昇平てくてく日記2

小学校高学年編

夏休みの日記・17

8月20日(日)   晴れ

 午前中も自閉スペクトラム学会に参加して、夕飯の支度に間に合うように帰宅。留守中は、特にトラブルもなく旦那たちと留守番していたという話。
 午前中にはCくんのお母さんに誘われて、Cくんたちと一緒に市営プールに行ってきたそうで、とても楽しかったらしい。親がついて行かなくても、友だちの家族と一緒に出かけられるようになったんだから、これも進歩だな。
 この分なら、来年は二日間丸々学会に参加しても大丈夫かもしれない、と思った。

【今日のお手伝い】
布団敷き

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8月21日(月)   晴れたり曇ったり

 「ぼく、一人で生きられるよ」と昇平が突然言いだした。どうやら以前私とやりとりした話を唐突に思い出したらしい。(一種のフラッシュバック? 笑) 「大きくなったら一人暮らしする、ってこと?」と確認すると、そうだと言う。
 うちの二人の子どもたちは、どちらも不安がとても強いタイプ。将来、親に先に死なれて後に残される、というのをとても不安がることが多かったものだから、「今は子どもだから、お父さんやお母さんたちと一緒でないと生きられないけど、その頃にはもう大人になってるから、ちゃんと自分で暮らせるようになっているんだよ」「一人でも生きられるようになっているから、大丈夫なんだよ」と、子どもたちが小さい頃から、折にふれては言い聞かせてきた。
 その成果あってか、この夏とうとう兄ちゃんが、「俺、県外の大学に行きたい。この家を出たいんだ」と言い出した。どうぞどうぞ、行ってください。ただし、首都圏は下宿代があまりにも高くて我々には出してやれないし、私立大学もお金がかかって大変なので、できれば近隣の県の国公立を目ざしてくださいな……と答えた。(笑)
 昇平は、そのやりとりの時そばにはいなかったはずだけれど、やっぱり、彼なりに漠然と将来をイメージしたんだろうか。未来像にちゃんと「自立する」ことを入れていたところが嬉しかった。
 ただ、それでもやっぱり不安はつきまとうらしい。「一人で生きられるよ」と言った後で、小さな声で「大丈夫、一人でも生きられる?」と聞き返してきた。「もちろん、大丈夫だよ!」と答えてやった。かつて兄ちゃんに言ってあげたように。

 親はたいてい子より先に死んでいく。私は「この子より一日でも長く生きていたい」とは思わない。それよりは、この子が自分の見つけたサポーターたちと力強くこの世を生きていく姿を見ながら、笑顔でこの世を去っていきたいと思う。その気持ちは、兄ちゃんに対しても昇平に対しても、まったく同じ。
 
【今日のお手伝い】
布団敷き

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8月22日(火)   晴れ

 昇平のリクエストで、また川の堤防までサイクリングへ。自転車の乗り方は、まだ時々ふらつくけれど、転ぶようなこともなく、じょうずにバランスを取りながら走るようになった。変速ギアの使い方もマスターして、最速で母を追い抜いて得意そうな顔をしている。くくく……母のママチャリに変速ギアはない。悔しい。
 自販機で買った飲み物を飲みながら、堤防から川を眺める。大きな中州が見える。中州に舞い下りるシラサギも。手前の小さな川に、大量のアメンボウがいて、昇平とびっくりして眺めてしまった。本当に、何万匹といる。ふと「この世界中にはどのくらいの命がいるんだろうねぇ」と昇平に言ってしまった。
 すると、昇平、ちょっと考えてから、「植物も?」と言った。
「うーん。植物まで含めると膨大になりすぎるから、動物とか虫とか、そう言うのだけ数えたら、どのくらいの命があるんだろうね?」
「何百万かな?」
「いや、それよりはもっとあるよ。地球上の人間だけ数えたって、何十億もいるんだから」
「何十億?」
「そう。50億人くらいかな」←当てずっぽう
「――人間って、それしかいないの?」
 わかっているのか、いないのか。それでも、なんとなく会話が様になっていて、おもしろかった。
 連日のサイクリングは疲れるけれど、その間に、ずいぶんいろんなことを昇平と話しているような気がするなぁ。でも、そんな夏休みも、もうすぐ終わりだ。母の体力が尽きる前に二学期が始まってくれるのがありがたい。

【今日のお手伝い】
布団敷き
 

[06/08/23(水) 20:31] 日常 発達障害

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