昇平てくてく日記2
小学校高学年編
クラスメートとの関わり
四月当初、転入してきた二年生のIくんと毎日のようにトラブルを起こしていた昇平だけど、いつの間にか、お互いに良いところを認め合って、今ではすっかり良いクラスメート同士。そんな彼らの近況が連絡帳に書かれてきたので、そのまま転載してみる。
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9月28日(木) 記録者:ドウ子
今ではすっかり仲良くなったIくんと昇平君ですが、二人の関わりでおもしろいことが二つありました。
ひとつは、業間の休み時間に二人で校庭でブランコをしていて、Iくんが、怪我はしませんが手足が汚れるほどころびました。でも、昇平くんは以前と同じく、Iくんを置いて帰ってきて、教師に教えることもしませんでした。Iくんは、転んだうえに置いていかれてすっかりしょげてしまいました。
昇平くんは私に注意されて「ごめんね」といい、「ぼくはもうだめだ」と自分で自分の首を絞めるまね……。Iくんに「そういうところもいやなんだ」と言われてしまい、「Iくん、Iくん!!」とひたすら機嫌とり。いつも上手な絵を描いてIくんから一目置かれていたのに、立場が上下逆転していました。
もうひとつは給食。今日はパンだったので、白米の時ほどではないのですが、やっぱり口にパンを詰め込む昇平くん。(注:昇平はすぐにご飯をめいっぱい口に詰め込んでしまう癖があり、それを指導されているところ) 「もう入れないの」といわれているそばから、手にしたパンを詰め、ほっぺはパンパンで口からパンが出ていて見ているほうが苦しくなるほどで。
すると、隣でIくんが同じことをしていて「昇平くんのまね」と言いました。昇平くんに「ほら、小さい人は、絵もまねするけど、食べ方もまねするんだよ」と言うと、「Iくん、ごめんね」「もうしないよ」と反省。教師が言うより、よっぽど心に響くようです。
ところがこの二人にはまだおまけがありました。
今度は昼休みのこと。また二人で校庭にいって、戻ってくると、昇平くんが「僕ね、Iくんが転ばないか心配だから、登り棒の下で見ていたんだよ」と報告。ちょっと得意そうでした。
すると、それを聞いていたIくんが「うそだー、ぼくがもう一度ころんだのに置いていった〜」と。昇平くんも突然言われて「どうして、Iくん!?」とびっくり。
もう一度ということはあり得ないだろう、と状況が見えたので、私とIくんで話し合うと、Iくんがポロポロと涙を流し、「ごめんなさい」。そして、昇平くんに謝りに行きました。昇平くんも「いいんだよ。僕のほうこそごめんね(業間のことか?)」 というわけで、また仲直り。
こんなふうにして、相手の嫌がること、相手の喜ぶこと、をひとつひとつ学んでいくのだろうな、と思いました。
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誰かと仲良くなっていく、友だちになっていく、というのは、実は平坦な道じゃないんだよなぁ、とつくづく思う。大小の嬉しいこと、楽しいことと、それに負けないくらいいろいろな大小のトラブルを経験していく中で、「それでも、その人が好きだから」仲良くしたい、楽しく一緒に過ごしたい、と考えるようになって、お互いに反省や努力をして、そして本当の友達になっていくんだろうと思う。
同年代の子どもたちと比べると、人との関わり方がどうしても未熟な彼らだけれど、それでも、担任たちの助けを借りながら、一歩一歩着実に、関わり方を学び続けている。なんだか、すごく素敵だなぁ、と連絡帳を読みながらつくづく思った。
[06/10/10(火) 08:20] 学校 発達障害