、空欄が6つあります。そこに、思い出した行動を分類して記入していくわけです。
その際に注意しなくてはいけないのは
・できるだけ具体的に書くこと
・目に見えること、聞こえること、数えられる行動を選ぶこと
・親の願望ではなく、実際に子どもが行動したことを書くこと
実際にはこんなNGが出やすくなります。
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・ | 「片づけをした」「行儀良く食べられた」
もっと具体的な様子を書き込みます。「『片づけて』と2回言ったら片づけをした」とか、「食事中、一度も席を立たないで最後まで食べられた」とか。
それをもとにして子どもをほめていくので、ほめる基準となる、具体的な数字や様子を意識的に書き込みます。
また、行動そのものも、できるだけ小さく分けて書くようにします。ただ「片づけをした」ではなく、「自分の出したおもちゃを一カ所に集められた」とか「おもちゃをおもちゃ箱に3個入れられた」とか「おもちゃ箱を所定の場所に戻せた」というように。
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・ | 『続けてやってほしい行動』に「朝早く起きてほしい」「勉強を毎日してほしい」などと書く。
これは、子どもが実際に行った行動ではなく、親が「こうしてほしい」と思っている願望です。そうではなく、実際に子どもが行った良い行動を見つけましょう。
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・ | 「うちの子には良い行動なんて全然ありません。」
そんなことはないんです。そんな子でも、よくよく観察すれば、必ずほめられるような良い行動をする瞬間があります。些細なことから始めて良いのです。「いつもは10回も注意されるのに、今日は7回しか注意されなかった。」なんていうのだって、続けてほしい良い行動に入れてよいのです。
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さて、私もさっそく、先週の金曜日の様子を思い出して書いてみました。親が仕事をしていて、普段はあまり子どもと接触がない場合は、お休みの日などを選ぶと良いそうです。
右下の表は、実際に私が記入したものですが、こんなことを書いています。
「これからも続けてやってほしい行動」
・ | 朝トイレに行き、自分からスリッパをはいた。 |
・ | 着替え中、気がそれそうになったが、声をかけられたらすぐにまた着替えを続けられた。 |
・ | 保育園で、先生に向かってきちんとおじぎをしながら「おはようございます」と言えた。 |
・ | 分からないことばを見たり聞いたりしたとき、「これはどういうこと?」と母に質問した。 |
・ | 自分のほしいもの(食べ物や洋服)について、自分のことばで説明することができた。 |
・ | 夜9時すぎたのでビデオを止めたら不満を言ったが、「明日続きを見ようね」と言ったらがまんすることができた。 |
「これからはやらせたくない行動」
・ | 保育園でA子ちゃんが泣いたら、つられて泣き出して、関係ない近くの子を叩いてしまった。 |
・ | タンスの表面に修正液(ホワイト)でカービィのらくがきをした。 |
・ | お風呂の時間になっても、なかなかお風呂に入りたがらない。 |
「2度とやらせたくない行動」
なし
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行動整理表 |
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今見直してみると、自分のほしいものをことばで言えた、とか、お風呂になかなか入りたがらない、というのは漠然としすぎていたかも。もう少し具体的に書くべきでした。
表の形としては、私が書いたように、左から右に向かって項目が少なくなり、「2度とやらせたくない行動」がひとつもないのが理想的だという話でした。逆に、右の方が多く左に行くにしたがって少なくなってしまう形だと、かなり本腰を入れてペアレント・トレーニングを行い、親子の信頼関係をしっかりと結び直す必要があるのだそうです。
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