昇平てくてく日記2
小学校高学年編
連携して解決を目ざす・2
学校で、思い通りにならないことがあると「殺すぞ!」と言うことがまた頻発してきたので、これは専門家に相談するしかない、とかかりつけの病院にカウンセリングを申し込み、木曜日の午前中に行ってきた。
カウンセラーは先日、昇平のWISC−III発達検査もしていただいた、臨床心理士のW先生。実は、この時の検査結果の話が昇平の状態像や学校での現状を非常に良く言い当てていたので、この先生ならばきっと的確なアドバイスをしてくださるだろう――という読みがあった、というのは内緒の話。(って、ここに書いたら内緒じゃないでしょ!)
相談の時間は30分程度。時間に余裕があるわけではないから、今、学校で何が起きていて、どんなふうに困っているかを単刀直入に話した。具体的なエピソードで伝えるようにしたのだけれど、2つ3つ状況を語っただけで、先生には問題点が見えたらしい。いろいろとアドバイスをいただくことができた。
以下はその後、家に帰ってから担任にあてて書いた連絡帳から。
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10月12日(木) 記録者:母
さて、M病院でのカウンセリングですが、先日検査をしていただいたW先生に相談にのっていただきました。検査の結果もふまえながらだったので、かなり的確なアドバイスがもらえたように感じました。
以下に、アドバイスや先生の話の内容を箇条書きにしてみます。
○すぐに「殺すぞ!」と言ってしまうのは、昇平くんがそれ以外に高まった自分の気持ちを表現する手段を持っていないから。
○自分の中の怒りや欲求不満の気持ちを絶対に口に出すな、と言うのは、人に「笑うな」「泣くな」「何も話すな」と言うのと同じくらい、昇平くんにとってはつらいこと。
○だから、適切な言葉で気持ちをまず受け止めてあげなくてはならない。例)「イライラしていたんだね」等・・・。
○その一方で、昇平くん自身が、自分の感情をコントロールすることを学ばなくてはならない。先日の検査の際にも、既存のルールに従って行うことが難しく、感情のコントロールが課題なのがわかった。
○感情をコントロールするためには、まず自分の感情がどんな状態なのかを自分で知る必要があるが、昇平くんの場合、この感情の認識自体がまだ未熟で、自分が今どんな気持ちなのか、よく分かっていないところがあると思われる。(怒りのようなネガティブな感情において、特に)
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○イライラする気持ちや不快な気持ちにも、本当は段階(レベル)があって、“ちょっとイライラする” とか “かなりむかつく” とか “殺したいくらい腹が立つ” とかがあるのに、それが分からないので、ちょっとした場面でもいきなりMAXの表現である「ぶっ殺す!」ということばが出てきてしまうと思われる。
○昇平くんに、感情の状態を自分で確かめさせていく必要がある。視覚支援が有効なタイプで、なおかつ、ことばのやりとりでも理解できるだけの力はあるので、“感情の温度計” のようなものを作って、それを見せて、やりとりしながら、本人に自分が今、どんな気持ちでいるかを理解させると良いのではないか。
○感情の自覚ができた上で、怒りを我慢したり、適切なことばでその感情を表現できたときに、すかさずそれを誉める。 例)「イライラしていたのに我慢できたんだね。えらかったね」
……以上、時間はかかっても、こういうステップで改善を目指す必要があるだろう、ということでした。
“感情の温度計”ですが、よく教室で使われる「声のものさし」(注:声の大きさを視覚的に自覚させるためのチャート)の、感情版のようなものらしいです。ドウ子先生が実際にお作りになった際には、ぜひ私にもお知らせください。家庭でも必要な場面になるたびに使ってみたいと思っています。よろしくお願いします。
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私は心理士でも教師でもないから、実際には理屈はよくは分かっていないのだけれど、昇平が生まれてからずっと母親をやっているだけに、その方法が昇平に合うか合わないかは直感的に分かる。
W先生のアドバイスは、きっと昇平に有効だろう、と話を聞きながらピンときた。それに、ドウ子先生のことだもの、方向性が見えれば、持ち前のフットワークの軽さとバイタリティで、きっとすばらしい指導を始めるに違いない。
『ドウ子先生が何を始めるか、期待しながら待とう。』
連絡帳を書きながら、私はそんなふうに考えていた。
以下は次回に続く……。
[06/10/19(木) 09:47] 学校 日常 療育・知識 発達障害