昇平てくてく日記3
中学校編
テストの点数が上がる
念のため、最初にお断りしておきますが、私はテストの点数や成績をなによりも大事に思うタイプの親ではないです。成績で上位にいることや名門と言われる学校に入ることが、その子にとって最高の幸せだとも考えてはいません。
長い目で人生を見たときには、学校の成績の善し悪しより、周囲と自分を折り合わせながら、その中で自分にできることをする力を身につけることのほうが、はるかに大切だと思っています。
ただ、学習の成績、特にテストの結果というものは、その子がいる学校や学習環境の良いバロメーターになります。今年度、中学校は昇平に合わせた環境作りに力を入れてくれています。その成果をお見せするために、あえて今回の昇平のテストの点数を公開したいと思います。
【テストの結果】
教科:1年学年末テストの結果→2年中間テストの結果
国語:26点→48点(+22点)
社会:33点→48点(+15点)
数学:31点→57点(+26点)
理科:51点→61点(+10点)
英語:38点→42点(+4点)
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五教科合計:169点→256点(+77点)
五教科平均:33.8点→51.2点(+17.4点)
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家庭でのテスト勉強の時間は、前回期末と今回中間で、まったく同じです。毎日1時間ずつ。週末など学校が休みの日には、午前と午後に1時間ずつ、合計2時間。
家庭学習に使っている教材も同じ。小学校からずっと続けているチャレンジと、中学校に入ってから使い始めたテスト勉強用五教科DS用学習ソフト。どちらもベネッセのものです。
毎日の家庭学習はすっかり習慣になっているので、本人もやるものと思っていて、文句を言うことはほとんどありません。(たまにはありますが)
自主学習以外に、週1度家庭教師に来てもらって数学を教わっています。時間は1回1時間。これも昨年度も今年度も同じです。
この春からベテランの先生に変わり、本人のモチベーションを上手に上げながら学習に取り組ませてくださっています。その効果もあって、数学は最高の伸び率でしたが(+26点)、数学以外の教科も軒並み上がっているのですから、この上がり方が家庭教師の力だけでないことは、おわかりいただけると思います。
私自身も、その気になれば中学生の内容程度は教えられます。特に、中学英語ならばけっこう教えられます。実際に他のお子さんの家庭教師や塾講師をしたこともあります。
でも、「さあ、じゃあ英語の勉強をするよ。テキスト開いて、今日はこの単元――」とは、やりたくないのです。教え教えられているはずが、いつの間にか親子喧嘩になってしまうからです。子どもに関する何もかもを親がやってしまうのはまずい、とそのたびに感じます。
昇平がわからなくて聞いてきた時には教えます。ちょっとつまづいているような時にはヒントを出すこともあります。でも、積極的に教えることはしません。それは、先生や講師のするべき仕事で、母親がする仕事ではないと思っています。
まあ、五教科の中で、英語が一番点数も伸び率も低かったのを見れば、納得していただけるとは思いますが……。(苦笑)
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家庭における学習環境は、去年とまったく同じ。本人の努力も同じ。
では、何故こんなに点数が伸びたか。
学校が、昇平にとって安心して学習できる場所になってきたからなのですね。
今年度になって、担任が常に特別支援学級にいるようになりました。日常生活のちょっとしたトラブルや困り感に、担任が寄り添って対応してくれます。
学年のクラス担任全員がチームを組んで、特別支援教室の彼らを見守り、指導してくださっています。協力学級や学年の中でのトラブルが激減しました。
もちろん、まだトラブルは起きます。パニックになったり、興奮を抑えられなかったり。今回の中間テストの時にも、頑張ろうと意気込みすぎるあまり、ちょっとしたことから誤解をして友だちに怪我をさせてしまいました。救急絆創膏を貼る程度の怪我だったのが幸いでしたが、まだまだ危なっかしさは続いています。
それでも、パニックや爆発の回数は減っています。本人も自分を抑えようとする努力をしています。学校もそれを支えてくれます。
担任が学校をお休みする際には、学年主任のH先生が教室に入ってくださいます。最近、担任が忌引きをされましたが、昇平は落ち着いた学校生活を送っていました。
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教師によって、教え方の違いや指導力の差というのはあると思います。指導力があっても、その子どもに教え方が合わない、ということも現実にあります。
ただ、それよりもっと土台となる部分に、「安心して過ごせる学校生活」というものがあると思います。
生活や活動の見通し、困ったときに自分で解決できなければ助けてもらえるという安心感、他の子たちと同じように自分もできるんだという自信……。
昇平は今、学校生活を通じて、そういうものを実感しているのだろうと思います。それが、テストの全教科で点数アップという結果に表れたのだろうと。
三月の終わり、離任式の日に家族旅行が重なってしまったので、旅行に行く前に学校に立ち寄って、離任する先生方にご挨拶をしました。
担任だった岩沢先生だけでなく、協力学級担任のE先生も転出されました。社会科の授業が抜群に上手だった先生です。
昇平がE先生に言った別れのことばが忘れられません。
「先生、ごめんね。俺、本当はもっと社会がわかるようになりたかったんだ。だけど、できなかったんだよ」
本当にE先生の社会の授業はお上手でした。昇平も決して社会科は嫌いではなかったし、家庭学習でもきちんと社会科に取り組んでいました。それでも、テストの成績は上がらなかった――。
自分でもつらかったのだろうと思います。どうしてできないんだろう。頑張っているのに、どうしてそれが結果にならないんだろう、と。
あの当時の学校での混乱ぶりを考えれば、それも無理のないことだった、と親としては思うのですが。
学校において、大事なことはいろいろあると思います。
それらは、どれもおろそかにできないことばかりです。
でも、思います。
子どもが安心して通える学校。落ち着いて過ごせる学校。それをまず整えることが、何よりも大事じゃないか、と。
すべては、その上に積み上がっていくのだろう、と。
頑張りが目に見える形の結果になって、昇平はまた少し自信をつけたようです。良い表情をしていることが増えました。
この表情がいつまでも続くことを、親として心から願っています。
[09/05/31(日) 15:38] 学校