昇平てくてく日記2
小学校高学年編
連携して解決を目ざす・5
さて、ドウ子先生に楽しい「怒りのバロメーター」を作ってもらった翌週、連絡帳にこんな報告が書かれてきた。
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10月16日(月) 記録者:ドウ子
今日、社会のプリントを二枚と少し出して、「終わったら絵を描いていいよ」と言うと、思いの外、時間がかかり、残り時間がなくなりました。
すると、昇平くんは「怒りのバロメーター」を自分で連絡帳ケースから出してきて、「今、このくらいだぁ」と80%あたりをさしました。時間もなかったので、「(プリントの)最後の方はやらなくていいよ」と言うと、怪獣の炎も50%くらいに……。私に、「絵が描けないからって、このくらいのことでいちいち怒っていたら、しょっちゅう怒ってるようになるよ」と言われ、また少し減らして……。
ということで、最後にプリントが終わると0%にして、「マイナス20%くらい、すっきりしたー」と言いました。
いつもなら、「いつまでやるの? 永遠に?」と言ってしまう場面なので、(バロメーターの)炎を動かすことで冷静になることができたり、イライラした気持ちが笑いに変わったりして、良かったと思います。
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やはり、昇平には目に見える形での支援はとても有効だった。
怒りの度合いを自分で自覚したり、それを減らしていかなくちゃいけない、という見通しを立てるのに役立てたり――炎の大きさを動かして変えること自体も、気持ちを切り替える良いきっかけになっていたのだろうと思う。
自分の怒りを炎で表現でき、それを先生が一緒に見て確かめてくれている(=理解してくれている)というのも、気持ちが通じた安心感を生んで、先生の話に耳を傾ける余裕につながったような気がする。
もちろん、そんなふうにバロメーターで気持ちを表現したことや、怒りを感じながらもプリントをやり通したことも、先生方からしっかり誉めてもらっている。
家庭でも学校でも、さっそく役に立った「怒りのバロメーター」。
これがやがて、実際の昇平の行動にも、微妙な変化をもたらし始めた。
以下は次回に続く……。
[06/10/23(月) 05:31] 学校 日常 療育・知識 発達障害