連携して解決を目ざす・1
「クラスメートとの関わり」シリーズで報告しているように、クラスの2年生のIくんとは、とてもよい雰囲気になっている昇平だが、学校の他のお友だちとはトラブルが……。今回は、こんなふうに始まった。
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10月11日(水) 記録者:ドウ子
昨日は良い関わりを生んだブランコだったのですが、今日は2年生の男女7〜8人とのトラブルの元になっていました。
業間(の休み時間)が終わってしばらくしてから、2年生の担任のT先生が子どもたちと夢丘2に来て、「昇平くんが『ブランコを貸して』と頼んだのに、その子たちが貸してやらなかったため、昇平くんが『皆殺しにしてやる』『ぶっ殺す』と言った」と話してくれました。
T先生は、2年生が貸さなかったのが悪かった、ということでみんなを謝りに連れてきてくれたのでした。もともとは2年生たちが「昇平くんに殺すって言われた!!」と担任に訴えたのですが、その理由を聞かれ、自分たちが悪かったから(昇平くんに)言われたんだ、ということで、逆に謝りに連れてこられた、というわけです。その場ではひとりひとりが昇平くんに謝って終わりましたが、その後、何があっても「殺す」という言葉は言ってはいけないことを、昇平くんと話しました。
今はまだ、周りの先生方が今日のように事情を調べてくれますが、何年かたって、社会生活の中で同じことをしたら、警察に通報されてしまいます。先日、赤ちゃんを連れた方が教室の見学にいらしたとき、昇平くんのものを取っていった赤ちゃんに「殺すぞ!!」とすごんだので、絶対に言ってはいけない言葉として指導したのですが、一週間とたたないうちにまた同じことが起きてしまいました。
先のことを考えると、今から、どんな場面でも「殺す」と言ってはいけないことを、強く頭に入れてほしいのですが……。
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昇平のこの「殺すぞ」は本当にトラブルの元になっている。
今までにも何度も指導を繰り返し、殺す、殺されるということばを使うことがどんなに危険なことかを教えてきた。
「死後は無の世界?」の時のように、死後の世界に泣くほど恐怖を感じる経験もした。そうすると、その後しばらくは「殺す」も「殺してください(死ぬしかない)」もなりを潜めるのだけれど、また少しずつ復活してきて、いつの間にか興奮するとすぐにまた口から出るようになってしまうのだ。
このままで良いはずがないのは、こちらだって重々承知している。けれども、家庭の中では、めったにそういう場面が起こらないし、口に出ても、こちらが「あれっ?」と聞き返すと、すぐに「ごめんなさい!」と言って、「殺すぞ」「殺してください」は言わなくなる。トラブルの元になるほど言ってしまうのは、どうしても、他者との関わりの中で自分の思い通りにならない場面が多い学校に集中しているのだ。
これはもう、家庭の中での取り組みや、親の意見うんぬんでどうにかできることではない。でも、ドウ子先生たちが学校で心配し、指導しあぐねているのは確かだし、本当に、このまま放っておいて良い問題でもない。
協力学級での暴言が続いていたときに主治医に相談したように(→
「効果が出てきた」)、これは専門機関で相談すべきことだと思った。今回の件は学校での具体的な場面での内容だから、こういうことは臨床心理士の出番のはず。そう判断して、病院のカウンセリングに予約を入れた。昇平のいない場面でじっくり話をしたかったので、相談時間はわざと午前中にしてもらった。
さて、カウンセリングでどんなアドバイスをされたか。
以下は次回に続く……。
[06/10/18(水) 08:24] 学校 日常 療育・知識 発達障害