ADHDの子どもへの対処法を考える
 〜ペアレント・トレーニング1回目より〜
ほめることを見つけよう

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年が明けた2002年1月17日、「とーます!」バージョンのペアレント・トレーニングが再スタートしました。
福島ADHD親の会の「とーます!」は、学習会に出席する会員がその度に入れ替わったり、新しい会員が増えたりして、毎回同じ顔ぶれで揃うことが難しいのです。これに対応するため、指導に当たっている中田先生は、トレーニングを全4回に分け、どの回からでも参加できて、繰り返し受講することもできるようなプログラムを考えられました。試行錯誤しながら、オープングループでのPT(ペアレント・トレーニング)の完成を目指すそうです。

新1回目の内容は、
ほめることを見つけよう。
内容的には、旧PTの実践レポート−1とほとんど同じですが、ポイントを簡潔にまとめたレジメが渡ってきたので、補足の意味で、紹介してみたいと思います。



1.行動とは何か?

見える/聞こえる/数えられる ものである

×弟に優しくできる(優しさは目には見えない。)
      ↓
弟が使っているゲームを取り上げない


朝着替えができる(着替えの中身を具体的に。)
      ↓
靴下を自分ではく


2.行動を3つに整理する

・して欲しい行動
・して欲しくない行動
・許しがたい行動


して欲しい行動・・・・・子どもが自らすることの中で、これからも続けてやって欲しい行動
(増やしたい行動)

して欲しくない行動・・・子どもがやることで、これからはやらせたくない行動
(減らしたい行動)

許しがたい行動・・・・・二度とやらせたくない行動
(人を傷つける、ものを壊す)

詳しくは、→実践レポート−1「子どもの行動」の整理のしかた 参照


3.行動と注目

注目――肯定的な注目と否定的な注目の2種類がある。

・肯定的注目:「○○ができて、偉いね〜」
・否定的注目:「△△をするなんて、あんたはなんて悪い子なの!」


肯定的であっても否定的であっても、子供は親の注目を求めている。
注目されることで、その行為は増えていく。

例)親にかまってもらえない子が、親の気をひきたくて、わざといたずらなどをする。 親が怒ると、さらに何度もいたずらを繰り返す。

否定的注目はしないで、「して欲しい行動」の中から増やしたい行動を見つけだし、肯定的注目をする。つまり「ほめる」
注目されるのは嬉しいのでその行動が増え、相対的に「して欲しくない行動」が減り始める。



4.「して欲しい行動」を見つけよう

見つけるポイント

・同年齢の子どもだったら当然できること
・子どもが1週間に1回以上やること
・見える、聞こえる、数えられる行動であること        


要するに、ひんぱんにほめられる行動を選ぶことと、具体的な行動を選ぶことがポイント。
その中から「これを重点的に増やしたい」という行動を3〜5つ選ぶ。(これをターゲット行動と呼ぶ。)


5.ほめるときの大切なポイント

・近くに行って
・目を見て
・声を明るく
・表情を豊かに
・動作を含めて

ほめる


6.ほめるときの三要素

タイミング・・・・・即座に
行動を・・・・・・・できるだけ具体的に
単純に・・・・・・・批判・コメントは無し           

詳しくは、→実践レポート−1「これからも続けてやってほしい行動」をほめる 参照


7.子どもの個性にあったほめ方を工夫しよう

ほめるというのは、ほめことばを言うこととは限らない。その子の行動を「認める」ことがほめること。
どんなほめ方が嬉しいかは、その子によって違うので、その子の個性にあったほめ方のチャンネルを探す。

例)「何をしているの?」と子どもの行動に興味を示してみせる。
  黙って見ていて、視線が合ったら「気がついていたよ」と言うようにうなずいて見せる。
  ことばではほめないで、黙ってポンポンと肩を叩いてあげる。etc.






実践  「ほめる練習」
1.

1週間の出来事を思い出して、我が子がした「良い行動」(これからも続けていってほしい行動)をピックアップする。それも、できるだけたくさん。思い出せたら、それをした日時も書く。

2.

「良い行動」のどういうところが良かったかが漠然としているときには、もっと具体的に書く。

3.

その中で1週間に1回以上できそうな行動に○をつける。

4.

○をつけた行動の中から3つ〜5つ選び、その行動に重点的に注目し、その行動をしたときには即座にほめる。

5.

これを一カ月間続ける。


レポート 「ほめる練習」の成果

一ヶ月後の「とーます!」の例会で報告された成果には、次のようなものがありました。

洗濯物を洗濯かごに出せるようになった。

学校に登校できるようになった。

塾に嫌がらずに行けるようになった。

忘れ物がないように、学用品の点検ができるようになった。

お風呂に入るよ、と言われても嫌がらないで入れるようになった。




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このレポートは、福島ADHDの会『とーます!』(現 発達障害支援の会『福島とーます!』)で行われたペアレント・トレーニング学習会の内容を、朝倉が個人的にまとめたものです。
レポートに関する質問等は、メールにてお受けいたします。

(2002年2月23日)  

朝倉玲  
ley@nifty.com  


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