昇平てくてく日記2
小学校高学年編
クッキーと素直な優しさ
明日は公立小中学校の終業式。明後日から昇平たちは冬休みになる。
終業式を前に、昇平たちは今日、お楽しみクッキー作りをしたらしい。お土産に自分が作ったクッキーを持って帰ってきたのだけれど、それと一緒に、連絡帳にこんないきさつが書かれてきた。
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12月21日(木) 記録者:ドウ子
さて、今日はゆめがおかはお楽しみクッキー作りの予定でした。でも、(クッキー作りを予定していた)2校時目には5−2の理科が入っていたので、どうしようかな、と昨日の放課後考えていたら、担任の岩幡先生からこんな話がありました。
「明日の理科はもう二学期の内容が終了したので、5−2としては別の教科をやりたいのだけれど、昇平くんが理科だと思っているから(変更が苦手だろうから……)理科の復習プリントをやろうと思うけど……。」
私は、「えっ、だったら、ゆめがおかでクッキー作りをするから無理に理科にしなくていいよ」と思わず返事をしましたが、その後、岩幡先生が昇平くんのことをとても大切に考えてくださっていることに、本当にありがたいなぁ、と感謝の気持ちでいっぱいになりました。
岩幡先生は、「じゃ、いつもの通り、朝、予定表は持ってこさせて。私からも説明するから」と言ってくれました。これがその今日の予定表です。
(注:実際の予定表が連絡帳に貼ってあった。メモ用紙大の印刷用紙に、1校時〜6校時の協力学級での授業が書き込めるようになっていて、『○○先生 今日の予定を教えてください』と、その日の実際の授業の予定が確認できるようになっているもの。 2校時目には「理科」と書いてあって、その後ろに「→昇平くん・・・ゆめがおかでクッキー作り、5の2のみんな――お勉強」とドウ子先生の文字で書き込んであり、さらにそこに赤ペンで岩幡先生がコメントを書き込んでくださっていた。クッキー作りと言うところを赤丸で囲んで「おいしいクッキーを作ってね。」そして、下の空欄には、「2学期、昇平くんはたいへんよくがんばりました。あいさつが上手になりました。」と書き添えてあった。)
2校時目には予定通りクッキー作りをしました。ひとりひとり、生地は別々にして作りました。昇平くんは岩幡先生にも、「メリークリスマス」のメッセージカードをつけてプレゼントしました。残りは自分の分なのですが、家族のみんなにも一人一人に渡したい、と言いだし、小袋に入れました。一生懸命作っていたので、ほめてあげてください。
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どの子も家族にクッキーをお土産にしたのかと思ったら、どうやら、昇平が自主的に言い出したものだったらしい。小袋に入ったクッキーは家族全員の分6つあって、自分の分だけはチョコペンでデコレーションして区別してあったが、どれも同じ個数入っていた。
家に帰ると、さっそく2つとりだして、茶の間のおじーちゃん、おばーちゃんにプレゼントしていた。(おじーちゃんは、その時は不在だった。) おばーちゃんは大感激して、「なんだか食べるのが惜しくて」と、そんなに個数もなかったのに、夕方になっても、まだ半分くらい大事に残していた。おじーちゃんも、夕飯の時に、「昇平くん、ごちそうさまでした」と言ってくれていた。もちろん、私もありがたくいただいた。昇平が一生懸命作ったというクッキーは、とても甘くて優しい味だった。
2学期を振り返ればいろいろなことがあって、決して順調なこと、嬉しいこと喜ばしいことばかりでもなかったのだけれど、それでも、昇平は素直に優しく育ってきているなぁ、とつくづく感じてしまった。親バカと言われるかもしれないけれど、この素直さ、この優しさはとても貴重なもののような気がしている。
そして、それがどこから来ているのかと思えば、やっぱり、昇平を取り囲む人たちの優しさのおかげじゃないかな、と感じている。みんなが昇平を大切に思ってくれるから、だから、昇平もその中でまっすぐに育ってきているんじゃないだろうか……。
もちろん、本当に、順調なことばかりではないのだけれど。
それでも、この素直な気持ち、人を信じて思いやれる気持ちは、これから大人になっていく中でも失わせたくはないな、と――。
親として、そんなことをしみじみと考えている。
[06/12/21(木) 20:16] 学校 日常 発達障害