昇平てくてく日記2

小学校高学年編

クック・ザ・カレー〜学童によせて

Curry

間もなく3月も終わり。
昇平が1年半近く通い続けた学童も、年度末を迎えて、いよいよ別れの時期がやってきている。
この町の学童はどこも、利用できるのが基本的に小学3年生まで。昇平だけは祖母の病気・療養を理由に特例でもう一年延長で通わせてもらったけれど、祖母も最近ではずいぶん元気になったので、特例ももう適用にならなくなった。現在3年生の子どもたちと共に、昇平も学童を卒業することになった。
その他にも、様々な理由から年度末を機に学童を離れている子たちは多い。そのお別れパーティとして、月曜日に子どもたちと指導員とでカレーを作った。題して「クック・ザ・カレー」。
子どもたちは、誕生会でケーキのデコレーションなどはしてきたけれど、本格的に皆で料理をして食べるのは始めての経験。当日は朝から楽しそうに学童に集まってきていた。昇平も、もちろん大張り切りだった。どんなふうに皆でカレーを作ったのかな……と考えていたら、指導員の鴨原先生から写真と一緒に、昇平の様子を知らせるメールをいただくことができた。
以下は、そのメールからの抜粋。

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 買い物に出かけるとき昇平さんは心がうきうき、気の合った友だちとおしゃべりをしながら足取りも軽やかに(宙に浮いている)歩いていきました。はっと他の子に目を向けると、同じように地に足が着かないくらい嬉しくてそして楽しみで仕方がないくらいの様子。
 帰ってきてから包丁を使うことに興味津々の昇平さん。「早く」「いつまで待たせんの」の声。自分のグループの番になると張り切ってきっていました。その時の様子が添付した写真です。左手はしっかりとネコの手に。
 食べたのは1時ごろに。うまいうまいと会話しながら食べシーフードカレーを何度もおかわり。自分でよそうのでそれも楽しかったようです。自分達で買って、自分達で作ったカレーは子ども達にとって自分で作ったからおいしかったという経験だけではなく、達成感や自律を体験し成長の一つのステップになったように思えます。

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この学童で、昇平は本当に社会性を成長させてもらった。
学校帰りに毎日行く学童。その帰り道では、同じ方向に行く同級生とゲームやポケモンの話などをして、学童に到着してからは、気のあった友達と大好きなブロック遊びなどに熱中する。天気のよい日には園庭で外遊びしたり、河原まで散歩をしたり。
今年になってからは、たった一人の4年生として、最上級生扱いを受けることになり、それがまた、昇平を一回りも二回りも成長させた。
「俺は4年生なんだぞ」
「一番大きいんだぞ」。
やっていることを見れば、3年生たちよりも幼いことも多いのだけれど、大人ぶってそんなことを下級生に言っている昇平を見て、この学童に入れて本当に良かったな、とつくづく思った。自分だって、年下の子どもたちよりは上にいる。その経験は、優越感だけでなく、年長者としての責任感や自己肯定観というものも一緒に育ててくれたように感じている。

けれども、その学童もいよいよ卒業。
友達っていいな、友達と遊ぶのって楽しいな。その気持ちを昇平に育んでくれた学童の意義は大きかった。家族では絶対に教えてあげられないものだったから。
これから昇平は、学校と家庭だけで、なんとかそういう交流の場を見つけていかなくてはならない。我が家は地元を離れて越境通学しているので、なかなかお友だちと遊ぶ機会が作れないのが苦しいところ。なんとか道が拓けていくことを願っている。
そしてまた、1年半本当にお世話になった鴨原先生も、4月からは別の職場に旅立って行かれる。名残は尽きないけれど、きっと、行った先にもまた、先生を必要とするような子どもたちとの出会いが待っているのだろうと思う。
それぞれが旅立ちの時期の3月。
最後の最後まで精一杯楽しく遊んで、楽しい経験をいっぱい作ってほしいと願っている。それはきっと昇平の、一生の心の財産になるだろうから……。


[06/03/29(水) 11:06] 学校 日常 発達障害

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