昇平てくてく日記2

小学校高学年編

半分自力下校への挑戦・3

 下校ルートの途中まで、同じクラスの子どもたちと自力下校する試みがいよいよ始まることになった。以下はまた連絡帳から。

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5月9日(火)   記録者:母

 途中までの自力下校、いよいよスタートですね。なんだか私の方がドキドキします。(笑)
 家にテレホンカードがたくさんあったので、それを持たせます。ケースに母の携帯と家の電話番号を書いておきました。こちらでも教えますが、母の携帯に通じないときには、自宅に電話するようご指導をよろしくお願いします。これで大丈夫そうなら、ケースに穴を開けて紐を通す等、なくさない工夫をしたいと思います。テレカ使用が難しそうなときには十円玉を持たせますので、お知らせください。

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5月10日(水)   記録者:ドウ子

 昼休みに昨日のメンバー(昇平と一緒に下校する同級生)が児童会室に集まりました。岩幡先生から、「優しくて、イチ押しのメンバーだよ」といわれていましたが、とても表情のステキな子どもたちで、一目見て大丈夫だな、と思いました。
 去年、協力学級の4−3で一緒ではなかった子たちばかりなので、「昇平くんの様子をよく知らないけど」「暴言を吐くのを見たことがあるけど……」と言うので、「それ(暴言)は困ったときの最大限の”助けて”なんだよ」と言って、昇平くんにわかりやすく説明するとOKなことを話しました。すると、「うまく言えるかどうかわからないけど、わかるように話します」という、とても真剣なことばが返ってきました。
 電話の件も、昇平くんがかけ忘れないようにお願いしました。万が一、かけ忘れて途中まで行ってしまったら、どこの公衆電話でも良いことを言うと、一人が「じゃ、待ち合わせ場所の××の公衆電話で」と言い、「バカ、それじゃ昇平くんが(お母さんが到着するまで)待つことになるだろう」とつっこみ、その様子からも、いい子たちだなぁ、と思いました。
 今日は、私も下校に一緒について行きます。

※なお、木曜日はMくん、Eくんが習い事に直行するので、一緒に帰れませんので、木曜はお迎えでお願いします。(最終的には、一人で待ち合わせ場所まで帰るのと、どちらがいいでしょう!?)

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 さて、そうやっていよいよ半分自力下校に挑戦。初日は、一緒に帰る子どもたちに加えて、ドウ子先生も見守る中で、昇平は学校の公衆電話から母の携帯へ電話をかけた。これも初挑戦!
「もしもし、お母さん、ぼくこれから帰るからね!」
 と、『母の携帯がまだつながらないうちに』話し出して、ドウ子先生から「まだ早いでしょ!」と突っ込まれていたらしい。これは母の知らない場面でのこと。(笑)
 携帯が鳴って、母が出たときには、ちゃんと落ちついて、
「ぼく、これから帰るからね。お迎えお願いします」
と言うことができていた。――先生、お世話様です。(笑)
 その様子を見て、Mくんたちが、テレカを入れたケースをなくさないように、ランドセルのチャックつきポケットに入れておくといい、と言ってくれていたそうだ。ケースがポケットより少しサイズが大きかったので、ドウ子先生が
「それはちょっと無理だよ」
と言うと、
「ケースをハサミで少し切れば入るよ」
とさらに言ってくれていたとか。その話を後でドウ子先生から聞かされて、本当に優しいいい子たちだなぁ! と感激した母だった。

 実際に待ち合わせ場所まで歩いてきたのは、昇平他、4人の男の子たちだった。実際にそこまで歩いてくるのは5−2ではMくん一人だけなのだが、近所の3人がちょっぴりルート変更して、一緒に歩いてきてくれていたのだ。これは、ドウ子先生や岩幡先生が頼んだわけでもなんでもなく、子どもたちが自主的にやってくれたことだった。5年生ともなると本当に大人になってくるなぁ! と母はまた感心。

 一緒に歩いてきたドウ子先生の話によると、子どもたちはずーっと緊張していて、「おい、なんか話せよ」「おまえこそ、なんか言えよ」と言い合いながら、昇平をどう扱ったら良いかわからなくて、とまどいながら歩いていたらしい。昇平自身も、初めての自力下校で緊張していて、いつもの冗談も出てこなくて、真剣な顔で黙々と歩くばかり。
 中には、一人大きく遅れる子も出てきて、「どうしてそんなに離れるんだよ?」と友達から突っ込まれると、「ぼくは昇平くんを後ろから見守ってるんだ」と答えたとか。そこで、他の子たちも、昇平をぐるりと取り囲むようにして歩く形になり、「ぼくたちは、昇平くんをお守りする隊員だぞ」。ドウ子先生が「じゃあ、昇平くんは何の役なの?」と尋ねると、「昇平くんは、おぼっちゃまだよ」という答えが返ってきたとか。うーん、まさしくそんな雰囲気だったわ!(爆)

 無事、待ち合わせ場所で母に昇平を引き渡して、ホッとした顔をした子どもたち。緊張しているのがありありとわかったけれど、だんだん昇平もみんなも下校になれて、自然に話したり関わったりしていけるようになるといいな……と思いながら、子どもたちを見送った。
(つづく)

[06/06/14(水) 10:46] 学校 発達障害

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