昇平てくてく日記2

小学校高学年編

授業参観

 昨日は小学校の授業参観と懇談会だった。
 ゆめがおかの授業は1組と2組合同での体育。単元名は「楽しく運動しよう。」
 例年、この時期の授業参観は新入生の歓迎会や自分たちの進級祝いだったのだが、今回はちょっと趣向が変えてあった。これに関しては、また後述。

 PTA総会のために椅子が並べてある体育館の後ろ半分にスペースが作ってあって、そこで体育開始。人数が少ないゆめがおかだからできることだな。始めに準備運動をかねて、体をリラックスさせる動きや、寝た姿勢からぱっと立ち上がる動き。今の子どもたちは「体の力を抜く」ことがうまくないと言われているけれど、ちゃんとその内容も入っていた。ふむふむ、なるほど。
 続けて、テープに合わせてラジオ体操の練習。5月の運動会でラジオ体操をするので、そのための練習。子どもたちは各学年の体育でラジオ体操をやっているが、どうしても、個別の指導がないと、動きがあいまいなままになってしまうのだという。そこを一つ一つ確認しながら練習しているのだというだけあって、どの子もかなり上手にできていた。……昇平を除いては。(笑)
 昇平はラジオ体操がとても苦手だ。いや、ラジオ体操に限らず、体を動かすこと全般が苦手なのだけれど、改めて眺めていて、それがはっきりわかった。お手本の人を見て同じ動きを真似することができない。自分の体が思うように動かせない。自分ではしっかり体を曲げたり伸ばしたりしているつもりなのかもしれないけれど、実際には全然動いていないんだよねぇ。小さい頃からずっとそうだったけれど、今もやっぱりそうだったんだね。

 続いて、全員で手をつないでの簡単なフォークダンス(?)、音楽に乗ってのエアロビクス。子どもたち、楽しそうに動き続けている。笑顔ものぞく。
 それから、今度はNHK教育でやっている「みてハッスル・きいてハッスル」のビデオに合わせて、さまざまな「忍者の修行」。これは体を思い通りに動かせるようにしていくための感覚統合訓練。ビデオを見ながらだから、子どもたちの集中がすごくいい。バランス、柔軟、筋力トレーニングが、忍者の修行になっているから、子どもたちも大喜び。床に置いたなわとびの上を歩いて渡ったり、お母さんたちがクモの糸のように張り巡らした縄の間をくぐり抜けたり……。
 この中でも昇平はやっぱり動きがよくないけれど、しょっちゅう笑顔を浮かべていて、「もっとやろう」「次はなに?」という感じ。他の子たちも飽きることなく体を動かし続けている。縄の間をさわらずにくぐり抜けるのは難しいので、「もういっぺん!」などと言いながら、みんな何度も挑戦していた。

 最後は体育館の端から端までとび箱やマット、三角コーン、輪っかなどを並べて「サーキット運動」。最初に1組の原先生がお手本を見せてから、大きい順にサーキットに挑戦。コーンやマットをどうクリアしていくかは、それぞれの子に任されている。乗り越えていってもよし、飛んでもよし、前転してもよし、ただごろごろと横に転がっていってもよし……。
 ここでずば抜けた運動神経を披露してくれたのが、転校生で2年生のIくん。マットでは側転、輪っかのところではフラフープを回して見せてくれた。かっこいいねぇー。
 昇平はもちろん、そんな芸当はできないけれど、それでもニコニコしながら最初から最後までコースをクリアしていった。ゴールの輪っかをくぐったところでポーズ! 6年生のDくんも、5年生のL子ちゃんも3年生のEくんも、本当に楽しそう。時間の関係で1度しかできなかったけれど、時間が許せば、みんなもう一度サーキットに挑戦したそうだった。

 というわけで、動きの緩急は取り混ぜてあったものの、45分の授業時間中、ほとんどずっと体を動かし続けていた子どもたち。でも、楽しくて全然飽きなかったらしい。一つ内容をクリアする度に、がんばりカードにシールを貼っていて、それはそれで楽しそうだったけれど、がんばりカードなんてなくても、きっと子どもたちは夢中でやったんだろうな、と思った。それくらい楽しそうな授業だった。

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 PTA総会の後の学級懇談会は、ゆめがおか1組2組合同となった。今年、1組は1名、2組は5名。2組には通級のお子さんも来るので、両クラスの担任プラス補助の西尾先生の3名で、両方の子どもたちを見ていく体制になったのだ。
 今年E先生の代わりにいらした原先生は、実は6年前までこのゆめがおかで4年間担任をしてこられたベテラン。ゆめがおかの歴史もよくご存じだし、ずっと養護学級の担任をしてきたから、経験も豊富。一方のドウ子先生は去年1年間を通じてクラスの子どもたち全員をしっかり把握している上に、学校の普通学級の先生方との連携もすごくお上手。さらに、この学校に来る前には養護学校にもいらしたので、養護学級ともまた違った面での経験をもっている。さらに、補助の西尾先生はゆめがおかの子どもたちに1年半も関わってくださっている。決して出しゃばりすぎない、でも、必要なところにはすばやく手を差し伸べてくれる、細やかな配慮ができる先生。3人の先生方がそれぞれに持つ経験と人柄とがものすごくうまくかみ合っているのが、授業でも懇談会でも、ばんばんこちらに伝わってきて、何とも言えず嬉しかった。……今年のゆめがおかは、ちょっとすごいかもしれない。(笑)

 それぞれの保護者が話をする段になって、なぜか私に一番手が回ってきたので、まずは授業の感想を述べた。昇平は体の動かし方がどうしてもうまくないこと、それを補いたくても家庭ではできないこと(なにしろ、私自身が運動が極端に苦手)、だから授業にあんなふうに楽しく体育ができる内容を取り入れてもらえてとても嬉しいこと、これからもどんどんやってほしいこと……を伝えたところ、先生方が、ホッとした顔をしたので、あれ? と思った。
 あ、そうか……。ああいう内容の授業を見せると、「遊ぶようなことばかりしていて、全然授業になっていない」とクレームをつける保護者が出てくることがよくあるんだっけ。 幸い、うちのクラスにはそんな親は誰ひとりいなかったけれど、先生方が普段経験する「苦労」をちょっと垣間見た気がして、なるほどなぁ、と思ってしまった。
 子どもに必要なのは、いわゆる国語算数といった机に向かっての勉強だけじゃない。体を動かすこと、日常の過ごし方を学ぶこと、そして、それを楽しく経験していくことも、とても大事なこと。親である我々も、せめてそこだけはしっかり見極められるようでありたいな、と思った。
 原先生もおっしゃっていたが、子どもたちに「ちょうど」の内容であれば、子どもたちだって楽しく体を動かし続けることができる。それができるのが、ゆめがおかのような個別級のメリットなんだよね。

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 ちなみに、今年の「進級おめでとうパーティ」は、その日の午前中に全員でたこ焼きを作って食べたのだそうだ。「たこ焼きはキライだ」と言い続けていたIくんは、実際に自分たちでたこ焼きを焼いたら、ぱくぱく大喜びで食べたという。今年から仲間入りしたL子ちゃんは、張り切って上手にたこ焼きをひっくり返していたと言うし、昇平はタコを入れる役を大喜びでやって、実際に食べるより作る方に夢中になっていたという。
 「今日、学校では何が一番すごいことだった?」と夕食の時に昇平に聞いてみたら、案の定、答えは「授業参観」ではなく「たこ焼き作り!」だった。(笑)

 いろんな経験をいろいろ積んで、体もいっぱい動かして、お友だちとのつきあい方も覚えていって、もちろん国語や算数と言った勉強もしっかりやって……。うん、今年もみんな楽しくがんばっていけそうだね。
 そして、このクラスの雰囲気であれば、今は新しいお友だちに少々パニック気味の昇平も、じきに落ち着いてペースを取り戻してくるだろう、と確信することができた。ちょっと時間はかかっても、絶対に、必ず。
 今年もゆめがおかは良いクラスになっていきそうだ。
 ああ、ホッとした!(笑)

[06/04/18(火) 11:52] 学校 発達障害

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