昇平てくてく日記2

小学校高学年編

学習の様子・3

さて、今回の「学習の様子」シリーズ最終回は、2月2−3日に行われた学力テストの様子を連絡帳から。

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2月2日(木)   記録者:ドウ子

さて、今日の国語の学力テストの様子をお知らせします。
聞くテストの時には、CDの問題文を聞きながら、キーワードをしっかりメモしていました。カタカナの方が画数が少ないと思ったのか、途中からメモがカタカナになり、つなひきのコツの話で「腰にぐっと力を入れ〜」という文章の時、「コシグット」とメモをしていて、私が笑いそうになってしまいました。
読み取りの問題では、小声で文章を読み、自分で「大切なところに線を引こう」と言って線を引いていました。普通の単元テスト五枚分くらいの五つの話(物語や説明文など)で、とても40分でできる量とは思えないのですが、嫌がることも、飽きた様子もなく、とても集中していました。解答も、「これとこれは違うから……よし、これだ」など、ちゃんと考えてやっていることがわかりました。
ただ、丁寧にやっているので、時間が足りなくなって(第一部は12分などと時間制限があるので)やらないでしまったものがかなりあり、点数にはなっていないと思います。よく「空欄を作らないで、記号なんだから何か記入しておきなさい。当たるかもしれないから……」という指導もあるものですが、なんだか、せっかくすごく考えてやっているので、「早く」という、せかすような指示はしませんでした。(漢字などわからなくて止まっているときは、次をやるように言いましたが)
昨年は「問題文を森村先生が読んであげていたらしい」という、みのり先生(注:去年の協力学級担任)の話でしたが、今年は”回答欄を知らせる”くらいの支援で、自力でできました。

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2月3日(金)   記録者:ドウ子

今日の算数の学力テストは、「楽しそうだなぁ」と言って取り組み、一問一問、本当によく考えて解答していました。
”これは難しいな……”と思う問題も、合理的ではない面倒な解き方をしてでも何とか解答をだそうとし、正解だったり、「あー、忘れちゃった……できない」(三角定規の角度)と言った問題に、私が「じゃあ、何も書かないとバッテンだから、何か書いておいてもいいよ」(昨日の国語と矛盾している声かけですが)と言って、「これかな」と選んだのが当たっていたり、と、なんだかかなりの得点が期待できそうで楽しみです。スピードも、各項目の配当時間より速いスピードで進み、やらなかった問題はありません。
朝の時間に、「しばらくすると、覚えたことを忘れてしまう」という話をしましたが(注:朝の登校時に、学習して覚えたことをしばらくすると忘れてしまっている、という話をしたばかりだった)、今年一年間の算数の定着力はかなりのものと感じました。

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以上が、昇平の国語と算数の学力テストの様子。
相変わらず国語よりは算数の方が得意な様子だが、苦手だった長文の読み取りにも文章題にもがんばって取り組んでいた様子がよく伝わってくる。母としては、点数うんぬんよりも、そんなふうに以前苦手だったことが克服されてきていることにとても嬉しく感じている。
四年生になってから、特にことばを理解する力や集中力が伸びてきたのが見えていたけれど、それがしっかり結果にも結びついてきているんだなぁ、とつくづく感じた。

けれども、その昇平も、普通授業での授業となると、集中するのがいきなり大変になる。先生の話がよく聞き取れなかったり、全体に向かって出される「教科書○ページの××を見て」というような指示がわかりにくかったり、というハンディキャップを抱えているからだ。2月2日の連絡帳にも書いてあるが、「解答欄がどこかわからない」(問題用紙と解答用紙が別になっているため)という部分でつまづきが起こることもある。去年までのように、問題文を読んでもらえば理解できるが、自力で読めと言われると、集中力が続かなくて読み取れなくなる、ということも時々起きる。
そして、これと同じような現象が、授業中だけでなく、学校生活のほとんど全体で起こってくるのだ。
だから、私たちは昇平を普通学級ではなく、情緒障害児学級に入学させた。この子が学校で必要とする支援を「確実に」手に入れるために。国語の学力テストでがんばれたのも、算数の学力テストで力を発揮できたのも、どちらもこれまで、ゆめがおか学級で昇平に合わせた学習指導を受けてきた成果だ。

ただ、誤解のないように書き添えておくが、その子がゆめがおかのような特別支援学級(障害児学級)に籍を置いて学習した方がよいか、通常級に籍を置いて、必要な教科だけ通級の形で個別指導を受けた方がよいか、通常級の中で担任の目配りと工夫による支援を受けた方がよいか、それは、その子ひとりひとりで違っている。
昇平は、生活全般にも様々な支援が必要な子だった。安定して毎日の学校生活を送るためにも、集中して学習に取り組める環境を得るためにも、特別支援学級を拠点にするのが一番適当だった、というだけのことだ。別の子には、また別のスタイルの特別支援が必要になってくるだろう。


ところで、算数の学力テストについて書かれた連絡帳の続きに、こんな先生のコメントが書かれていた。

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※帰るときになって、手袋が片方なくなっていることに気づき、「呪いだー」と落ち着かなくなってしまいました。「落とし物として届くかもしれない」と話して聞かせ、月曜日まで待ってみることにしました。

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「呪いだ!」というのは、何か物がなくなったり、見つからなくなったときに昇平が言う口癖。落ち着かなくなった、と言えば聞こえはよいが、実際にはかなり大騒ぎしたのに間違いない。彼が起こす小パニックのひとつだからだ。
でも、手袋は実際には家の机の前に落ちていた。朝、片方がコートのポケットから落ちたのに気づかないまま登校していったのだ。
その翌週には五年生のDくんが、やっぱり手袋がなくなった、と大騒ぎして、結局家に置き忘れていたのがわかって一件落着。学習の支援だけでなく、こんな日常生活の支援も、この子たちには絶対に必要になる。
子どものすべてのニーズを満足させるような環境には、なかなか恵まれないだろうけれど、ベストとまでは行かなくても、その時点で選べる最善の選択をしていけたらいいのだろう、と思っている。

[06/02/08(水) 09:44] 学校 発達障害

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