昇平てくてく日記3
中学校編
がんばる子どもたち〜託児室で〜
先日、親の会の学習会で、お母さんたちが勉強している間の託児ボランティアに入りました。
小学生の男の子、女の子6人ほどを、もう一人の役員のお母さんと見ていたのですが、遊びのネタにプラバルーン(接着剤のような「風船の素」を短いストローの先につけてふくらませて作る、割れないシャボン玉のようなもの)を持っていったところ、子どもたちが面白い発見をしました。
ふわふわと飛んでいったプラバルーンがホワイトボードにぶつかって貼り付き、それをはがした拍子に、ホワイトボードに描いてあった絵がバルーンの表面に写ったのです。
「あっ、これ印刷みたいだ!」
と小学5年生のTくんがすかさず気がついて、そこからバルーンをふくらませてはホワイトボードの絵を写し取る、プリント遊びが始まりました。
私も子どもたちに絵をリクエストされました。
「ねえ、カタツムリ描いて」
「いいよ」
「ねえ、ドラえもん描いて」
「え……ドラえもんってどう描くんだっけ? しばらく描いてないから忘れちゃったな。え〜と、こうだっけ?」
「違うよ。鼻は赤いんだよ」
「鼻の下に縦棒があるの」
わいわいがやがや。
風船を長い時間絵に貼り付けて、そっとはがすと、ホワイトボードの絵を完璧に転写できてボードの絵が消える、と気がついたのは4年生のR君。
みんなADHDの診断を受けている子どもたちだけれど、それだけに着目点が良くて発想が豊かです。本当に素敵なものを持って生まれてきた子どもたちだなぁ、と感心しました。
やがて男の子たちは狭い託児室での遊びに飽きて、別のオープンスペースの遊び場へ移動。もう一人の役員のお母さんがそちらへついていって、私はたった一人の女の子のYちゃんと託児室に残りました。
「Yちゃんは行かないの?」
「いいの。あたし、うるさいのは好きじゃないから」
Yちゃんは小学1年生。女の子だけあって男の子たちよりはおとなしいので、元気いっぱいな遊びには、ちょっと混ざりにくいのでしょう。二人で一緒にバルーンで遊び続けました。
ところが、湿度のせいか、気温のせいか、バルーンがなかなかうまくふくらまなくなりました。せっかくふくらんでも、ストローから外すところで失敗して、つぶれてしまいます。
思うようにバルーンができなくて怒り出すんじゃないかな、と心配しましたが、Yちゃんは何度も作り直します。つぶれてもつぶれても、またふくらませます。
その根気強さに感心して、「Yちゃんはすごいがんばり屋さんだね」と言ったら、
「あたし、自転車もがんばって乗れるようになったんだよ」と得意そうに教えてくれました。
そうして、とうとう大きな丸いバルーンを自力で作り上げたときの、Yちゃんの晴れ晴れした顔。キラキラ光る風船を宙に飛ばして、嬉しそうに遊んでいました。
☆彡☆彡☆彡☆彡
素敵な才能や能力を持って生まれてきても、それを実際の成果につなげるには、やりとげるための根気や努力が必要になります。
ADHDのある子どもたちは、どうしてもこの部分が苦手で、なかなか実力を発揮できないのですが、親の会の子どもたちを見ていると、意外なくらいがんばり屋さんが多い、と感じます。親のひいき目と言われるかもしれませんが、昇平も、やっぱりとてもがんばり屋だと思います。
失敗や挫折、親や先生や友だちから叱られることを、人一倍多く経験している子どもたちです。普通だったら、「もういいや!」「どうせこんな自分なんて!」と考えて、がんばることを投げ出しそうなものなのに――。
その日の学習会はペアレント・トレーニングでした。
子どもの良いところを見つけて誉め、困難や問題への対応の仕方を学んでいく勉強会です。
それを受講している親たちが育てているから、自分の持つ困難にも負けずに努力する、がんばり屋の子どもたちになっているんだろうな、と思いました。
子どもを育てていく上で、考えなくてはならないことはいろいろあります。
けれども、その中でも一番大切な大人の役目は、子どもの「がんばる気持ち」を支えていくことなんじゃないかな、とつくづく考えています。
[09/06/23(火) 09:47] 薬・療育