昇平てくてく日記2

小学校高学年編

夏休みの日記・1

7月20日(木)

 今日は終業式。1学期が終わり、明日から夏休みが始まる。
 登校班での集団下校だったが、昇平は登校班に所属していないので、久しぶりに教室まで迎えに行って一緒に帰った。途中、スーパーに買い物に回ったら、昇平がレジのパートさん相手になにかうるさく話しかけている。パートさんは、とまどったような困り顔。「何を騒いでるの!?」と言うと、「ぼく、お手伝いしたいんです」と昇平。どうやら、仕事を手伝わせてくれ、と頼んでいたらしい。あう〜。
 「お手伝いしたかったらね、もっと大きくなってから、ちゃんと就職試験を受けて、採用されてから働いてくださいな」と言うと、あ、そうか、というような表情になる昇平。その反応に、おや、と思いつつ、先に車に戻らせて、パートさんには謝っておいた。顔なじみの人だったし、店の混んでいる時間帯でもなかったので、そちらはそれで済んだ。
 車に戻ると、昇平が聞いてきた。「ぼく、何かお手伝いしたいんだけど、どうすればいいの?」
 ははん、なるほど。やっぱり「手伝っていい場所と良くない場所がある」ってのが、まだよくわかっていなかったんだ。
 そこで、店で手伝いをしたいときには、就職試験を受ける必要があること、職場にはそれぞれ働く人の管轄があり、やり方や責任があるから、勝手には手伝えないこと、一般に子どもは外では手伝ったり働いたりできないこと、アルバイトするにしても高校生にならなければできないこと、昇平に手伝えるのは家の中の仕事で、親や祖父母からOKをもらったことだけであること……を話して聞かせた。ふーん、そうなのかぁ、という反応の昇平だった。
 本当にねぇ、これくらいわかっているだろう、と思えるようなことが、案外わかっていなかったりするんだよね。それを発見するたびに、わかりやすくフォローしていくしかないんだよねぇ。(苦笑)
 帰宅して夏休みの生活表を見たら、夏休みの目標に「手伝いをたくさんする」というのが書いてあった。なるほど、これか。(笑) まあ、家の中の仕事でできそうなことを、たくさん手伝ってもらいましょうか。
 わかっているようでわかっていないようで、だけど、なんとなく、今までと違うものを感じさせる昇平。 もしかしたら、この夏休みはおもしろい姿が観察できるかもしれない。

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追記1:
 チャレ○ジ8月号が届いた。付録は顕微鏡。
 兄ちゃんも5年生の時から中学卒業まで「チャ○ンジ」をやっていたから、この時期に同じ付録が来たけれど、見ていると、昇平の方がよほど使いこなしている。説明書を見ながら操作して、家の中から次々に拡大したいものを見つけ、それを母にも見せてくれる。
 兄ちゃんはまず、説明書を見てもやり方がわからなかった。(取説音痴。これは今でも変わらない) ちょっとでもうまく行かないと、すぐ混乱してプチパニックを起こしたし、片っ端からいろいろ調べてやろう、みたいな好奇心もそれほど強くなかったし。まあ、兄ちゃんも、健常児と言いながら、けっこう育てにくい子だったからね……。(笑)
 同じ年頃のときの兄ちゃんと昇平を比べてみると、絶対に兄ちゃんのほうが上で昇平の方が下、とは言い切れない。兄ちゃんのほうが優れている部分もあれば、昇平の方が兄ちゃんを上回っている部分もあるし。同じ親から生まれてきているのに、それぞれ別の場所に一長一短があって、本当におもしろいなぁ、と思う。

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追記2:
 結局、昇平は夕食の準備をたくさん手伝った。
 ロールキャベツの具をかき混ぜ、さっと茹でたキャベツの葉でせっせと包んで鍋に並べた。まあ、母がちょいちょいと修正しながらの作業だったが。
 コンソメで1時間じっくり煮込んで完成したロールキャベツを一口食べて、「うまい!!」と昇平。自分が作った料理は、ひときわ美味しかったんだろうね。
 この夏休みは、昇平に料理をしっかり仕込むことにしようかな?(笑)

[06/07/21(金) 08:36] 日常 発達障害

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